表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/86

第24話 旦那がどうしようもない奴だったら暗闇でタコ殴りにするヴァイオレンス王妃


「チェケチェケヨーヨー! ユーがセクリナータの言ってたヨシハルってボーイなのカイ? なんか変なヤツだナ! チェケラッ!!」


 コレに変なヤツって言われんの俺……?


 改めまして、依然としてスポットライトにガンガン照らされながら目の前でチェケチェケ言ってるジジイこそ、このシルベラ国を統治する国王……バッシャル=シルベラである。


 見かけは完全に優しそうなおじいちゃんなのだが、こんな感じで性格は一昔前のエネルギッシュなチャラ男風。


 椅子の上で小刻みにリズムを刻みながら俺の回答を待っている。突き出た腹がボヨンボヨンと跳ねる。


「あ、ああ……はい、そうっすね。俺がサカギリ ヨシハルっす。今回は魔王討伐のために、俺を勇者にしてもらいたくてですね……」


「ハッハー!! 娘から全部聞いてるサ! 魔王に呪いをチェケラされて、スタート地点まで戻されたんだローウ?」


 呪いをチェケラ!?


「なんともウソ臭い話だネェ……魔王がそんなワザを持ってるなんて、ワガハイ聞いたことねぇヨー……」


 チャラじいちゃんは疑いの目で俺を見つめてくる。


 そうだよな、普通は受け入れられねえよなこんな話。


「魔王が世界を滅ぼそうとしてるってのはワガハイも信じるヨー……だが、それとユーを勇者にするってのは話が別サ! 別にユーがやらなきゃいけない理由はないだロー? 腕利きは他にたくさんいるんだからネェ!」


「いや、俺が魔王を倒さないとベタノロが…………」


「それはユーの都合じゃねえかヨー? それに、仮に娘の話が本当だとしたら……ユーは一度、魔王に敗北しちまってるってことだよネェ?」


「くっ……それは…………!」


「世界を救うためなら、今度はユーより強いヤツを勇者にした方がいいってもんだヨー! ユーが再び勇者になって魔王を倒しに行ったとして、必ず勝てるなんて保証はないだロー?」


 くそっ、こんな頭悪そうなキャラなのに口論やたら強いのムカつく!!


「そろそろいいカイ? ワガハイも暇じゃないんだヨー!」


 俺が黙り込んだのを数秒眺めてから、バッシャル王が重い腰をよっこらせと上げて立ち上がる。


「なっ……お父さん!! こっちがこんなに大事な話をしてるっていうのに、またあそこに行こうっての!?」


 その様子を見ていたセクリが、怒りのこもった口調で問い詰める。


 コイツが語気を強めるのも無理はない。


 何を隠そう、この国王は…………。



「当たり前だロー!? ワガハイの……………ワガハイのかわいい子猫ちゃんたちが、酒をたくさん用意して待ってるんだからサッッ!!」



 擁護できないほどの変態クズゲス野郎なのである。


 現代でいうキャバクラのような……女の子たちが華々しくド派手な衣装に身を包み、酒に料理にお喋りにと、あの手この手で客をもてなすお店。


 そこにこのジジイは仕事をすっぽかして、昼夜も問わずに通っているようで。


 一国を治める王にあるまじき、己の欲望のみにまみれた自堕落な生活を送っているのである。

 

「シスコン兄貴にニャンピョン門番、それに酒と女が大好きなクソ親父……セクリお前、こんなヤツらに囲まれて、よく精神崩壊せずに生きてられるよな」


「まあ、物心ついたときからだし……慣れよ慣れ。私だってある程度大きくなってからここに養子として引き取られた、とかいうシチュエーションなら、カベ噛み砕いてでも脱走してたと思うわ」


「俺だったら生まれつきだろうが何だろうが耐えられねえけどなぁ。秒給50万くらい貰わねえと割りに合わないだろこんな家庭」


「そうね。もしかしたら私もまともなのが自分一人だけだったら、すぐさまギブアップしてたかもしれないわ。でも……」



 パリーーーン!! とド派手なサウンド。



「この家には…………あの人がいるから」



 どうやら天井にあったスポットライトが全て割られたようで、部屋が真っ暗になる。



「ギャプェェェェェェェ!!!」



 暗闇の中、国王の変な断末魔が聞こえる。


 そして、何かを殴りつけるような鈍い音が、何十回も鳴り響く。


 それが完全に止まったとき、セクリがスタスタと歩き始め、部屋の電気をつけた。


 階段の上を見ると、クレーターのようにボッコボコになった血だらけのバッシャル王の顔が、ある人物に鷲掴みにされていた。



「アホスケが…………黙って聞いとりゃあ、お客さん放ったらかしにしよって、こんな朝早くから女遊びしに行こうってハラかえ? ええこっちゃなあ、楽しそうで」



 そうだった。この人の存在を忘れていた。


 聞くもの全てに恐怖を植え付ける、京言葉のような特徴的な喋り方。


 これまたベージュ色の艶やかな髪を、今度は頭の上で真ん丸いお団子状にまとめた、スレンダーな女性。


 真っ黒なドレスから伸びた細腕で、グッチャグチャになった国王の頭をボールのように握りしめている。


 良かった、やっとまともな人が来てくれた!!


「うちという良妻が()りながら、毎日のようにわっかい女とイチャコライチャコラ…………絞め殺したんぞ、このボケ旦那」


 覚悟しろ有象無象の変人ども!!


 バッシャル王の妃にしてセクリの母親、そしてこの家で最強の人物であるヒノタリア=シルベラ…………ヒノ様のご登場だぜっ!!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 冒頭すぐの「コレに変なヤツって言われんの俺……?」のとこが好きです(笑) 王様の顔面わしづかみにしてる人を見ての「まともな人が来てくれた!」で吹きました。待って。多分だけどその人もだいぶあ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ