表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クジ引きで勇者に選ばれた村娘。後に女神となる。  作者: ふるか162号
四章 魔導大国編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

119/140

玉座


「いつきー。この骨を仲間にするって本気なんすか? 

 黒女神には女の子しかいないのに、こんな見た目の危険な骨を引き入れて、何かあったらどうするんすか!?」


 よいやみはいつきさんに必死に抗議していた。死霊系の魔物は苦手だから、骨を仲間にするのが嫌なのかな? と思っていたのだが、どうやらそうじゃないらしく、こっちを指さして、いつきさんに猛抗議し始めた。


「あのアホ面をよく見るっす。

 何も考えてなさそうな無垢なみつきたんは、ことの重大さに気づいていないっす。

 さらに、ゆっきーのような幼女までいるんすよ!!」


 いや、間違いなく僕を馬鹿にしたよね? その証拠に、いつきさんも呆れた顔になってるし。

 激しく、そして馬鹿馬鹿しく騒ぐよいやみとは対照的に呆れ顔のいつきさん。そこに割って入ったのは、骨だった。


「まぁ、仲間云々は別として、一応言っておきたいのだが、私は今は骨の姿だが、生前? いや、生身だった頃は、生物学的には女だったのだが?

 それにだ、私はこの姿になったのは、肉体は老化により朽ちているんだよ? そんな年寄りである私と君達に、なんの間違いがあるというのだい?」


 骨がそういうと、よいやみは物凄くビックリしていた。お姫様のする顔じゃないよ。


 呆然とするよいやみを無視して、骨はいつきさんの方を向く。


「さて、仲間云々の話だが、君達になんのメリットがある?

 私の見た目は、この通り死霊系の魔物だ。こんなのを仲間にしてみたまえ、君達が怪訝な目で見られるようになるよ?」

「貴女の見た目に関しては、そこまでの心配はしていません。なんといっても、私達、黒女神ですからねぇ」


 え?

 いつきさんは僕を見て溜息をつく。よいやみもそれに対し、頷くだけだ。なんで?


「それに、メリットがないわけではありませんよ。骨さん、貴女の持つ古代魔法の知識もそうなのですが、貴女は物作りが得意なようですね?」


 そう言って、いつきさんは部屋の隅に置いてある木材や大工道具を指さす。確かに、この部屋には手作りと思われる色々な物がある。


「あの扉も貴女が手入れしているのでしょう?

 実は言うと、私達、黒女神の拠点の建物は古いんです。建築ギルドに修理を依頼してるのですが、その、料金が少しお高めで……」


 流石いつきさん。骨のメリットはほぼ考えずに、黒女神の……、いや、自分のお店のリフォームを最優先に考えてる。

 よいやみの方を見てみると、呆れた顔でいつきさんを見ていた。


「確かに私は建築ギルドに所属していた。とはいえ、研究所に入れられた時は、まだまだ見習いだったんだかな。

 この姿になって、研究所を滅ぼしてから、暇になってな。せっかくなら暇潰しに色々作ってみたんだ。この玉座もあの王が座っていた物を参考に作ったんだ」

「あの王?

 骨、ちょいとその玉座を調べさせてもらうっす」


 そう言って、玉座を隅々まで調べ始める。何かあったのかな?


「骨。この玉座の再現度はどれくらいなんすか? 装飾関係も再現されてるんすか?」

「そうだね。流石に元の玉座を親方が作って、それの助手をしていたから、ほぼ再現できているはずだよ。流石に装飾はレリーフによる見た目だけだけどね。

 それでも、かなりの再現度は出せているはずだ。

 何か気になるところでもあったかい?」

「なるほどっす。ということは見えていない部分(・・・・・・・・)もそこそこ再現されているってことっすね」


 そういって、よいやみは椅子の裏などを見始める。


「あったっす」


 よいやみが確認している部分を見てみると、玉座の裏に鷹が飛び立とうとしているレリーフが描かれていた。こんな見えないところに、どうしてこんな立派なものが?


「骨。これは魔法王国ガストの国章っすね。本物は宝石かなんかがちりばめられていたはずっす」


 え?

 どうして椅子の裏に国章が?

 

「よく知っているね。そうだよ。それは魔法王国ガストの国章だ。君の知っている、魔導大国の国章とは違うものだったかい?」

「そうっすね。今のガストの国章は猫っす。魔導大国ガストを建国した王が猫が好きだったそうっす。それで猫になったっす。

 あ、そうっす。みつき、ゆっきーと一緒に猫耳をつけるっす。きっと、かわいいっす」


 はぁ?

 よいやみのやつ、いきなり何を言ってるんだ?

 いや、確かにゆーちゃんが猫耳つけたら、かわいいと思うけど。しかし、今はそんなことを言っている場合じゃない。

 僕は、よいやみを冷たい目でにらむ。


「そう怒るなっす。冗談っす。少し、場を和ませようとしただけっす」


 場を和ませようと何も、当のよいやみが、一番ピリピリしてたよね?


「いつき、この仕事が終わったら、みんなでガストに行くっす。もちろん、骨も一緒っす」


 よいやみが突然そんなことを言うので、いつきさんも骨も驚いている。もちろん僕もだ。

 うん? そういやゆーちゃんはどこにいるんだ?

 そう思って探してみると、部屋の入り口付近に僕たちが昨晩泊まったテントが設置されている。

 あ、退屈になって寝ちゃったな。


「よいやみさん。突然スッキリした顔になってどんな心境の変化があったんですか?

 それに骨も一緒というのはどういうことですか?」

「あぁ、それに関しては拠点に帰ってから説明するっす。

 それはともかく……」


 ヘラヘラしていたよいやみが、臨戦態勢に入る。


「え!? よいやみ! いきなりどうしたの!?」


 僕は慌ててよいやみを止めようとする。しかし、よいやみは警戒を解かない。

 それは……骨に対してではなく、玉座の後ろに対してだ。

 よいやみが顎で合図をしてくるので、僕は生体感知を使う。


 え!?

 だ、誰かいる!?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ