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クジ引きで勇者に選ばれた村娘。後に女神となる。  作者: ふるか162号
四章 魔導大国編

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王妃の死の真相

今回もよいやみ視点です。


 親父の口からお母様の死の真相が語られたっす。

 要約すると、単独での盗賊討伐の任務に出ていた時に、狂気の王の力が暴走して、魔法がうまく使えなくなってしまったそうっす。

 魔法がうまく使えなかったとしても、盗賊ごときなら、剣術でどうにかなったみたいっすけど、それでも多勢に無勢だったらしく、消耗戦になり、敗走したらしいっす。

 

「父上。母上は生きてガストに戻ってこれたのですか?」

「あぁ。あかつきは傷だらけだったとはいえ、何とか帰ってきた。しかし、その後が問題だった。あかつきには、回復魔法が全く効かなかった。その結果、衰弱し、そして息を引き取った」


 回復魔法が効かなかった?


「親父。狂気の王の力が原因で回復魔法が効かなかったんすか? でも、おかしいっす。アシもポーションなんかをよく飲むっすけど、効くっすよ?」


 教会や治癒ギルドでお仕事をしたときに、疲労回復の魔法をかけてもらったけど、それもちゃんと効いていたっす。


「そこは狂気の王の力が原因じゃない。確かに、最初は狂気の王の力を疑った。だが、お前が野盗共(アイツ等)を捕まえてくれたことにより、真相が明らかになったのだ。奴らは、治癒能力をかき消す呪いを持った剣を持っていた」


 なるほど。

 確かに、あの時の野盗共は、アシを何とか傷つけようとしていたっすね。しかし、回復魔法が効かなくなる呪いっすか……。一回、いつきに相談しておいた方がいいかもしれんっすね。


「さて、よいやみ。お前はもう一つ聞きたいことがあるんじゃないのか?」

「そうっすね。過去にガストがガスティアを滅ぼしたのは、エスタさんに聞いたっす。でも、ここで謎が残るっす。なぜ、ガスティアを滅ぼしたのにもかかわらず、お母様の血筋は残っていたんすか?」


 狂気の王の力は、ガスティアの血筋である証拠にもなる、とルシェラさんが言っていた気がするっす。しかし、ルシェラさんはお母様と一度しかあってないと言っていたっすけど、しょっちゅう会っていたみたいっすね。どうして隠したんすかね?

 

「よいやみ、どういうことだい?」

「アシも詳しくは知らないんすけど、狂気の王の力は、ガスティアの血筋の者が持っているそうっすよ。お母様も、ガスティアの末裔だったから、その力を持っていたそうっすね」

「なっ!? 父上、どういう意味ですか!? ガスティアの王族は皆殺しにされたのではなかったのですか!?」


 王太子であるやと兄様には、ガスティアが滅びた理由も話してあるということっすか。その証拠に、姉様たちは誰一人意味が解っていないみたいっす。


「わしも父上にそう聞いていたさ。あかつきがガスティアの血を引いていることに気付いたのは、彼女と結婚した後でな。アイツが、孤児だったのも事実だ」


 うん?

 それだと話がおかしくないっすか?


「一個良いっすか? 親父たちは、孤児であるお母様がガスティアの血を引いていると、なぜ知ったんすか? そもそも、お母様は、どうして孤児になっていたんすか?」


「自分がガスティアの血を引くことは、あかつき自身が話してくれたよ。というよりも、あかつきも、そのルシェラという冒険者に教えてもらったみたいだがな」


 ルシェラさんは、鑑定スキルという特別な力を持っているっすからね。それで知って、教えたんすね。


「それと、あかつきが孤児になったのは、単純な話でな。あかつきの幼い頃、両親が病死して、天涯孤独の身になって、孤児院に引き取られた、と聞いている」


 まぁ、普通といえば普通の理由っすね。


「しかし、なぜ私達にも隠していたのですか?」

「ガスティアの血を引いていると知られれば、ガストに反感を覚えている連中に、お前たちが利用されかねないと考え、あかつきとこの話は、誰にも話さないでおこうと決めたからだ」


 確かに、ガスティアは不老不死の研究もしていたっすから、王族以外にもそういった考えの輩が生き残っていてもおかしくはないっす。そいつらなら、ガスティアの血筋を利用しかねないっすね。

 しかし、腑に落ちんこともあるっす。


「なぜ今になって話したんすか? 確かに、アシがガスティアのことを聞きにきたすけど、隠すつもりだったら、ここでも誤魔化すなりなんなりすればよかったっす」

「まず、お前たちが強くなってきたからというのもあるな。今は、よいやみしか発現していないが、やとたちも、狂気の王の力に目覚めるかもしれぬ。あかつきは、強かったゆえに、一人で野盗の討伐の任務を行っておった。だからこそ、狂気の王の力の暴走の時に対処できなかった」

「なるほど……。確かに、知っているのと知らないのとでは、対処法が全く違ってくる。少なくとも、一人で任務を行おうとは思わんようになるな」


 せいな姉様もこれに納得したのか頷いている。


「それに、グレン様も、いつも慢心が人を殺すとおっしゃっている。まさしくそのことだな」


 あぁ、熊はいつもそういうことを言っていたっすね。

 アシとみつきも、そこを一番考えろって言われているっす。


「あぁ、それに、バトス殿やグレン殿に鍛えられたお前たちなら、ガスティアの血筋を利用してくる愚か者どもなどに、利用されないだろう? 特に、狂気の王の力を持つよいやみは、今となっては、どの国も簡単に手が出せない存在となっている」

「はて? なぜ、アシなんすか?」


 確かにアロン王国では、黒女神の名も有名になったっす。

 しかし、他の国ではどうなんすかね?


「お前とみつき殿の強さには、まだまだ敵わないとバトス殿が言っていた。それに意味がある」

「うん? そこは熊じゃないんすか? どうしてバトスさんの名が出てくるっすか?」

「あの御仁は、アロンの英雄だぞ? アロン王国を立て直した一人でもあるバトス殿の名は、どの国でも知れ渡っているさ」


 やと兄様の話では、バトスさんは、アシらが思っている以上に有名らしく、しかも最近では、冒険者ギルドの依頼として、各国で兵士や冒険者を鍛えていたりもする。だから、前以上に、有名になったそうっす。


「あ、でも、バトスさん達って、この二カ月で一気に強くなったっすよ?」


 バトスさんが強くなったのは、みつきの爺ちゃんと熊の訓練のおかげっす。

 熊曰く、バトスさんは経験値も高く、素質が素晴らしいらしく、アシらと同等の訓練を受けているそうっす。まぁ、経験値がある以上、あと数カ月もすれば、アシらより強くなりそうで怖いっすね。

 それだけは勘弁ならんっす。もっと強くなるっすかねー。

 しかし、やと兄様たちはこの答えには意外だったらしく、凄く驚いていたっすね。

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