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悪霊令嬢 あくりょうれいじょう ~とんでもないモノに憑りつかれている私は、そのまま異世界に転生してしまいました~  作者: にわとりぶらま


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第089話 アレン皇子の押し付け

「では、今日の用事は以上だ、退室していいぞ、レイチェル君」


 私からのアープ家の報告が終わったので、退室を促される。この後すぐに、ディーバ先生とイニミーク氏の二人で詳細な打ち合わせを行うつもりなのであろう。その為に話を聞かせたくない私を追い払おうとしていると思われる。


「あの、ちょっと待って下さいディーバ先生」


「まだ何かあるのか?」


「はい、少し相談事がございまして…」


 私はそう言いながらチラリとイニミーク氏を見る。


「あぁ、彼の事なら大丈夫だ。口の硬い男だから安心して話しなさい」


 実際の所、私自身の事を話すのではなく、コロン嬢に頼まれたアレン皇子の素行についての事なので、他人、しかも軍人に話す事は躊躇われたがディーバ先生がそう言うのなら話してしまおう。


「実はですね、私の友人のコロン様…コロン・ミール・マウリシオ・ロラード侯爵令嬢の相談事で、その婚約者のアレン・カウ・アシラロ皇子の素行についてのご相談なのですが…」


 私がそこまで言うと、ディーバ先生は少ししまったといった顔をするが、諦めて私に向き直る。


「かまわない、続けなさい」


「はい、アレン皇子の素行の問題については以前もお話した通りなのですが…」


「あぁ、知っている」


「それが新たな問題が発生いたしまして…」


 ディーバ先生の眉間に皺が寄る。


「どんな問題が発生したのだ?」


「あの問題ある人物との…その男女の親睦を深めようとなさっているのです…」


「問題ある人物とは?」


「あのプラム聖王国のシスティーナ王女様です」


 私がシス王女の名前を挙げたとたんに、ディーバ先生は頭を抱える。


「あの節操無しの馬鹿が!」


 あの冷静沈着なディーバ先生が声を荒げて人を侮蔑する言葉を吐くのに私は少し驚く。しかも相手は普通の貴族ではなく、皇室の一人であるアレン皇子に対してである。


「これはマズいのではないか?ディーバ」


「あぁ、マズいに決まっている!外交問題にしか発展しないだろう! 帝国の皇子でありながら国益を考えないとはなんと愚かしい!!」


 ディーバ先生はそう言いながら、頭を抱えていた腕をダンッ!とテーブルに叩きつける。相当なご立腹である。どうやらディーバ先生は盲目的に皇族を重んじるのではなく、その立場にあった役割を果すことに重きを於いている様である。


「その婚約者のコロン様が、何度も注意と警告をなさっている様ですが、どうもアレン皇子は聞き流しておいでの様で、更にはそんなコロン様を疎ましく思って、突き放しておられるようです」


「その情報は確かなのか?」


 イニミーク氏が私に聞いてくる。この方はディーバ先生と問題を共有しているようである。


「はい、私はコロン様ご本人よりお話をお伺い致しましたので間違いありません。また、そこでこの問題に対する解決方法を摸索したのですが、学生の私たちのみならず、ロラード家の当主の力を使っても解決は難しいとの判断を下しまして、ディーバ先生にご相談に上がった次第です」


 私の言葉にディーバ先生は苦虫を噛み下したような顔をする。


「あぁ、確かに君たち学生でも解決は難しいだろうし、ロラード家の当主がでてきても解決は難しいだろう、皇帝陛下に声を届けるとしても、現段階ではただの素行不良でしかないからな…しかも、アレン皇子は皇帝陛下からすれば、お慕いしていた兄君の遺児、甘い判断をなさるに違いない」


 おそらく、皇帝陛下がアレン皇子に甘いのが問題の根本原因と思われる。本来はアレン皇子の指導をすべき教育係が機能していないのも、皇帝陛下のお気持ちを忖度しての事だと思われる。


「それでなんとかなりそうでしょうか?」


 私はディーバ先生の顔を覗き込む様に尋ねる。


「うむ…なんとかしなくてはならない! とりあえずは私がアレン皇子に強く注意をしよう」


「よければ、私も立ち会おう、改善が見られない場合には学園を辞めて従軍してもらうと」


 私は二人の言葉を聞いて、少し胸をなでおろす。対処不可能な問題を抱えていたのを、ようやく対処出来る人物に問題を手渡せた気分である。ディーバ先生に問題の丸投げに思えるが、私たちにはどうしようもないので仕方がない。


「ありがとうございます。これで肩の荷がおりました。よろしくお願い致します」


 私は感謝の気持ちを込めて、ディーバ先生に頭を下げる。


「気にしなくてよい。これは皇族と血のつながりがある公爵家の問題でもある。一族が一族の問題を他人から頼まれて解決するのに礼を受ける必要はない。こちらこそ、アレン皇子の問題を報告してもらえて礼を述べる側だ」


 こうしてアレン皇子の問題を報告した私はディーバ先生の事務室を後にしたのであった。




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



「アレン皇子はやっかいな人物だな…」


「あぁ、父親であったリュビオ様は優れた人物であったが、子がこの様な有様だとは…」


 レイチェルが部屋を去った後、私とイニミークは話を続ける。


「しかし、現皇帝の御心が、アレン皇子を次期皇帝にお考えのようだが、あくまでアレン皇子は皇帝候補の一人にしか過ぎない。どうしようもない場合は廃嫡するしかあるまい」


「そうだな、愚かな皇帝を頂いては帝国が傾く、それよりも問題はアープ家だ。たかが子爵家が力を持ちすぎては帝国内の力関係が崩壊しかねないし、帝国に対する忠義のほども不明だ」


 アレン皇子が我らの皇帝陛下として頂くには、その人物像がふさわしくないと考えるのは、私もイニミークも同じ考えのようだ。後は転移魔法陣という帝国内でラビタート家のみが保持していた技術を独自開発しうるアープ家の存在が問題である。


「レイチェル嬢の話では100人の転生者を抱え込んでいるようだな、たかが子爵家がもつ人的資源としては脅威過ぎるな。ゆさぶりが必要か?」


「ふむ、たしか法務省の人物…たしかトーヤとかいったか? その人物がアープ家に査察の任務についていると聞いたが、彼に少し動いてもらおうか」


 すでにアープ家に人材を派遣していたのか、しかもトーヤとは… 彼は優秀な人物であったが、今まで何も報告がないのは少しおかしいな。


「トーヤに関してはイニミークに任せる。私は私で動きを見てみる」




連絡先 ツイッター にわとりぶらま @silky_ukokkei


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※はらついの次回は現在プロット作成中です。


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