321 トーナメント決勝とペナルティ
いよいよ個人戦トーナメント決勝を迎えて……
真美が療養棟に運ばれた直後に、第1訓練場では2年生の準決勝〔 渚 VS 頼朝 〕の試合が予定通りに行われていた。
前述した通り頼朝は体格を生かしたパワーファイター。長いリーチと並外れた体力を生かして相手を一方的に押し込む戦法が得意。だがこと渚が相手となると、その戦い方がかえって仇となる。そもそも頼朝が手にする中型剣と渚の得物の槍では最初からリーチに差がある。つまり頼朝は今度は相手のリーチに苦しめられる試合を強いられるのであった。
頼朝は武器の差を埋めるために何度も突進を試みるが、その度に隙が生まれてしまう足元を渚に狙われて向う脛を何度も強かに叩かれる。その結果徐々に機動力を失い、最後は痛みに耐えかねて膝をついたところに槍の穂先を突き付けられて敗北を喫した。
剣士が相手なら無類の強さを発揮する頼朝であるが、レベル的にも格上で槍を扱う渚には手も足も出ない格好となった。本人もこの課題は重々承知しており、しばらくは槍士対策に重点を置いた訓練を行うだろう。
この結果2年生の個人戦トーナメント決勝は〔 美晴 VS 渚 〕と決定する。なおその後に行われた3年生の準決勝は、谷間の世代ということもあって特に見どころもなくこの場での解説は省略。
◇◇◇◇◇
午後になるといよいよトーナメント決勝戦が始まる。まず登場したのは1年生の決勝進出者である学と優一。
開始戦で向き合うと、先に優一が声を掛ける。
「君とは色々あったが、今日はひとりの人間として生まれ変わった僕を見てもらいたい」
「わかりました」
短い遣り取りの後、審判から開始の合図がかかる。優一は落ち着いた表情で心を研ぎ澄まして剣を正眼に構える。その姿に思わず学の口から声が漏れる。
「なるほど、安部君の努力が伝わりました。構える剣に一切の乱れがない。精神を正しく集中している証です」
「君にそう言ってもらえるのは、僕にとって最大の賛辞だよ。人生をやり直すつもりになって浜川先輩に鍛えてもらったからね」
今この場で対峙している優一は、学から見てもその言葉通りに全くの別人のよう。人を見下していいように利用しようとする悪辣な面はすっかり影を潜めており、現在は生徒会の一員として他の生徒に役立ちたいという姿勢が顕著という噂も聞こえる。
どうやら現生徒会長の茂樹はいい仕事をしているよう。ここまで優一を立ち直らせてだけでも称賛に値する。対して学は…
「浜川先輩直伝の剣ですか。構えひとつ見てもその凄味が伝わってきます」
「何を言っているんだい。君は僕にとって最大の目標なんだよ。そしていつの日にか君に追いついて、その口から『ライバルだ』と言わせてみせる」
優一は声にこそ出さないが、浜川から手を差し伸べられたあの日から学を憧れの目で見ていた。何もそれは一方的に敗北を喫したせいだけではない。学の何事も前向きに捉えて素直に吸収していこうとする姿勢… それこそが最も自分に欠けていると自覚して、心を入れ替えてひたむきに日々の訓練や生徒会の仕事に明け暮れていた。その努力もあって、今や生徒会になくてはならないメンバーのひとりに挙げられている。もちろんこれは優一本人が望んで選んだ道であって、けっして茂樹から強制されたわけではない。そんな環境に身を置く優一自身は、これまでのギスギスした人間関係に比べて明らかに自由に気持ちを曝け出せるとあって、日を追うごとに他人に配慮できる真っ当な性格に変わってきている。
そして二人の対戦の火蓋が切って落とされる。初手は優一が剣を振り上げながら学に斬りつける展開。だが学は余裕をもって優一の突進を躱しては、脇腹に一撃入れようとアッパー気味のパンチを繰り出す。
これを紙一重で回避した優一は…
「ふぅ~、危ない危ない。この前対戦した時と比べて君だって別人じゃないか。掠っただけでもとんでもない衝撃が伝わってきたぞ」
優一は余裕ぶって喋っているが、その内心では冷や汗が止まらない。あんな強烈な攻撃を1発でも食らったら、もうその場でジエンドだと理解している。学のカウンター攻撃を避けられたのは、いってみれば奇跡に近かったと彼自身が一番わかっているよう。
「え~と、その、僕にも言葉には言い表せない出来事が色々とありまして…」
対する学の脳内には、走馬灯のように桜の無茶振りとジジイに付き合わされたあのダンジョン紀行が蘇っている。誰でもあそこまでの出来事を身を以って経験すれば別人にもなろうかというもの。いや、むしろ別人にならない方がどうかしている。学がこうして素直な人格を保っていることこそが、ある意味奇跡のようなもの。
そして両者が再び無言となって、再度優一が踏み込んでいく。それは自分の力が学にどこまで通用するか試すがごとくの、なにも細工をしない真っ向勝負であった。だが学は易々とその剣を躱しては…
ボスッ
今度こそフック気味の一撃が優一の鳩尾を捉えている。その猛威に耐えかねて優一は白目を剥いて手の内の剣を取り落としては、そのまま前のめりに崩れていく。
「そこまで、勝者、中本学」
審判の裁定が下ると、本部席からカレンが駆け寄ってその場で優一の治癒に当たる。これまでは療養棟で待機していたが、決勝戦くらいはライブで見たいと希望しての措置であった。
「安部君、大丈夫?」
「あ、ああ… 僕は負けたようだな。物凄い衝撃だったよ」
「いや、安部君の剣は今回のトーナメントで対戦した誰よりも鋭かったよ。やっぱり安部君は僕のライバルだ」
「お世辞でも嬉しいな。いつかまた、こうして戦おう」
「そうだね、その時はどうかよろしくお願いします」
こうして立ち上がった優一と学は握手を交わして健闘を称え合う。その姿にスタンドからは大きな拍手が沸き起こっている。勝者の学にはもちろんのこと、敗れた優一にも「グッドルーザー」という意味合いの拍手が盛んに送られた。おそらくこの時こそが、茂樹によって反対を押し切るように生徒会に引き入れられた優一を全校生徒が認めた瞬間であっただろう。
時間を置いて今度は2年生の決勝戦。美晴は赤の門から渚は青の門からフィールドに登場してくると、スタンドは万雷の拍手と歓声に包まれる。やはりこれまでの実績からいってデビル&エンジェルを除くと2年生ナンバーワンはブルーホライズンに他ならない。その中でもこうして決勝まで勝ち残った両者の対戦とあっては、全校の注目を集めるのは当然の成り行き。
開始戦に立つ美晴は、相も変らぬ絶好調ぶりで自信が漲っている様子。対して渚は努めて冷静な表情を崩さずに対峙している。
「試合開始ぃぃ」
審判の合図が響いて、いよいよ注目の一戦が開幕。
互いに同じパーティーというだけでなくて共に前衛を務める間柄とあって、一番間近でその動きを見ている同士。手の内は目を閉じていてもわかるくらい熟知している。
初手は渚が盛んに仕掛けては、美晴が盾で弾き返す流れが続く。だがこうした真剣勝負で初めて槍と盾を交える両者は、心の中でまったく同じような感想を抱いている。
((やりにくい))
美晴からしたら渚の攻撃を跳ね返すことは可能でも、肝心の渚が遠すぎて自らの攻撃がまったく届かない。逆に渚としても、美晴の鉄壁の防御に手を焼いてダメージを与えるスキが全く見当たらない。
上段、中断、下段、右左と高速で突き分ける渚の槍を手にする盾で難なく迎撃する美晴。しまいには盾に槍の穂先が当たるたびにカンカン響いていた音が、息をも付かせない連続音になって聞こえてくる。しばらくは両者とも我慢の展開。いつもならこの辺でシビレを切らして自ら突進していく美晴も、これだけ鋭い渚の槍を前にして迂闊に前には出られないよう。
あまりに激しい両者の打ち合いを固唾を飲むように見守るスタンド。その一角では美鈴が聡史に尋ねている。
「聡史君、渚ちゃんが押しているように見えるけど、どうなのかしら?」
「そうだなぁ~…。一見互角の展開だけど、勝敗はわずかなチャンスを掴む勇気があるほうに傾くんじゃないのかな。その点でいくと…」
この先の言葉を敢えて聡史は濁している。ドラマのエンディングを明かすのは無粋だと言わんばかりの態度。隣の桜も聡史の発言に意味ありげに頷く。
そのまま同様の打ち合いでしばらく時間が経過する。ここで美晴が…
(さすがに埒が明かないな~。そろそろ仕掛けないとダメだよね)
どうやら一か八かの賭けに出る様子。というよりも美晴が勝つには何とかして渚との距離を詰めるしかない。
美晴は渚に悟られぬようにジリジリと距離を詰めにかかる。それは1センチずつ足を動かしていくような忍耐が必要な動き。その間にも連続して迫ってくる渚の槍に対応しなければならないので、有りっ丈の集中力を動員している。そして渚に気取られぬようにほんの10センチ間合いを詰めた美晴は、いよいよ勝負に打って出る。
自分から見て左に向けて突き出されてきた槍を盾で受け止めずに体を開いてやり過ごす。さらに渚が引き戻す直前で槍の穂先に思いっきり盾をぶつける。その勢いに負けて槍が大きく軌道を外れた渚は、慌てて手前に引き戻そうとする。だがそのわずかな時間を利用して、美晴が渚の懐に飛び込んでいた。
「不味い」
あっという間に接近してくる美晴に対して、渚は懸命のバックステップで距離を維持しようと試みる。だが美晴もこのチャンスを逃すまいと食い下がっては、渚との距離をさらに詰めにかかる。
盾を前面に翳して接近してくる美晴はすでに渚の目の前。やむを得ず渚は槍を縦に構えて防御の姿勢。対する美晴は盾を前面に押し出したまま強烈な体当たりを開始して、そのまま一方的にグイグイ押し込んでくる。ここまで接近されてしまうと、槍士には為す術がない。あとは何とか美晴をいなして再び距離を取って自らの形に持っていくほかない。だが接近戦専門の美晴がそうやすやすと自らの間合いを手放すはずもなく、盾に力を加えて押し込んでくる。
この時点で渚は美晴から猛烈な圧力を受けて押し返すもままならない状況。なにしろ美晴はデュラハンとの秘密特訓でレベルが上昇しており、以前にも増して強烈な圧力を発揮可能。このまま押し込んでいけば、いずれは守勢に回っている渚の体力が尽きるのもそう遠からぬ話ではない。
「ぅおりゃ~~~」
一際気合いが入った掛け声をあげた美晴がさらに力を込めると、渚の体が後方に押されて密着していた体同士に隙間が生じる。渚は「今がチャンス」と考えて思いっきり後方に飛び退ろうとする。だがこれこそが美晴の思う壺。両足に力を込めてダッシュすると、その勢いのままを渚に叩き付ける。
「キャァ~~」
美晴の強烈なシールドバッシュを叩きつけられた渚は、重心が後方に置かれていたのも相まってそのまま吹き飛ばされて芝生に転がる。そして美晴が肉食獣のような素早さで腰の短剣を引き抜いては、渚の眼前に突き出す。
「そこまで、勝者、山尾美晴」
「「「「「「「「うわぁぁぁぁ」」」」」」」」
審判の裁定が下ると、スタンドからは大歓声が沸き起こる。その多くは防具であるはずの盾をここまで自在に使いこなして、ついには学年の頂点に立った美晴への称賛であった。
「絶好調~!」
美晴は短剣を空に突き上げて歓声に応えている。そんな姿を見上げながら起き上がった渚が歩み寄って握手を求める。
「完敗だった。美晴はすごいな」
「いや~、特訓の成果が出ただけだよ~」
こうして大きな拍手に包まれたまま両者は退場していく。この後は3年生の決勝戦が行われるが、谷間の世代とあって… 以下略
◇◇◇◇◇
翌日、第3訓練場にはいつものようにEクラスの面々が集って来週から開幕するチーム戦に備えた訓練が始まっている。1年生は学が優勝し、2年生は美晴が栄冠に輝いたとあってムードは最高潮。
今日まではドクターストップで訓練禁止が言い渡されている真美以外の面々が顔を揃えて、気合いの入った練習をしている。練習とはいっても実際にチームで対戦しながらフォーメーションを確認したり、チーム内の戦術を見直したりという内容が中心で、実戦さながらの白熱した戦闘が繰り広げられる。
やや日が傾いた頃になると、桜が全員に呼び掛ける。
「疲れが残らないうちにそろそろ上がりましょうか。あっ、そうでしたわ。私たちとブルーホライズン、それから信長たちは残ってもらいますわ」
「桜ちゃん、急にどうしたんですか? わざわざ居残り特訓でも始めるつもりですか?」
「まあまあ明日香ちゃん、この場は私に仕切らせていただきますの」
ということで、桜から指名をうけた面々はこのまま訓練場に残って、他の生徒たちは汗を流しに学生寮に向かう。もちろん桜のペットたちも当然のような表情でこの場に居残っている。
全員が一体何を始めるつもりだという表情で桜の元に集合すると、やおら桜が切り出し始める。
「昨夜カレンさんから事情は聞きましたわ。旅館(元原を指す)と横田は試合中にセクハラ行為を働いたそうですわね~」
「ボ、ボス、何かの誤解です」
「ボス、けっしてそんなつもりではなくて偶然手が触れただけです」
懸命に言いつのろうとする男子2名に向かって、桜はやや目を細めがちにして問いかける。
「確か旅行の時にも盗撮をしていましたわね~」
「も、申し訳ございません」
「ほんの出来心です」
「ほほう、やはりセクハラをしたという自覚があるんですね」
桜の眼光に射竦められて二の句が継げない両名。ますます桜の瞳が凶悪なまでの光を放っている。これは非常に危険な前兆といえるだろう。
「ボス、どうかお許しを」
「お慈悲をお願いいたします」
すでに元原と横田は芝生の上になりふり構わず土下座状態。頭を擦り付けて桜に許しを乞うている。もうこの頃になると、集まった全員には桜は何をしたいのかがわかっている。同時に2名の男子生徒が無事にこの訓練場から出られるのか、やや不安げな表情。
「そうですねぇ~… それでは50メートルで許しましょう」
桜の口から飛び出た言葉に一瞬安堵の表情を浮かべる元原たち。だが「許す」の前にあった「50メートル」という言葉の意味が理解できずに、頭上には???を浮かべている。もちろんギャラリーたちにもテンで理解不能な模様。
「あ、あの、ボス… 50メートルというのは何でしょうか?」
「すぐにわかりますわ。横田は私の前に立ちなさい」
「イエッサー」
もちろん口答えなど出来るはずもなく、横田は身を震わせながら桜の前に立つ。そしてその直後、桜は横田の股間を思いっきり蹴り上げた。
「ギャァァァァァァ」
糸を引くような絶叫を残して、横田の体は空高く飛び出していく。そしてほぼ50メートルほど上昇したと思ったら、今度は重力に引かれて放物落下。数秒後、やや離れた場所に大きな物音を立てて着地する。
当然ながら横田の全身のパーツは曲がってはいけない方向に向いており、特に首は顔の部分が完全に背中側に向いている。
「カレンさん、お願いしますわ」
「あまり気は進みませんが、さすがにこのまま放置はできませんよね」
カレンの手から光が放出されると、横田の体は一瞬で元通りに。だがカレンもそうそう女神の慈悲を安売りをしているわけではない。痛みと恐怖の記憶は消さずにそのまま回復させているので、横田の体は死の恐怖に怯えるがごとくにピクピク痙攣を繰り返している。
「さて、残るはもうひとり」
桜がいまだ土下座状態の元原に視線を向ける。もちろん元原にはこれから自分の身に何が起きるのか十分に伝わっている。桜の「50メートル」発言とは、地上50メートルまでブッ飛ばすという意味に間違いない。
ここで元原には2つの選択肢があった。ひとつは甘んじて桜のペナルティに応じる道と、もう一つはこのままこの場から消え去って誰にも知られない場所でひっそり生きていくという道。このギリギリの選択にあたって、元原の心の中では恐怖心が上回った。正座状態から立ち上がると、そのまま一気にダッシュして逃走を図る。
「私から逃げおおせようとはいい度胸ですわ」
だが桜が黙ってはいなかった。瞬時に加速すると、走り出した元原にあっという間に追いついている。そしてそのままケツを思いっきり蹴飛ばす。
横田とは違って元原の体は水平方向にたっぷり50メートル飛んで、フィールドとスタンドを区切っているコンクリート製の壁に激突。その勢いのままに体がコンクリートの壁にスッポリめり込んでいる。
「まったく手を焼かせてくれますわ。ポチタマは壁から取り出してもらえますか」
「主殿、承知いたしました」
「主殿の頼みとあらば、妾たちは喜んで従うのみじゃ」
天狐と玉藻の前がいそいそと元原が埋まっている壁に向かう。ギャラリーが集まっている場所からするとフィールドの反対側の壁に元原はめり込んでいるので、桜の宣言通り水平方向に50メートル飛んだのは間違いなさそう。さすがは有言実行の桜といえる。
このような位置関係にあるので、2体の大妖怪による元原救助の様子はギャラリーたちからは見えにくい状況。様子を窺うためにはポチタマの声を聞くしかなさそう。
「どれどれ… やや、これはかなり隙間なくめり込んでおりますな~」
「中々手を焼かせてくれるものじゃ。どれ、腕を引っ張ってみるのじゃ。ありゃ、片腕がスッポリ取れてしまったのじゃ」
「姉上、そのように力任せにしてはいけませぬぞ。我のように丁寧に扱わねば… むむ、こちらの腕が抜けてしまいましたぞ」
ポチタマの声で凄惨な現場の様子が伝わってくるが、ギャラリーの皆様方は精神衛生のために敢えて聞こえないフリをしている。続けて…
「さすがに首がとれてしまうのは不味いのじゃ。何とかならぬかえ?」
「姉上、こうなりましたら無理やりにでも胴体を引っ張り出すしかなさそうですな」
「面倒なのじゃ。いっそ壁を壊して取り出せばよかろうて」
「そこまで無茶をいたしますと、原形を留めなくなりまするぞ」
「仕方がないのじゃ。力を合わせて引っ張り出そうぞ」
もちろんポチタマの遣り取りはギャラリーの皆様に聞こえてはいるが、誰もそちらの方向には目をくれないようにしている。
「ふぅ~、なんとか取り出せたのじゃ。手を焼かせおって、戯れに腕を左右反対に取り付けてくれようか」
「姉上、それはさすがにお戯れが過ぎまする。正しい位置に置きましょうぞ」
確かに腕を左右反対に取り付けられてしまっては、日常生活に何かと不便を来しそう。天狐の判断力に元原は敬意を示してもらいたい。そうこうするうちに…
「主殿、すっかり取り出せましたぞ」
「ご苦労様ですわ。それではカレンさん、お願いいたします」
「はい、復活」
どうやら元原はすでに事切れていた様子。これまで臨死体験は数え切れないほどあるにせよ、本格的に死んだのは初めてであろう。カレンがいてくれてよかった。
ということで体はすっかり回復したものの、いまだに悪夢にうなされている両名はそのまま療養棟に運ばれていく。最後に桜が…
「信長、あのセクハラコンビが悪さを働かないようにしっかりと監視してください。もし今度何か仕出かしたらパーティー全員の連帯責任で同じ目に遭わせますわよ」
「「「「「サー、イエッサー」」」」」
残った男子たちのビシッと揃った声がフィールドに響く。頼朝たちが身近で目を光らせていれば、いくら元原と横田であろうともこれ以上の狼藉には及ぶまい。こうして桜によって厳しい教育的指導が行われて真美の一件は幕を閉じる。
ちなみにその頃真美は、何も知らないまま自分の部屋で聡史に手を握られた感触を思い出しながら枕に顔を埋めて、そのウレシ恥ずかしさに両手足をバタバタしているのであった。
桜から鉄槌を下された元原と横田。果たして彼らはエロの道を諦めてまともな生き方を歩むのか、はたまた相変わらず周辺を巻き込んで騒動を起こすのか。学院ではチーム戦もスタートして目が離せない展開が…… この続きは出来上がり次第投稿いたします。どうぞお楽しみに!
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