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悪霊令嬢 あくりょうれいじょう ~とんでもないモノに憑りつかれている私は、そのまま異世界に転生してしまいました~  作者: にわとりぶらま


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第097話 消えた人々

 お菓子の試食会の後、数日が過ぎたが平穏な日々が続いている。ミーシャの噂も未だ流れており、オードリーもマルティナと私の所で居候生活を続けているが、その穏やかな日々の原因は、アレン皇子達の姿を学園内で見かけなくなったためである。なので、コロン嬢がアレン皇子を見つける度にしかりつけて、お互いが機嫌を損ねる事もない。


「アレン皇子の姿を見かけないのはちょっと不安だけど、こんな平穏な日々が続くといいわね」


 教室でマルティナが欠伸をしながら私に話しかける。


「平穏な日々って言っても、何も問題解決していないのだから、喜んではいられないわよ」


 私もマルティナの欠伸につられそうになるが、我慢してマルティナの答える。


「まぁ、確かに何も問題解決していないわね、別にオードリー様がうちで寝泊りするのは、気にならないけど、ミーシャは可哀そうよね」


 ミーシャは噂にもめげずに、毎日、エリシオに渡そうとお菓子を作ってくるが、エリシオの姿が見えずに、いつも私達のおやつとなっていて、気の毒な状態である。


「そうよね、あんなに一途に尽くそうとしているのにエリシオは何が不満なのかしら」


 エリシオの名前を出すと、噂の事を思い出して腹が立ってくる。


「エリシオがいらないっていうなら、私もクソ眼鏡と婚約破棄して、私がミーシャをもらおうかな~」


「ちょっと、マルティナ…何を口走っているのよ」


「だって、シャンティーって着せ替えで遊ばせてくれないから、ミーシャならやってくれそうだし、あっミーシャのメイド服姿も見てみたいわね…あと抱き枕の代わりになってもらうのもいいかも~ ミーシャも子供みたいに体温高いから、暖かくて気持ちいいのよ~」


 子供の頃の寒い日、猫と一緒に寝た事があって暖かかった記憶があるので、抱き枕の話には少し惹かれる。


「いやいや、マルティナ、侯爵令嬢のミーシャをメイドにしてどうするのよ、貴方の発言も結構ミーシャに対して失礼よ」


「だって、ミーシャをお婿さんにするのはもっと似合わないでしょ? そういえば、今オードリー様もいるから、オードリー様が私の夫で、ミーシャが私の娘って感じなら丁度良いと思わない?」


 どうやらマルティナは自分も混ぜた、お人形ゴッコというか大人おままごとを想像しているようだ。その場合、私の立ち位置は何になるのだろう。


「その話で私の役職は何になるの?」


「そうね…その前に、コロン様が私の母親でしょ、テレジアがおばあさん、レイチェル貴方は…そうね、隣の家の奥さん?」


「ちょっと、待ってよ、どうして私だけ貴方の家族の中に入っていなくて、隣の家の奥さんなんかになっているのよ」


 ちょっと、仲間外れにされた気分になったので、マルティナに文句を言う。


「あぁ、ごめんごめん、じゃあ、私の姉なんてどう?」


「私がマルティナの姉? …そういえば、貴方って、前世では幾つだったの?」


「えっ? 前世の歳? 18だけど」


「私より、年上じゃないの…まぁ、私はこちらで2年過ごしたから、それを合わせると同い年だけど…」


 マルティナの普段の言動からてっきり年下だと思っていたが、まさか年下だったとは…


「私の方が驚きよ、2年で同い年という事は前世では16!? 私、レイチェルの前世は二十歳回っていると思っていたわ」


「えっ?私、そんなに老けて見えるの!?」


「いや、落ち着いて見えるってことよ、悪い意味じゃないわ」


 そんなお喋りをしていた所に、教師が授業の為に教室に現れて、その姿を見た私たちは口を閉じて姿勢を正す。


 そうして、眠たくなる地理学の授業が始まるのであるが、私は何か足りない物を感じる。


「マルティナ…」


 私は小声でマルティナに声を掛ける。


「なに、レイチェル」


 マルティナも小声で返してくる。


「何か足りない物を感じない?」


「足りない物ってなによ?」


 私は頭を捻って何だか足りない物を思い出そうとする。


「あっ」


 マルティナが何か気が付いたように、普通の大きさの声をあげ、一瞬、皆の視線が注目する。


「いえ、なんでもありません。失礼しました授業を続けてください…」


 マルティナそう言って、皆に小さく頭を下げる。


「どうしたのよ、マルティナ」


 私は更に小声でマルティナに尋ねる。


「ちょっと、足りない物を思い出したのよ」


 マルティナも更に小さな声で答える。


「早く、教えてよ」


 私もマルティナに顔を近づけ小さな声で尋ねる。


「シス王女よ、最近、シス王女の姿も見かけないのよ」


「あっ!」


 私もマルティナの言葉で思い出して、大きな声を挙げてしまい、皆の視線を浴びる。


「ゴホン!」


 そして、先生が授業の手を止めて、私を睨みつける。


「すみませんっ! 部屋の鍵を閉め忘れたかもと思い出してつい…」


 私は口から出まかせの嘘をついて、その場を誤魔化す。


「申し訳ございませんでした。先生、授業を続けてください」


 私が頭を下げると、先生は黒板に向き直って授業を再開する。


「レイチェル、後の話は授業が終わってからにしましょ」


 そのマルティナの言葉に私は小さく頷いた。



 そして、授業終了後、私たちは再び会話を始める。


「ホント、忘れていたわ、最近、シス王女の姿も全然見ないわね…」


「そうね、アレン皇子たちの姿を見なくなった時から一緒に…」


 私はそこまで言いかけて、嫌な予感を感じる。


「ちょっと…もしかして、シス王女ってアレン皇子達と一緒に行動しているかも?」


「えっ? まさか…とは言えない状況よね…」


 私はゲームの中のアレン皇子のイベントの事を思い出す。主人公と好感度を高めると、最終的には、コロン嬢に対しての断罪と婚約破棄のイベントに突入する。しかし、本来の時期は冬の頃で、春の今では時期が早すぎる。


「ちょっと、マルティナどう思う? ゲームの中のイベントでは、主人公とアレン皇子がねんごろになって、コロン様の断罪イベントが起きるのは冬の時期のはず…シス王女が主人公の役職と変わったから時期が早まったのかしら…」


「あぁ、そっちの問題もあったわね…どうなんだろ、ゲームの中じゃ、学園に顔を出さずにイベントを進める事なんてなかったけど、ここは現実世界なんだから、学園でなくても二人でいれば好感度は上がるわよね…」


 マルティナも事態を呑み込めたのか、真剣な表情になる。


「それに、ディーバ先生にシス王女の事を頼まれているから、問題があったらディーバ先生に面目が立たないわ…」


「とりあえず、まだシス王女がアレン皇子達と一緒にいるかどうかは分からないから、先ずはシス王女の事を捜して見ましょう」


「そうね、先ずはシス王女ね」


 そうして、二人でシス王女を捜索することになった。







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