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クジ引きで勇者に選ばれた村娘。後に女神となる。  作者: ふるか162号
四章 魔導大国編

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狂気の王


「さて、詳しい話を聞こうじゃない。あ、バトスちゃん、お茶を頂戴」


 ルシェラさんは、オルテガさんを立たせて、僕たちの前に座った。そして、バトスさんにお茶を入れさせる。

 オルテガさんは、クオンのことを説明する。勿論、不死のこともだ。その話を聞いたルシェラさんは、黙り込んでしまう。やっぱり、不死の成功例というのは、聞いたことがないからだろうか……。


「クオンとかいったわね。あ、クオンさんのほうがいいかしら?」

「どちらでも構わないよ。君も似たようなものだからね」

「そうでもないわよ。貴女は、五百年前の、魔法王国ガスティアの唯一の生き残りなんですから」

「ガスティア?」


 あれ?

 クオンが言ってたのは、魔法王国ガストだった気がするんだけど。

 僕と同じ疑問を感じたのか、よいやみも首を傾げている。


「ちょっと待つっす。

 クオンが座っていた玉座には、確かに魔法王国ガストと書いてあったっすよ?」


 あ、よいやみは、クオンの玉座を調べてから、スッキリした顔になっていたね。


「魔法王国ガストというのは、略名というか、正式名称ではないのよ。

 当時の国には、国の名が二つあったの。一つは正式名称。もう一つが、外交に使う名前」

「外交に、偽名を名乗るのですか?」


 ルシェラさんの言葉に、シドさんが怪訝な顔をする。


「今とは、時代が違うのよ。

 昔は、今ほど人間同士に信頼などという言葉はなかった。と、文献には書かれているわ。

 そう考えたら、国名を偽装することなんて、日常茶飯事だったみたいね。

 クオン、貴女は、この話を聞いたことある?」

「いや、私はただの建築ギルドの見習いだったからね。国の名前も、ガスティアなんて、初めて知ったさ」

「じゃあ、魔道大国ガストとは、全く関係ないんすね?」

「そうとも言えないわよ」

「え?」

「実はね。これは、よいやみちゃんのお母さまの血筋に、かかわってくるんだけど……」


 あれ?

 よいやみのお母さんは、孤児だったんじゃ……。


「アシの母親は、孤児だったんすけど?」

「知っているわよ。でも、よいやみちゃんの母、あかつきさんは、ガスティアの血を持っていたのは確かよ。あかつきさんが、なぜ孤児になったかは知ってる?」

「え?」


 よいやみは、いきなりお母さんのことを聞かれて、少し困っているようだ。いや、そもそも、お母さんが孤児になった理由って知ってるんだろうか?


「正直、知らんっす。

 知っているのは、親父が孤児だったお母様に一目ぼれした、くらいっす」

「まぁ、私もあかつきさんと一度だけ会っただけだけど、やしゃ様が一目惚れするのもわかるわ。

 よいやみちゃんに似て、とても美人だったからね。

 さて、あかつきさんが盗賊程度にやられたって聞いたときは、耳を疑ったわ。

 なにせ、あの力を持っていたのだから、盗賊風情に負けるなんて、思いもよらなかったわよ」

「あの力ってなんすか?」

「狂気の王の力」


 狂気の王?

 そんな力があるということは、よいやみにも受け継がれている?


「その狂気の王というのは、不老不死を求めた王の力ってことっすか?」

「ちょっと待って欲しい。

 あの王は、確かに狂気に飲まれ、不老不死の研究に手を出したが、特別な力などなかったぞ?」


 そんな力があれば、自力で不老になってたかもしれないもんね。


「あぁ、私もまだ生まれる前のことだから、詳しいことはわからないわよ。

 狂気の王の力と言っても、どんな力かは、よくわかっていないのよ。

 あかつきさんの場合は、魔法の最適化だったけど、それが狂気の王の力かは、わからなかったわ」

「なら、どうして狂気の王の力って言葉を知っているんすか?」

「あぁ、私は、鑑定スキルというのを持っているからね。

 これは、女神の目、魔道の目、魔眼をすべて扱えるようなものでね。私にかかれば、誰のステータスも丸裸にされるってわけ。

 例えば、みつきちゃんの称号だけど……。これは、アルテミスじゃなく、あ、これは禁足事項みたいね。そんな、何者かが付けているみたいね」


 えぇー。

 僕の称号をつけている奴って、予想以上にやばい奴なんじゃないの?

 あ、ということは……。


「よいやみの???って称号も見えてるの? 覚醒がどうこうって話だったけど」

「えぇ、見えているわよ。それが『狂気の王』という称号よ。おそらくだけど、よいやみちゃんに『狂気の王』の名を知ってしまった以上、今後は、称号に『狂気の王』と書かれるはずよ」


 そう言われて、よいやみは微妙な顔になる。


「えぇー。アシは、覚醒して、みつきよりも、もっと強くなる予定だったんすけど……」

「いや、それはそれで、僕が面白くないんだけど……」

「拗ねるなっす」


 そういって、よいやみは僕に抱き着いてくる。いや、拗ねてないけどね。

 そんな僕たちを、ルシェラさんは微笑んでじっと見ていた。


「あの、狂気の王の力は、よいやみさんの今後の成長次第なのはいいとして、オルテガさん。どうして、ルシェラさんをクオンさんに会わせようとしたのですか?」


 確かに気になる。

 いつきさんがそう言うと、オルテガさんはルシェラさんに目を移す。


「はいはい。

 今問題なのは、クオンさんの姿よね。

 一応、さっきオルテガに聞いたんだけど、定着魔法を使えるのよね?」

「あぁ。

 定着魔法のおかげで、私は500年の間、風化せずに、この姿を維持し出来ていたのだからね」


 そう考えたら、クオンも意外とすごいのかもしれない。


「まぁ、定着魔法を使えるのであれば、使えるはずよ。

 クオンさん。今から、貴女に魔法を一つ教えます」

「魔法?」

「えぇ、私が作った魔法。その名も『変装魔法』を……」

 

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