表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クジ引きで勇者に選ばれた村娘。後に女神となる。  作者: ふるか162号
一章 勇者編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/140

9話 強化ゴブリンの報酬

誤字報告、いつもありがとうございます。


 強化ゴブリンを倒し、浄化の灰をかけてみると、金色の魔石と強化ゴブリンが使っていた大斧が残っていた。

 大斧しか残っていないのならば、浄化の灰をかけない方が素材の価値は良かったんじゃないか? とも思ったけど、まぁ、金色の魔石も手に入れたし良しとしよう。

 正直な話、こんな大きなゴブリンを解体したくはない。


 大斧と魔石を道具袋にしまい、ゆーちゃんい声をかけて、帰る準備をする……が一つだけ、ハッキリさせたい問題があった。

 あの木の陰にいる人だ。


「僕達に何か用ですか?」


 僕は木の陰にいる人に声をかける、が、反応はない。ゆーちゃんは僕を不思議そうな目で見る。

 隠れていても生体感知を使える僕には分かる。強化ゴブリンと戦う前から僕達をずっと監視していた。

 僕の予想では()()()なのだが、生体感知では人物の特定はできない。

 声をかけても出てこないとは、あの人ならば僕が生体感知を使えることは知っているはずだ。

 違ったのかな? とも思ったが、木の陰から出てきた人は僕の想像通りだった。


「ずっと見ていたのなら、助けてくれても良かったじゃないですか。リリアンさん」


 僕達を監視していたのはリリアンさんだった。

 僕の予想でしかないのだが、リリアンさんは『流れ星の流星』よりも強いはずだ。

 直接戦わなくても、補助くらいはしてくれても良かったと思うのだけど?


「無茶言わないで。私は冒険者時代は僧侶だったのよ。回復魔法は使えても、攻撃魔法は使えないわ」

「攻撃魔法が使えなくても囮くらいにはなれますよね?」


 僕はニッコリとそう聞いてみる。

 リリアンさんは、少しだけ呆れた顔をしている。


「みつきちゃん怒ってる?」

「怒っています」


 そりゃそうだ。

 冒険者の安全は自己責任の範疇だとは思うが、僕達は新人パーティで初クエストだ。

 熟練冒険者を護衛に就けてくれても良かったんじゃないかと思う。


「そうは言うけどねぇ。みつきちゃんが倒したあのゴブリン。上位の冒険者パーティでもアレを倒すのは、かなり難しいと思うわよ?」

「そうなんですか?」

「えぇ。あれは王種と呼ばれる種類で、王都最高ランクのオリハルコンの冒険者パーティでも苦戦するほどの魔物なの。みつきちゃんはソレを単独で倒したのよ」


 え? 王種? 聞いたことが無い。

 リリアンさんが説明してくれた話によると、女神ランクというのが人にもあるように魔物にもランクが存在するらしい。

 王種というのは、魔物のランクの中で最高ランクだそうで、もし、王都にそんなものが現れたのならば冒険者ギルド総出で討伐に向かわなければいけないそうだ。

 

 そんな強力な魔物を作り出せるゆーちゃんってかなり危険人物なんじゃ……。

 僕は今更ながら、とんでもない子とパーティを組んだのでは? と危機感を覚えた。ゆーちゃんを見ると、ゆーちゃんはニヤーっと笑っていた。

 あぁ、癒されるなぁ……まぁ、そのことは一先ず置いておこう。


「それよりも、私もみつきちゃんに聞きたいことがあるんだけど」

「なんですか?」

「あのゴブリンを両断した技は何? みつきちゃんの細腕であんなことが出来ると思えないし、魔力を使うにもみつきちゃんには魔力が無いと言っていたし……」


 見られていたのなら説明しなきゃいけないのか?

 ただ、これを説明すると、ただの村娘と言い難くなるから嫌なんだけどなぁ……。

 リリアンさんは僕になぜか期待の目を向けているし……。


「ゆーちゃんもしりたい」

「うん。分かったよ!!」


 ゆーちゃんが知りたいのなら、教えてあげないと。

 僕は闘気を魔力の代わりに使い、身体能力強化を使ったこと、さらに武器に纏わせて斬ったことを説明した。

 僕の説明を聞いて、リリアンさんの顔色が悪くなる。もしかして、禁止されている技術だった?

 と、なると王都から逃げる手段を考えないと……。ここから僕の村までどう行くか……。


「みつきちゃん!!」

「ひゃい!!」


 いきなり声をかけられて変な返事をしてしまった。

 僕はリリアンさんの顔をそーっと見る。怒ってるかな?

 しかしリリアンさんの顔は怒っているというわけではなく、逆に嬉しそうにしている。どういうこと?


「みつきちゃんが使っていた技は、伝説の勇者『覇王』が使っていた技で、いまだかつて覇王以外の使用者がいると聞いたことが無いわ。やっぱりみつきちゃんは素晴らしい勇者になれるはずよ」


 げっ……。

 これはますます危険なクエストばかりやらされることになるんじゃないの?

 それは困る……。


「た、たまたまだよ。さ、さぁ、ギルドに帰ろう。僕達を監視していたんだから、ケダマ退治が終わったことは知っているんでしょ?」

「えぇ。さぁ帰ってじっくり話し合いましょう」

「あうぅ……」


 ウキウキしているリリアンさんに連れられ、僕はウンザリしながら冒険者ギルドへと帰った。



 冒険者ギルドでは、リリアンさんから村での生活や、剣の扱い方をどこで教えてもらったかなど、根掘り葉掘り聞かれた。

 話をするたびに「嘘でしょ!?」とか「信じられない!?」などの反応を聞かされたが、僕としては今のこの尋問の方が信じられないよ。

 僕が尋問を受けて数時間。ようやく解放されて、その日は死んだように眠った。

 もちろん、尋問に疲れてだ……。


 次の日、僕達はいつきさんのお店へと向かう。

 いつきさんには、魔物の素材を優先的に売ると約束しているからね。

 ちなみにケダマの討伐報酬は1万ルーツだった。毒消し草一つ分の値段か……。


「いらっしゃいませ」

「いつきさん。こんにちわ」


 お店のカウンターに金色の魔石を置いた後、大斧をどうしようかと相談する。

 いつきさんからは、鉄で出来た台の上に置いて欲しいと頼まれた。確かに木で出来たカウンターに置けばカウンターが壊れてしまうもんね。


 僕は道具袋から、大斧を取り出して鉄の台の上に置く。


 ズシンッ!!


 重そうな音だ。

 いつきさんは、僕がコレを軽く持っていたので驚く。


「みつきさん。こんな重そうな物、どうやって片手で?」


 いつきさんに闘気による筋力強化のことを説明する。いくら僕でも闘気で筋力強化していないとこんな物持てない。

 いつきさんはそのことにも驚いていたが、この大斧にも驚いていた。

 鑑定の結果は『鬼族の大斧』王種、グランドゴブリンが持つ大斧でレアなものだそうだ。

 あのゴブリンはグランドゴブリンという名前だったのか。後で、ノートに書いておこう。

 

「こんなに凄い物をどこで手に入れたんですか?」

「ゆーちゃんが強化したゴブリンが持ってたんだよ」

「え……?」


 僕がそう答えると、いつきさんの顔が驚愕に染まる。


「ゆづきちゃんのあの迷惑な強化魔法で出来た魔物を倒したんですか?」


 め、迷惑な強化魔法って……。確かに驚いたけど。


「え? うん。少し手こずったけどね」


 いつきさんは、大斧を少し見た後、「魔石だけ買い取りますね。その大斧は近いうちに必要になるかもしれませんし」と言い、魔石の買い取り金額の30万ルーツを用意してくれた。

 しかし、近いうちに必要って、どういうことだろう?

 もしかして、いつきさんには未来を見る力でもあるんだろうか?

 そのことは置いといて、今日は初クエストを完了したのでゆーちゃんと一緒に盛大にご飯を食べようと、いつきさんのお店を出た後、お店を探す。


 ゆーちゃんに美味しいお店を聞いてそのお店に向かっていると、前から一人の女の子がフラフラと歩いて来た。

 ん? あの人具合でも悪いのかな? 顔色も悪そうだ。僕がそう思って見ていると、その女の子は僕達の目の前で倒れそうになる。

 僕は急いでその女の子を支えた。

 この女の子は一体……。

 

ブックマークの登録、評価、感想、ありがとうございます。

次の話でアイツの登場です。旧クジ引きを呼んでいる人はわかると思います。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ