知らない世界と大陸
“奴隷国家バデルイヤ”が崩壊後、直ぐにバデルイヤの改造計画が開始された。地下牢のあった建物は全て破壊し、使える建物はそのままに、次々にバデルイヤの街を作り替えていく。
元奴隷兵だった者達も「恩返しをさせて欲しい」と言いバデルイヤの作り替えに協力してくれた。
作業をしながらコウヤは疑問に感じた事があり、バゼル達、元奴隷兵に「此れからどうするの?」っと質問をする。
「俺はベルサルバ帝国にあるアリエレムの森に帰るつもりだ」
「ベルサルバ聞いたことないな、何処にあるの?」
「魔界のあるバライム大陸から遥か彼方、セテヤ大陸にあるそこそこに大きな国だ。バライム大陸と違い、文化は些か遅れてはいるが良い国だぞ」
「へー? そうなんだ。セテヤ大陸なんかあるんだ?」
バゼルは不思議そうにコウヤを見るそして質問した。
「コウヤはなんも知らないのか、学校行ったこと無いのか?」
その質問にコウヤは少し悩んだが笑いながら答えた。
「僕は学校に通ってたのは、一年もなかったから。だからなんにも知らないんだぁ、其れにもう頑張って勉強する理由も無くなっちゃったし、偉くなる必要も無くなったから」
だんだんと寂しげな表情になるコウヤを見てバゼルがコウヤを抱き締めた。
「辛かったんだな! よく頑張ってきたな。俺は味方だからなコウヤ」
「ア、ハ、ハ……ありがとう、バゼル」
そんな時、ミーナとラシャ、キャスカとディアロッテが左右からやって来た。
「おう、コウヤ! 飲み物の差し入れだよ。さあ! 師匠が来たんだから一服しようじゃないか」
「コウヤ、御茶をミーナと入れてきたのだ! 休憩にして休もうではないか」
互いに同じタイミングでコウヤに声をかけるラシャとキャスカ。
「また貴女ですか? いい加減、師匠らしく関係をスマートにしては如何か?」
「此は此れは、今は亡きエレの居候女王陛下ではありませんか? こんな所で私の弟子にかまけてないで国の復興でもしたらどうですか?」
ラシャとキャスカの間に火花が散りコウヤを睨み付ける。
「そうだ! コウヤにきめさせるか!」
「そうよ! コウヤが決めればいいわ」
両方から突き付けられる飲み物と互いに譲り合う気はないと言う意思が丸見えの目をしたキャスカとラシャ、そんな二人を見て溜め息を吐くミーナとディアロッテ。其れを見て驚くバゼル。
「コウヤは人気者だな?」とバゼルが言うとコウヤは深い溜め息をつくのであった。
結局、皆で休憩を取ることになり、他の作業をしている者達も作業を一次中断する。
そんな休憩中にコウヤが皆に質問をする。
「ラシャとミーナはセテヤ大陸って知ってる?」
「知ってるわよ。それがどうかしたの?」
「大陸は幾つもあるが“セテヤ大陸”と“カラハ大陸”、其れに“バライム大陸”はかなり大きな大陸に入るのだぞ? 知らぬのかコウヤよ?」
ラシャとミーナの答えにコウヤが恥ずかしそうに頷いた。
皆が驚く中、其れを聞いたディアロッテが「なら? 私が今日から教えて差し上げます。コウヤさんは頭が良いので直ぐに覚えられる筈です」
其れを聞いたミーナとラシャがそれに反対した。
「待ちなさいコウヤの教育なら! 教師の私がやるわ」
「そうじゃ! エレの女王の私が自ら教えてやろう。エレの歴史もわかるし問題なかろう!」
ミーナとラシャにディアロッテは互いに譲らず、コウヤが最終的に決める事になり、コウヤは日にちを分担して教えて欲しいと皆にお願いした。
その際帰るまでの間にバゼルにもセテヤ大陸の事を教えて貰うことになったのだ。
順番は帰る都合があるので、バゼル、ラシャ、ミーナ、ディアロッテの順で教えて貰うことに決まった。
バゼルは三週間程でセテヤ大陸にある、ベルサルバのアリエレムの森に帰ると言っていたのでこの順番は妥当だと皆も納得した。
作業が終わり夜になる。コウヤ達はその日、魔界に帰らずにバデルイヤの街に泊まることにした。
コウヤはバゼルから大陸の事を教えて貰い驚かされた。
バゼルの住んでいたセテヤ大陸は細長い大陸で海に囲まれていると言う。更に植物も海水を浴びながら育つ物ばかりだと言われた。
そしてコウヤが一番興味を引かれたのは、海流魔法と言う、海水を操る魔法である。
水魔法で使う水と違い海水には塩分平たく言えば塩が含まれており、海水を水の様に操るのはとても大変な事である。
しかし海流魔法はそんな塩分にまで指示を通す事が出来るとバゼルが言ったのだ。
バゼル自身は海流魔法は使えないがセテヤ大陸に行けば使える者が沢山いると聞かされた。
その日の勉強が終わり、いつもと違う環境でディアロッテがいつもと変わらぬ時間に特訓の為にコウヤの元に訪れる。
そして、二人でバデルイヤの外に行き特訓を開始する。しかし、そんな二人を睨むように見つめる影の存在にコウヤとディアロッテは気づいていなかったのである。
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