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クジ引きで勇者に選ばれた村娘。後に女神となる。  作者: ふるか162号
四章 魔導大国編

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14話 オーク退治

誤字報告、いつもありがとうございます。


 僕達が、ガストから帰ってきてから一ヵ月が経った。

 この一カ月間、よいやみはとても忙しそうにしていた。

 それに対し、暇な僕は魔大陸で狩りをしていた。

 今日は久しぶりに、よいやみと二人で魔物退治の依頼を受けた。

 いや、狩りとも言うかな?

 元々オークを狩りに行ってくれとカレンに頼まれていたから、今回の依頼は都合が良かった。


 カレンと言えば、いつきさんに相談していた食堂をオープンさせる事ができた。

 食堂を作ると決めたいつきさんの行動は早かった。決断した次の日には、拠点にしているいつきさんのお店の隣の屋敷を買い取り、お金に物を言わせ、二週間で食堂に改装した。その日に合わせて人も雇い、改装終了三日後にはカイト食堂がオープンできた。流石のカレンも速すぎてビックリしていた。


 そして一番の懸念だった魔物料理なのだが、今は町の人達にも受け入れられている。

 オープン一週間は、魔物料理という事で一般人は一歩引いていたのだが、カレンのファン(女性)や冒険者達により初日から繁盛していたのを見て、徐々に一般人も足を運ぶようになっていった。

 今では、高級食材である魔物肉がリーズナブルな価格で食べられるとさらに人気になっている。


 魔物肉と言えば、冒険者ギルドや商業ギルドでも解体が行われるようになった。

 王様がソーパー王と話し合いをして、優秀な解体職人を数人派遣してもらい、冒険者ギルドと商業ギルドの二か所で解体職人を育てて貰っているそうだ。

 そのおかげもあって、魔物肉の価格もだいぶ安くなってきていた。



 僕達は依頼の為、ヴァイス魔国から馬車に乗りオークジェネラルがいると思われる洞窟に向かっていた。


「みつきは依頼のあった洞窟には行った事があるっすか?」

「いや、僕は村娘だったからそんな危険なところに行く事は無いよ。魔大陸のオークと普通のオークって違うの?」

「全然違うっすよ」


 強さが全く違うのは当たり前として、肉質も全く違うそうだ。

 魔大陸のオークはかなり引き締まっているらしく、歯応えがあって物凄く美味しいらしい。逆に普通のオークはやや脂身が多いとの事だ。

 ソーパーやガストで売っているオーク肉は普通のオークだそうで、好みは分かれるが、「一度でも魔大陸のオークを食べるともう他のオークは食べられないっす」とよいやみは言っていた。


「そういえば、最近忙しそうだね」

「その通りっす。ガストにはしょっちゅう帰っているんすけど、忙し過ぎっす。いつきの要望を魔法具技術部に伝えに行ったり、レオン陛下からもたまに言伝を頼まれたりしているっす。あ、この間レイチェル姉様から、今度みつきもつれて帰って来て欲しいと頼まれたっす」

「そうなの?」

「レイチェル姉様はみつきをかなり気に入っているみたいっす。今度、一緒に行くっす」

「まぁ、里帰り程度ならいいけど……」

「何を言っているんすか? あしがガストに帰るのがただの里帰りなわけがないっす」

「え? じゃあ、仕事以外で帰ってないの?」

「なんで親父がウザいのにいちいち帰らなきゃいけないんすか。仕事でもなければ一月に一度で充分っす。面倒くさいっす」


 ガストとの国交が始まってから、よいやみが両国の橋渡し役になっているらしく、最近は日帰りでガストとアロンを駆け回る事も珍しくないらしい。一昨日もガストで仕事をしていたそうだ。


「お客さん。もう少しで洞窟に着くよ」

「分かったっす」


 僕達を乗せた馬車は高いそびえる岩山の裂け目の前に停まり、僕達は馬車を降りる。


「御者さんはもう帰っても大丈夫っすよ」

「帰りはどうするので?」

「転移魔宝玉があるから大丈夫っす」


 御者さんは転移魔宝玉を興味深そうに見た後、「分かりました。では、御気を付けて」と元来た道を引き返していった。


「さて、オークの巣はアレっすね」


 目の前にそびえる岩山には大きな裂け目があり、奥の方まで続いている。

 かなり深そうだ。


「よいやみ準備はいい?」

「いいっすよ。みつきこそ、怖くないっすか?」

「オークくらいならって言いたいけど、ここが普通のオークの巣ならいいんだけど、魔大陸だから決して油断はできないよね。しかも、今回の依頼は【オークジェネラルの討伐】だからね」

「そうっす。どんな魔物でも油断すれば殺されてしまうかもしれないっす」

「うん」


 僕達は警戒しながら洞窟へと入っていく。

 洞窟の中は、食べ散らかした後も無くとても綺麗だ。


「うーん。ここはハズレかなぁ?」

「どうしてそう思うっすか?」

「だって、通路が奇麗だよ。アロン王国周辺だったけどオークの巣にオーク討伐は言った事があるんだけど、ここと違ってとても汚かったよ」

「みつき、それは勘違いっす。オークはかなり綺麗好きっすよ」

「そうなの? でも、オークは不潔だって冒険者の人達も言ってたよ」

「みつきにその情報を寄越した奴は勉強不足っすね。オークの巣がすぐに汚れるのはオークの特殊能力が関係があるんすよ」


 オークの特殊能力については魔物図鑑にも書いてあった。

 オークとは豚の頭を持つ獣人系の中級の魔物で、【共喰い】という特殊能力を持っている。これは、弱いモノを喰い強いモノの血肉となり強化するというモノだ。


「オークは魔物っすから当たり前かもしれないっすけど、本能で生きているが故、すぐに【共喰い】をするんすよ。それで、オークの死体が至る所に転がっているから不潔だのなんだの言われるっす。ちゃんとノートに取っておくっすよ」

「あ、うん」


 僕はよいやみに聞いた事をオークの項目に書き足しておく。


「それならこの洞窟はどうして綺麗なんだろう?」

「この洞窟が奇麗な理由っすけど、オークは上下関係がしっかりしているっす。つまり」

「オークジェネラルがいるからって事か」

「そうっす」


 上下関係がしっかりしているという事は、オークジェネラルが掃除を命令しているの?

 で、でも、オークジェネラルも魔物なんだよ?


「オークジェネラルに知恵でもあるのかなぁ?」

「それは無いっす。上のオーク系統の魔物がいると下のオーク系統の魔物は上に気に入られようと掃除を始めるっす。これも長年オークを狩って来た経験上間違いないっす」


 よいやみはオーク肉が大好物だから、定期的にオークを狩っていたらしい。

 オークに関しては、自称魔物研究家の僕よりもよいやみの方が詳しいね。新しいオークの情報をノートに書いておく。



 僕は洞窟に少し入って生体感知を使う。

 奥に十数匹いるね。


「どうっすか?」

「洞窟の最奥に固まっているね。って、よいやみも生体感知を使えるでしょ? どうして使わないの?」

「あしの生体感知は精度が悪いんすよね。何度か使っているんすけど、魔物をとらえきれていない事が多いんすよ」

 

 え?

 そんな事があるの?

 僕は最初っからこんな感じだったから理由が分からない。


「うーん。どうしてだろう?」

「まぁ、その話は良いっす。奥に進むっすよ」


 洞窟は入り組む事なく奥に続いている。

 一本道の方が帰り道に迷う事も無いから、目印も置く必要がないね。


「よいやみは洞窟に入るときには目印には何を置いているの?」

「ん? 何も置かんっすよ」

「え? 入り組んだ洞窟の場合はどうするの?」

「いや、入り口までの道を覚えているっすから大体帰れるっすよ」

「そ、そうなの!?」

「あえて言うなら自分の魔力を辿ればいいっすけどね。でもこの方法だと元来た道をそのまま帰るっすから、迷った時は偉い事になるっす。でも、今回からは安心っすね」

「転移魔宝玉だよね」

「そうっす。いつきがタチアナさんと共同開発したこの玉っころは凄いっす」

「うん。魔力が上手く使えない僕にでも使えるのは凄いよね」

「そうっす。でも、みつきは方向音痴だから誰かと一緒に行動させないといけないっす」

「……ひどい言い草だ」


 もう少しで洞窟の最奥だ。

 しかし、狭い所でオークジェネラルと戦うのは危険じゃないかな……。


「みつき、オークジェネラルはあしに任せるっす。その代わりにオークを全て一撃で殺すっす」

「う、うん。それは良いんだけど、ここで戦うの?」

「そうっす。下手に時間をかける気も暴れさすつもりも無いっすから、先手必殺で行くっす」

「あ、うん」


 奥の方に光が見える。

 僕も闘気を纏って戦闘準備をして……。


 この一ヵ月で随分とゼロの魔力を使えるようになった。

 とはいっても、僕の戦闘は闘気が主体だ。

 ゼロの魔力は強弱をつけにくいので使い勝手が悪いのだ。

 そう考えたら、アルテミスはゼロの魔力の使い方が物凄く上手い。

 僕もああいう風に使えたらいいんだけど……。アルテミスも教えてくれてはいるんだけど、いまだに上手く使えない。


 使えない力の事は置いといて……。

 さて、オーク退治をしてちゃっちゃと帰ろうかな。


「んじゃ、みつき、行くっすよ」

「うん」


 僕とよいやみは奥に向けて走り出す。



 三分後。

 オークとの戦闘はアッサリと終った。

 僕達は首の無いオークとオークジェネラルを狩り用の道具袋にしまっていく。

 オークジェネラルはよいやみが全開魔力で最小限に頭を吹き飛ばした。


「頭はいらないよね」

「そうっすね。頭だけに浄化の灰をかけて燃やしておくっす」

「頭だけだと、何も残らないだろうね」

「屑魔石でも残ってくれるといつきが喜ぶんすけどね」


 ガストとの貿易が始まって、保存用パックが一般家庭に広まった事で屑魔石の価値も少しだけ上がった。

 最近は、屑魔石を集めるのを目的に定期的にゴブリンを狩るという人まで出てきているくらいだ。

 元々、ゴブリンを狩ってもメリットがあまりなく冒険者もゴブリン退治はやりたくないクエストだったんだけど、今はゴブリン退治のクエストを我先にと受ける人が増えている。

 楽に倒せて小銭稼ぎもできるからね。


 オークの頭に浄化の灰をかけると屑魔石が残った。

 頭だけだから何も残らないと思っていたのに、得した気分になる。


「あぁ、屑魔石が残るんなら、オークジェネラルの頭を吹き飛ばすんじゃなかったっす。そう言えばオークは派生型なんすか?」

「いや、違うよ。オークは野生の豚が突然変異する事で生まれるからね」

「魔物っていろんな生まれ方をするんすね。んじゃ、帰るっすか?」

「うん。馬車より早く帰れそうだね。御者さんも一緒に帰ればよかったね」

「そうっすね。まぁ、大丈夫っすよ」


 僕達は転移魔宝玉で、お店へと帰った。

少し用事が入ったので、明日6月18日の投稿はお休みします。

速く帰ってこれれば書けるかもしれませんが今のところはお休みとします。

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