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クジ引きで勇者に選ばれた村娘。後に女神となる。  作者: ふるか162号
四章 魔導大国編

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変装魔法


「変装魔法?

 それは変化魔法ではないのですか? 変化の魔法は聞いたことがありますけど、変装の魔法なんて聞いたことはありません」

「え? 聞いたことないの?」


 はるばあちゃんが使っていた変化の魔法は難しそうだけど、それより簡単そうな変装魔法くらいなら、よく使われていらと思うんだけど。


「みつき、確かに変化魔法は高難易度な魔導書には書かれているんすけど、ルシェラさんの言う、変装の魔法は、書かれていないんすよ。アシも初めてきいたくらいっよ」

「え!? そうなの!?」

「そもそも、変化魔法ですら、はるさん以外の魔導士が使っているところを見たことはありません」


 よいやみが魔導書のことを教えてくれ、いつきさんが変化魔法の難しさを教えてくれた。

 そっか……。はる婆ちゃんって、やっぱりすごい魔導士だったんだ。


「へぇ……。聖女であるいつきちゃんはともかく、魔道大国最強の姫君だけあってさすがと言うべきかな? オルテガから、脳筋と聞いていたんだけど、しっかりと魔法のことは勉強しているみたいだね」


 おや? 褒めているようで、オルテガさんがよいやみのことを普段どう言っているかを暴露したぞ?


「……うん? ギルマス。アシのことを脳筋って言ってるんすか?」

「ん? お前は脳筋じゃねーか。もしかして、そう思われていないとか思ってたのか?」


 まぁ、確かに、よいやみは、何でも暴力で解決しようとするし、考えるよりも先に体が動くタイプだから、脳筋と言われても、仕方ないかもしれないね。


「あはは。一応補足しておくと、私も変化の魔法は使えるよ。ただし、虫レベルまで小さくなることはできない。あそこまで使いこなせるのは、この世界で言えば、はるさんだけだろうね」

「そうですね。確かに、有名さや実績で考えればクロウディアさんの方がありますが、単純に魔法の知識、魔道技術は、若輩者の私たちと比べ遥かに上です。まさしく、賢者の名にふさわしい魔導士ですよ」


 確かに、口は軽いけど、はる婆ちゃんには、何かと相談に乗ってもらったりしている。

 でも……。


「変化の魔法が難しいのはわかったんだけど、どうして変装の魔法は知られていないの?」


 難しい変化の魔法ならともかく、変装の魔法なら、と考えるんだけど。


「必要がないんですよ。だって、魔法で変装しても意味がないんですから」

「意味がない?」

「はい。みつきさんの様なゼロの魔力を持つ人であれば変装の魔法も意味があるんですが、私たちのような普通の魔力持ちでは、変装したとしても、魔力を隠せないんですよ」


 つまり、魔力を隠せないから、意味がないってこと?

 うーん。確か、魔力は一人一人の波長は違うって聞いたことはあるけど、いちいち覚えていないんじゃないのかな? そんなに気になることなんだろうか?

 そう思っていると、よいやみが呆れた顔で僕を見る。


「みつき、なんか意味わかってなさそうっすけど、みつきの場合、特に、変装魔法は意味がないんすよ?」

「え? なんで?」


 ゼロの魔力持ちである僕は、魔力を読むのは苦手なんだけども……。

 僕が首を傾げていると、よいやみはさらに呆れた顔になる。


「なんでって、みつきには、生体感知があるじゃないっすか。確かに、アリスさんみたいに個人を判別することは出来ないだろうっすけど、人間かどうかは理解出来るっすよね?」

「うん。確かにそうだけど、個人を特定できないんであれば、意味はないよ?」


 だから、変装魔法を使われたら、僕は簡単に騙されるけどなー。


「まぁ、よくよく考えれば、顔を覚えていなかったら、わざわざ変装魔法を使わなくとも、ただ服装やカツラを使用すれば充分に変装できる。だから、意味がないのよ」


 ……うん。ルシェラさんが最後にそう説明してくれたけど、意味がないのに、どうしてクオンに変装魔法を?

 僕がそう思っていると、なにか疑問に思ったのか、ゆーちゃんがクオンのマントを引っ張る。


「くおんのまりょくって、ほねになったいまでもかわんないの?」

「そうみたいだね。私自身も当然、魔力のことは知っているし、もしかしたら、今のスケルトンの姿に変わった後、魔力が変質しているかも? と思ったんだが、生前と何も変わらなかった。つまり、魔力というのは、死とは直結していないということだ」

「でも、クオンの場合、骨になっただけで、死んではいないんじゃないの?」

「まぁ、生死に関していってしまえば死んではいないけど、この姿だろう? だから、自分が死霊系の魔物になってしまっているのかと思っていた時期もあってね。それで魔力の質も変わったのか? と思ったんだよ」


 見た目はともかく、クオンは今も生きている状態だからね。死霊系の魔物ではないってことだね。


「ところで、なぜ私が変化の魔法を覚える必要があるのかな? 魔導書に書かれている変化の魔法ではだめなのかな?」


 クオンがルシェラさんに聞く。確かに、難易度が高いとはいえ、魔導書に書かれている変化の魔法のほうが覚えやすそうだ。

 

「お前ら、一応言っておくとだな……。変化の魔法の難易度は、並みじゃないぞ? 俺は、はると長くパーティを組んでいるが、変化の魔法を自在に使いこなせるようになったのは、ここ数年の話だぞ。酒の話で苦労話を延々と聞かされたからな」


 ここ数年ってことは……。それくらい難しいってこと? バトスさんの言葉に、ルシェラさんもうなずいている。


「そうね。私もその話を聞いたときは本当に驚いたわよ。だった、私の知る限り、虫レベルにまで変化できるのは、彼女だけよ。彼女がいまだに不老じゃないのが不思議なくらいなのよ」


 そう考えればそうだ。どうしてはるさんは不老じゃないんだろう? もしかして、今の姿になってから、不老を得たのかな?


「姉さん、一応聞きたいのだが、変装魔法には制限時間があるのか?」

「あぁ、その問題があったね」


 オルテガさんが疑問に思ったことをルシェラさんに聞く。それにクオンもうなずいていた。

 クオンも長く生きているから魔力が多いみたいだけど、ゆーちゃんのように無限の魔力持ちじゃない。いつかは魔力切れをするよね。そうじゃなかったら、魔法が解ける前にかけ続けなきゃいけない。


「ここで変装の魔法が世間に周知されてない本当の理由を話すわ。制限時間が極端に短いのよ」


 ルシェラさんが困ったような顔になる。そんなに短いんだろうか? 

 いつきさんもそこが気になったみたいだ。


「どのくらい持つのですか?」

「3分よ」


 お、思ったよりも、短かった……。

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― 新着の感想 ―
[一言] 久しぶりの更新すぎて話の内用すっかり忘れてしまっていた
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