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悪霊令嬢 あくりょうれいじょう ~とんでもないモノに憑りつかれている私は、そのまま異世界に転生してしまいました~  作者: にわとりぶらま


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第028話 理由

 ディーバ先生はじっと私を見つめる。


「別に罰する為に、礼拝堂に連れて来た行為を問い詰めようとしている訳ではない。君自身の事情を察すれば、穏便に事を済ませたかったのも分かる」


 先生の言葉にリーフがうんうんと頷く。


「だか、普通に考えれば、礼拝堂ではなく、医務室に運ぶのが通常ではないのかね?どうして、ここの礼拝堂だったのだ?」


 あの時、リーフにも全ての事情を話していなかったので、先生のみならず、リーフも理由を聞きたそうにこちらを見ている。


「その件に関しては、少し記憶があるのですが…」


 私はそう答える。記憶といっても転生してからのレイチェルの記憶ではなく、前世での玲子の記憶だ。



 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 あれは、中学に上がり、『見る』事のできるクラスメイトと話した後の事だ。『アイツ』のせいで不幸をまき散らす体質の私は、親友のあーちゃん以外のクラスメイトとは関わらないように過ごしていた。


 今、考えるとあーちゃんが失恋を繰り返すのは私の不幸体質のせいかもしれないが、今さら後悔しても仕方ないであろう。兎に角、余計な敵を作らないように目立たず、人と関わらない学校生活をしていた。


 しかし、どこの世界にも余計な事を思いつく人物はいるもので、そんな私の態度を『気取っている』と感じた人物がいた。クラスカーストのトップの連中である。


 その連中はクラスカーストのトップにいる事を自覚しており、教室内で我が物顔をして、他のクラスメイトはその連中の顔色を伺っている状況であった。つまり、連中に教室を支配されていた訳である。


 そんな状況下のクラスで、人と関わらないようにしている私の姿は、連中にとってすましている、気取っていると写り、そこから生意気な奴と評価を下されてしまっていた。それで、連中の一人が、私に立場を分からせてやろうと考え始めたのである。


 それは、私がクラス委員の仕事で遅くなった帰り道で実行された。その時、少し田舎の街に住んでいたので、通学路の途中には人気の無い場所が幾つかあった。連中の一部が姿を現したのはそんな所であった。大きな木やうっそうとした繁みがある古びた神社の近くである。


「ちょっと、あんたさぁ」


クラスカーストのトップの一人の女子である。


「なんですか?」


 突然、日の暮れた帰り道でトップの一人に声をかけられた私は、訳も解らず返す。


「いつも、すました顔して気取っているけどさぁ~ 何、粋がってんの?」


 私自身はすまし顔をしているつもりはない。目立たないように無表情をしているのだ。これでも連中の機嫌を損ねないように無表情で通しているのに、それがすまし顔で粋がっていると言われるとたまったものではない。


「粋がるつもりはありません。なので、すまし顔に見えますが無表情にしているんです」


 私はこの様な連中とは関わり合いになりたくないので、すまし顔の弁明をする。


「はぁ? あんた、私を馬鹿にしてんの?」


 馬鹿にはしていないが、馬鹿だとは思っている。こんな問答をして何が楽しいのだろう。


 しかし、こんな事を考えていた間の沈黙が相手に肯定であると取られてしまう。


「あんた、やっぱり、私を馬鹿にしてんだ!」


 相手は私の沈黙を肯定と受け取り、いきなり激高して声を上げる。


「馬鹿にしていません! 声が出なかっただけです」


 もう遅いであろうが、抗議の声をあげる。すると、私の後ろからもう一人男子生徒が現れる。


「なぁ~キヨミィ、さっさとアレ、やっちまおうぜ、コイツにさぁ~自分の立場を分からせないとダメじゃん?」


「そうだよねぇ~ 私がこれだけいってやってんのに、まだすまし顔でいやがんの、こいつ! ムカつくわ~!!」


 私は今までの人生があるので基本、無表情で連中の言う所のすまし顔に見える。魚が魚である事に罪が無いように、元々すまし顔の人間がすまし顔でいて、何が悪いのか。


「この顔は生まれつきなので、それで気分を害したのならすみません…」


 はらわたの中では怒りまくっているが、連中がエスカレートして実害を及ぼして来たら面倒である。私は下げたくはないが、頭を下げる。


「はぁ~? 今更謝って許されると思ってんの? こっちは十分ムカついてんだけど!」


 ムカついているのはこっちの方である。人の見た目に勝手にムカついて、文句をいっているのはそっちの方である。自分の気分を絶対視して、それを害されたことに対して、相手を断罪する。なんて思いあがって傲慢な人間なのであろう。どうすれば、人はここまで傲慢になれるのか不思議である。


「キヨミィ、知ってる? こいつさぁ~、元々はいいとこのお嬢さんだったんだぜ、だからか、こんな田舎の学校に来てるのに、未だにお嬢様気分ですまし顔してんだぜ」


「それマジぃ~? ちょー笑えるんだけどぉ~ だから、すまし顔して気取ってんだぁ~ やっぱ、チョームカつく!! ユキオ、あれやっちゃおうか」


 すると、ユキオと呼ばれた男子生徒はズボンのポケットからスタンガンを取り出す。


「コイツをひん剝いて写メとるんだろ?」


「そうそう、着るものがないぐらい落ちぶれた元お嬢様の姿を写メ取って、SNSにバラまいて、自分の今の立場を分からせ遣ろうって、チョー受けるんですけど~」


 そう言って、女子生徒はゲラゲラと笑う。


 マズイ、これはマズイ。中学生がここまで考えるとは思わなかった。というか、顔が気に入らないぐらいで、何故、私がそこまでされなければならないのか、たまったものではない!


 私は身の危険を感じ、比較的逃げやすそうな女子生徒の脇を抜けて逃げ出そうとした。


「なめんなって!!」


 女子生徒は突然、学校のボストンバックを振り回す。私は咄嗟に身構えて受けとめようとした。しかし、次の瞬間、後ろの男子生徒がスタンガンを私に押し当てた。私は一瞬で意識を失った。



「玲子! 玲子!」


 私の名前を呼ぶ声がする。その声に意識が覚醒し、ゆっくりと瞼を開ける。誰かの顔が見えるが、日が暮れていて顔が良く見えない。


「…だれ…?」


「私よ、私! トモコよ!」


 この声は『見る』事の出来るクラスメイトの声だ。私はゆっくりと身体を起こす。


「玲子、一体、この状況はどうなっているのよ…」


「どうなっているって?」


 私ははっとして、気絶する前の状況を思い出す。服は着ているし、着衣に乱れはない。安心するが、周りを見ると先程の男子と女子の二人が、白目を向いて倒れている。


「えっ!? これどうなっているの?」


「いや、聞きたいのはこっちよ…」


 その後、私はこの状況に至る前の出来事を『見える』クラスメイトのトモコに説明する。


「…という事は、状況からして、貴方の中の『アイツ』が原因のようね…」


「『アイツ』が原因って…『アイツ』が何をしたの!?」


「それは歩きながら説明するわ、貴方はその男子を背負ってくれるかしら」


 トモコは女子の方を背負い始める。


「二人を背負ってどこへ行くの?」


「そこの大きな木が生えている所って、鎮守の森で神社があるところでしょ? そこへ連れていくわよ」


 そうして、私とトモコは二人を背負って、神社に向かって歩き出す。


「どうして、二人を神社に連れていくの?」


 私はトモコに尋ねる。


「…この連中ってさ、かなり性格が悪くてあくどい人間でしょ?」


「…まぁ、そうだね…」


 先程、私がされそうになった事を考えれば、否定する余地はない。


「たかが、中学生が思いつくようなあくどさじゃないでしょ?これってね、突然の話しだけど、背後霊のせいなのよ…」


「背後霊!?」


 突飛な話なので驚くが、冷静に考えると私についているモノの方がよっぽど突飛だった。


「子供の内は、肉体的にも霊的にも弱い存在だから、背後霊がついて子供を守護するものなのよ、でもね、その背後霊が性格的に良い人ばかりとは限らないのよ…」


「人間に良い人と悪い人がいるように、背後霊にも良い人と悪い人がいるんだ…」


「そうよ、だから子供の頃の性格は背後霊によって決まるようなものなの、それでね、大体二十歳ぐらいで、子供の魂と背後霊が癒着して同一化してしまうの」


 私は知らなかったが、魂と背後霊との関係はそんなものだったのか。


「それが二人を神社に連れていくのとどう関係するの?」


「この二人は今ね、貴方の中にいる『アイツ』のせいで、背後霊がいない状態なのよ」


「えぇ!?」


 私は驚いて声を上げる。


「背後霊が『アイツ』にビビッて逃げたのか、それとも『アイツ』に喰われたのかは分からないけど、今、この二人には背後霊がいない。そのショックで二人は昏睡している訳。二十歳になったらいきなり背後霊と魂が癒着する訳ではなく、すでに癒着しはじめているから、逃げた時か喰われた時に、魂の一部を失っているのよ」


 魂の一部を失っているので、ただ単に倒れていただけでもなく、背後霊がいなくなっただけでもなく、結構、大事になっている。


「だから、早く新しい背後霊をつけて、失われた魂の一部を補わなくてはならないんだけど、普通の場所では悪い霊が来てしまう事が多いの。魂を欠損している分、乗っ取りやすいからね。だから、神聖な場所へ連れて行って、良い霊がつくようにしないとダメなの」


 神社の境内に辿り着いた私たちは、二人を本殿の賽銭箱の前に降ろす。


「じゃあ、私たちは逃げるわよ!」


 そうして、私たちは二人を残して神社を後にした。後ほど聞いた話であるが、二人が家に帰ってこなかった事は深夜に大騒ぎになり、その後、明け方に発見されたそうだ。その二人の発見された状況の為、犯罪ではなく、二人で乳繰り合っていたのであろうと判断された。


 また、その後、二人は意識を回復したが、失踪当時の事は覚えていなかった。また、まるで中身が入れ替わったかのように人が変わってしまい、DQNの不良から、人柄の良い善人になったそうだ。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 以上が、玲子時代に経験した記憶であり、マルティナ嬢を礼拝堂に運んだ理由である。


 さて、この話をリーフとディーバ先生にどの様に説明しようか…

 


連絡先 ツイッター にわとりぶらま @silky_ukokkei


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もご愛読頂ければ幸いです。

※はらついの次回は現在プロット作成中です。


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