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亜人と歩む ~瑠璃色王のレクイエム~  作者: 夏カボチャ 悠元
第二部 魔界偏 新に掴むべきもの
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御風呂場が修羅場になった日

 ヨミ砂漠を抜けシアン達と共に魔界に帰還したコウヤ達は、シアンに言われて屋敷の御風呂に入る事になった。

 久々の暖かいお湯の温もりを感じながら全身の砂埃すなぼこりを確りと落としていく。

 湯槽に足をつけると凄くホッとした表情を浮かべるコウヤ。

 湯槽にゆっくりと浸かると疲れが吹き飛ぶようであり、今回のバデルイヤの事やドワーフ達の事、何より自分の知らない世界を知る事が出来た事実、考えれば次から次に頭の中に浮かびあがってくる。


ーーしかし、シアン様の師匠に対する一言は印象的だったなぁ……


 それは魔界へと帰る途中の会話。


「キャスカ、本気で親になったんだぁねぇ? 本当に不思議だぁよ。でも、母になるなぁら、ちゃんと覚悟しないとねぇ?」


「覚悟? 私がシャーデを強くする。戦いで簡単に死ぬように育てる気はないよ、安心しな」


「あのねぇ、シャーデが嫁にいく時の話なんだけどねぇ? 親なら娘の幸せを願うものだぁよ」


「な! シアン、まさか…… シャーデを狙ってるんじゃないだろうね」


「最後のグーラ族…… 確かに興味はあるが、それは恋愛じゃないんだぁねぇ、それに私に少女を手込めにする趣味は無いんだぁよ」


「ふん、シアンの趣味はよく分からないが娘に近付くやからは取り合えず叩き斬るのみ」


 こんな感じで、会話をしていた二人の姿を見ていたシャーデが「二人は仲良し、ワタシ嬉しい」と言うとシアンもキャスカも顔を反らしてしまった。


「コウヤ、ワタシなんか悪いこと言ったか? 二人が仲良くなくなった」


「…… まあ、大人には色々あるみたいだし、気にしたら駄目だよシャーデ」


 少し悩んだ顔をするシャーデが更に質問をする。


「キャスカはシアンが好きなのか? それともシアンがキャスカを好きナノ?」


 その質問にキャスカは呆れて下を向いた。そして、シアンが「私はキャスカを愛してるよ? 求婚したこともあるが振られてしまったんだぁよ」と冗談めいた口ぶりで話す。


 キャスカとコウヤがシアンの方を向く。そんな反応をシアンは楽しそうに笑って見ていた。

 結局、真相はわからなかったが最後に凄い話を聞いてしまったと本当に思う。


「ふぅ…… 取り合えず、戦魔祭までは、気を引き締めないと」


 そんな時、脱衣所に人影が見えた。


ーーシアン様かな? そう言えばシアン様と何回か御風呂を一緒した事があったなぁ……


 そんな事を思いながら天井から水滴が湯槽に落ちる音を心静かに楽しんでいた。

 しかし、コウヤの予想は大きく外れる事になった。

 風呂場の扉を開き勢いよく入ってきたのはシャーデであった。


「御風呂! 凄い家の中にオアシスがある。暖かい」


 その声を聞き慌てて姿を隠すコウヤ。


「な、あ…… シャーデ……何で」


 シャーデーが辺りを見渡し何かを探しているような仕草をしているのが見える。


ーー何してるんだろ、それより、何で居るんだろう。


 風呂の出入り口は1つ。そして、それはシャーデの真後ろにある。更に言えばコウヤの隠れた隅っこは、お湯の温度が高く余り長い時間耐えるのは無理だと自覚していた。


「オカシイ、コウヤの匂いしたから来たのに居ない?」


 コウヤはバレないように隅から様子を伺うとシャーデは服を着たままで、御風呂の中に入ってきていた。


 シャーデ達、グーラ一族の文化に御風呂と言う物は存在しない。

 グーラの水浴びは服を着たまま行われる。その為、シャーデも服を着たまま御風呂に入ってきていたのだ。それを確認したコウヤは、直ぐに身体にタオルを巻き出口に急いだ。


 最悪、誰かに見つかってもシャーデが服を着たままであれば、誤解だと説明が出来るとコウヤは考えたのだ。


 そんな、コウヤを見つけたシャーデがいきなりコウヤに飛び付いてきたのだ。


「コウヤァァァーー! やっぱりいた。ハダカの付き合いをシャーデとしようね」


 そう言うとシャーデがコウヤを押し倒し馬乗りになる。


「な、なにしてるのシャーデ…… 」


 シャーデの眼が色っぽくコウヤに向けられる。そして、シャーデがコウヤに向けて満面の笑みで浮かべる。


「キャスカと話した。コウヤがシャーデを()()()じゃないなら結婚を許すと言われた!だから来た。コウヤはワタシが()()()か?」


 コウヤを見るシャーデは不安と期待でいっぱいであった。そんな気持ちを全力の笑顔で隠しながらシャーデはコウヤの上にいた。


ーー嫌いな訳ないじゃないか、寧ろ、師匠の言い方が問題があるよ!()()())じゃなければなんて、ズルい言い回しだよ!


「コウヤ? ワタシがキライなら、ちゃんと言ってホシイ」


「シャーデ、取り合えず、服を着てからで、いいかな……?」


「ダメッ! キャスカ言ってた、コウヤは賢いから逃がしたらダメって」


ーー師匠…… なに考えてるんだよ、僕に何させたいんだよ。


 そんな状況の中、風呂の扉が荒々しく開かれる。中に入ってきたのは、バスタオル姿のキャスカであった。


「観念しなコウヤ。シアンとも話したが、シャーデを知らない奴の嫁にする気はないし、嫁に出す気もない断じてないッ!」


 そう言い腕組みをするキャスカ。


「なら、何を観念するんですか…… それに僕は、まだお嫁さんを貰おうなんて、考えてませんよ」


「だろうな、だから婿をる事にしたんだよ。シャーデもコウヤを好いてるみたいだしねぇ、これは師匠命令だ! 大人しくシャーデの婿むこになりな!」


ーー無茶苦茶だ…… しかも、捕るって違うよね!取るだよね?


「師匠、取ると捕るだと、言い方も意味も違います…… 婿を取るですよね?」


 コウヤがぎこちない笑みをキャスカに向ける。その笑みを見たキャスカが更にコウヤに笑みを浮かべる。


「私からしたら!婿を|()()なんだよ!」


 しかし、逃げ場のない御風呂場の扉が更に開かれる。

 そして、怒りに煮えくり返りそうな顔を必死に笑みで隠しているミーナとそれを楽しそうに笑って見ているラシャ が姿を現したのだ。

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