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異世界から日本に帰ってきたらなぜか魔法学院に入学 この際遠慮なく能力を発揮したろ  作者: 枕崎 削節


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85 八校戦開幕

 桜と明日香ちゃんがお腹いっぱいになるまで食べまくった歓迎パーティーの翌日からは、いよいよ各部門のトーナメントが始まる。


 各校で実施されている模擬戦と同様に近接戦闘部門と魔法部門に分かれており、それぞれの部門では学年別トーナメントと学年の制限がないオープントーナメントが一斉に始まっている。


 ちなみに、それぞれの部門に重複してエントリーは出来ない。個人戦で参加可能なのはあくまでも1種目だけという規定が設けられている。


 重複出場が可能なのは個人戦終了後に実施されるチーム戦で、こちらは個人戦出場生徒がエントリー可能。



 トーナメントの抽選が行われて各部門の対戦表が発表されると、殊に第1魔法学院以外の生徒の間に大きなどよめきが広がる。



「おい、近藤勇人が学年トーナメントに回っているぞ!」


「去年2年生ながらオープントーナメントを制したのに連続優勝を狙わないのか?」


「もしかして第1にはあの近藤を上回る強者が控えているのか?」


 昨年オープントーナメントを制した近藤勇人のエントリー種目に関して、各校の参加生徒の間に大きな驚きが広がっている。


 もちろん各校の生徒会は第1魔法学院の特待生の存在を知っているし、あの決勝の局地戦が発生したかのような戦いぶりをデータとして持っている。だが資料として画像を見たのと、実際に目の当たりにしたものとは印象が違うということもあるだろう。ことに映像を直接見ていない生徒たちにとっては、あの兄妹の戦いぶりなど想像の埒外に違いない。


 ともあれ昨年の覇者である勇人が学年トーナメントに回ったという事実を各校とも重く受け止めているのは紛れもない事実。




 さて個人戦の第1魔法学院であるが、1年生に関連した部門では次のように出場者を決定している。()内は他学年の生徒。



 近接戦闘部門1学年トーナメント  …… 二宮明日香 神崎カレン


 近接戦闘部門オープントーナメント …… 楢崎桜 楢崎聡史


 魔法部門1学年トーナメント    …… 荒川涼香 遠藤明


 魔法部門オープントーナメント   …… 西川美鈴 (服部紗香)


 

 この中でトップを切ってトーナメントに登場したのはカレン。開幕直後の1回戦第2試合に姿を現す。



「ただいまから1学年トーナメント第2試合、第1魔法学院神崎カレン対第3魔法学院吉田大作の対戦を行います」


 第3演習場にアナウンスが流れると対戦校が陣取るスタンドから応援の声が沸き起こる。赤と青の入場門から登場した両選手に対して「ガンバレー!」という声援が湧き起こっている。


 青い入場口から登場したカレンは学内の模擬戦と同様の防具に身を包み手にはミスリルのメイスといういで立ち。ちなみに最近になってカレンの棒術スキルがランク3に上昇したおかげもあって、パワフルな棒捌きに加えて技術的な面でも明らかな向上が見られる。しかも現在のステータス上のレベルは32まで上昇しており、ただでさえパワフルなところに持ってきてますます一振り一振りのメイスのスイングがとんでもない勢いに。ここまで来てしまうと他校の1年生たちにとっては脅威では済まない存在であろう。



「トーナメント一回戦、はじめぇぇ!」


 審判の手が振り下ろされてカレンの初戦が始まる。相手の第3魔法学院の生徒は剣を手にした男子。



「女子が出てくるなんて、第1魔法学院はどうなっているんだ?」


 近接戦闘部門学年別トーナメントに出場している他校の生徒はごく一部の例外を除いて男子が大半を占めているのが実情。これは男女の体力的な違いが要因で、1年生の段階では女子がこの差を埋めるのが中々難しいことを現している。だが彼の疑問はひとたびカレンがメイスを振るった瞬間にあっさりと打ち破られていく。


 ガキーン!


 唸りを上げていきなり飛んでくるメイスが剣にぶつかる音が響くと、あっという間に彼が手に持つ剣は彼方に吹き飛ばされる。得物を失って呆然と立ち尽くす相手に対して、なおもカレンの猛攻は続く。


 唸りを上げるメイスが防具の上から強かに相手の足を払っていく。いや、それは単なる足払いなどという生易しいものではなくて、足の骨の1、2本を簡単にへし折るような強烈な薙ぎ払い。


 ドザッ!


 相手は芝生の上に転がされて両足を抑えて呻き声をあげている。



「勝者、青!」


 立ち上がれない相手の様子を見て審判が判定を下す。それと同時に待機している救護担当者に担架を要請するゼスチャーを示す。それを見たカレンは…



「すぐ治しますから担架は必要ありません」


 努めて冷静な表情で審判に告げると、手をかざして治癒魔法を発動。白い光が右手から放たれて痛めた両足を包むと、倒れていた男子生徒はあっという間に痛みが引いて不思議そうな表情を浮かべる。



「ま、まさかこれが治癒魔法…」


 初めて目にした治癒魔法に治してもらった本人が口をパクパクして驚いている。だがそれ以上に驚いたのは間近でこの光景を目撃した審判と観客スタンドの他校の生徒。


 

「それでは失礼します」


 一言だけ言い残してから、カレンは控室へと戻っていく。会場全体にはカレンの回復魔法の印象だけが強く残って、その戦いぶりなど誰もの頭からすっかり抜け落ちているのだった。






   ◇◇◇◇◇






 2時間ほど間隔を置いてから、今度は明日香ちゃんが1回戦に登場してくる。相変わらずヤル気のない態度だが、昨日のパーティーでたっぷりデザートを補給しただけあって機嫌は上々。だが…


(ふう~… プロテクターがますますきつくなってきましたよ~。さすがに昨日調子に乗りすぎて、カロリー高めのデザートを食べすぎました)


 あの明日香ちゃんが心の中で珍しく食べすぎを反省している! これはひとつの大事件といっても差し支えないであろう。だが彼女はまだ知らない。今夜の食事にも数種類のデザートが用意されており、無料で食べ放題となっていることを。



「ただいまから1学年トーナメント第9試合、第1魔法学院二宮明日香対第8魔法学院滝川良治の対戦を行います」


 アナウンスが流れると、これまでの試合同様に応援の声が盛り上がる。だがどんなに周囲が盛り上がろうとも明日香ちゃんは相変わらずの平常運転。


(桜ちゃんとの約束ですから1回は勝ちますけど、私は絶対にそれ以上は頑張りませんよ~)


 明日香ちゃんの中では約束通りに最低限のノルマを果たすだけと決定している模様。それよりもどうにかして食べ歩きが実現しないのかとまだしつこく考えている。一刻も早く目を覚ましてもらえないものだろうか? 本当に明日香ちゃんの目を覚ますのは目の前に何かご褒美がブラ下がった時だけなのだろうか?



 明日香ちゃんは青のプロテクターを着けて手には金属製の槍を持っている。相手の第8学院の生徒は頭ひとつ明日香ちゃんよりも上背があり手には大型の模造剣を握る、いかにもパワーファイターというタイプ。



「トーナメント一回戦、はじめぇぇ!」


 開始の声と同時に、相手は明日香ちゃんに向かって斬りかかろうと突進してくる。剣を大上段に構えて力任せに叩き付けようと目論んでいる様子がありあり。だがそんな相手の無謀な攻めの姿勢は明日香ちゃんの目からすると隙だらけに映る。



「えいっ!」


 リーチが長い槍を手にする明日香ちゃんはガラ空きの足を素早く払いに出る。宙に浮いている相手の左足に向けて槍が横からすくい上げるように当たると、想像以上の力で横方向に足が持っていかれている対戦者。この程度のタイミングを合わせた足払いなど、槍術ランク5に上昇した明日香ちゃんにかかれば実にお手軽なお仕事。



「うわぁぁ!」


 絶妙なタイミングで足を払われた相手はその場で踏ん張ろうにも横方向に足を取られてままならず、そのままもんどりうって転倒する。地面に転がった相手の首元に槍の穂先を突きつけると、そこで勝敗が決する。



「勝者、青!」


 無様に地面に転がったままで明日香ちゃんの勝ち名乗りを聞いた相手は芝生を叩いて悔しがっているが、それはもう後の祭り。明日香ちゃんを侮って迂闊に攻めようとした挙句に槍のリーチに文字通り足をすくわれた格好となっている。



(はぁ~、これでノルマ達成ですよ~。あとはこの大会をコッソリ抜け出して大阪の街に食べ歩きに出たいですねぇ~)


 こうして明日香ちゃんは1回戦を終える。その頃、スタンドでは…


 

「おいおい、第1魔法学院は1年生のトーナメントに女子を出してきてすでに勝負を諦めているのかと思ったが、あれは只者じゃないな」


「あんなパワフルな棒術に技巧派の槍使いなんて、これは女子といえども相当にレベルが高いぞ」


「そういえば第1魔法学院には勇者がいたはずだけど、もしかしてトーナメントに出ていないということは…」


「おそらくどちらかに負けたんだろうな」


「ヤバくないか?」


「ああ、相当ヤバいだろう」


 このような会話がスタンドで観戦している他校の生徒間ではしきりに囁かれるのであった。





   ◇◇◇◇◇





 明日香ちゃんが1回戦を終えた直後、第3屋内演習場には美鈴が登場している。



「美鈴さ~ん、頑張ってくださ~い!」


 大きな声で声援を送っているのは事実上聡史と美鈴の愛弟子である千里。美鈴の防具装着の補助要員も兼ねている。フィールドに立つ美鈴は千里の声に反応してニッコリしながら軽く手を振って返す。その表情から窺うには、どうやら緊張とは無縁な様子。



「ただいまから魔法部門オープントーナメント第10試合、第1魔法学院西川美鈴対第2魔法学院東千春の対戦を行います」


 対戦する相手は、昨年のこの大会のオープントーナメントで準優勝をしている第2魔法学院の切り札との呼べる3年生。だが相手と開始戦で向き合う美鈴は、彼女の直近の模擬戦を自らの手で分析しただけあってその力量をほぼ正確に把握していっる。



「トーナメント一回戦、はじめぇぇ!」


 試合が始まると同時に相手は魔法を撃ち出そうと可能な限り素早く術式を構築。さすがは全国的にも3年生のトップだけに、その速度には目を見張るモノがある。



「ファイアーボール!」


「魔法シールド!」


 だが美鈴の鉄壁の防御は飛んでくる炎を簡単に受け止めて四散させていく。その後の試合展開は美鈴が1発魔法を放つだけであっという間に決着という呆気なさ。



「勝者、青!」


 一礼をしてから美鈴が控室に下がっていく。その姿を見送るスタンドの生徒は、あまりにレベルが高い美鈴の魔法に呆然としたまま。やがて観客たちが驚きから覚めると徐々にスタンドにざわめきが広がっていく。



「おい、現代魔法で爆裂する術式の存在って噂じゃなかったんだな」


「俺も初めて見たけど、いまだに信じられないぞ」


「バカ! それよりもあの魔法シールドに注目しろよ! あんな魔法を使えたら無敵だろうが」


「最強の攻撃力と最強の防御力を併せ持つ魔法使いか… 1年生の身でオープントーナメントに出てくるから何かあるとは思ったが、これはもはや新世代だな」


 模擬戦で散々美鈴の力を見せつけられた第1魔法学院の生徒は冷静な態度を保っているが、他校の生徒の間には多大なるセンセーションを巻き起こしている。



 そして間もなく、オープントーナメントには立て続けに例の兄妹が登場する時間が間近に迫るのであった。


最後までお付き合いいただいて、ありがとうございました。この続きは火曜日に投稿予定ですが、もしかしたら明日も投稿ができるかも… ちょっとこの辺は進行状況が流動的なので過度な期待はしないでいただけると助かります。


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