キャスカも恐れるディアロッテ
コウヤが正座をさせられている部屋の中にキャスカが堂々と入ってくる。
「何してるんだい? 部屋の真ん中に正座とは面白いねぇ」
そう言うとキャスカは御風呂に向かって歩いていくのであった。しかし、ディアロッテがキャスカを止める。
「御待ちください! キャスカ様」
ゆっくりと振り向くキャスカ、その先には般若のように怖い顔をしているディアロッテが立っている。
「キャスカ様…… お座りください」
「おい、ディア? そんなに怒らなくてもいいじゃないの、少し大人のオンナを教えてやろうとしただけじゃないのさぁ?」
「お座りください!」
キャスカが黙ってその場に座るとディアロッテの乙女な会話が延々と語られていく。
「わかりましたか! 女と男は、そんな! ふしだらな関係ではないんです、恋愛があり、ライバルの存在! そして愛故の駆け落ち、そして二人は幸せに」
更に喋り続けるディアロッテ……
「師匠…… ディアってこんな性格だったの」
「今日はまだ、良い方だ、前回は此れを泣きながら私に訴えてきたからなぁ、ディアは腕は良いし頼りになるんだが、この性格が災いしてな」
ディアの話が終わった頃にはコウヤのお腹の虫が鳴り始めていた。
「と言う事なんです。わかりましか? コウヤさん、キャスカ様」
二人が頷くとディアはいつもの優しい笑顔を見せた。その日の夕食の後、いつもの井戸に向かう。
ディアロッテを待つコウヤ。
コウヤはテレパスの練習をしながら時間を潰していた。移動する事、事態は数メートル出来るがまだ目的の場所を意識して確実に移動することが出来なかった。
何回か繰り返すうちに気付けばディアロッテが井戸に座っていた。
「熱心で関心です。でも上手くいってるようには見えないですね?」
「やぁディア、実はそうなんだよ」
コウヤはディアロッテにテレパスを使えるように成りたい事と上手く移動が出来ない事を話した。
「あの、大変言いづらいのですが、コウヤさんはテレパスの基本を勘違いしいるみたいですね、テレパスは物と自分を一瞬で入れ換える魔法なんです、移動すると言う考え方、事態が根本的に違うんです」
コウヤはキャスカの話を思いだし、ディアロッテから言われた事を重ね合わせて再度、テレパスを発動させる。景色を確りと想像してから対象を確りと意識する。
「テレパス!」
コウヤの体は一瞬で小石と場所が入れ替わる。
「案外早かったですね。流石コウヤさんです。では、このまま稽古をつけるとしますか」
そう言うとディアロッテがビー玉を地面に数ヶ所に間隔をあけて置いていく。
「コウヤさん、今回はテレパスを使った速攻を学んでもらいます。見ててください」
そう言うとディアロッテは次々にビー玉と自分の位置を入れ替えていく。
コウヤのテレパスとは違いその移動速度は眼で追うのに必死に成る程であった。
「コウヤさん! 私ではなく、足元を見てください」
ディアロッテの足は動いていない。ただ、ビー玉と自分を入れ替えているだけであった。しかし、ディアロッテはその体勢から魔導銃を構える。
そして、木から落ちる葉を射ち抜いて見せた。
コウヤはその日、テレパスを使いこなしながら魔導銃を射つ練習に時間を費やしたのである。
特訓が終わるとコウヤは改めてディアロッテやキャスカの実力を思い知らされたのであった。
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