319 美晴、絶好調の秘密
おまたせしました。トーナメント準々決勝の行方は……
話が途中で横道に逸れてしまったが、2年生の個人戦準々決勝の行方について改めて触れておきたい。絶好調で勝ち進んだ美晴と元原のセクハラ攻撃で精神的にボロボロになった真美に続いて、第3試合には渚と絵美が登場する。
お互い手には長めの槍を持ちフィールドに入場するも、その体格差は明らか。渚が身長で20センチ近く上回っており、同様に手足も長いためリーチの面では渚が有利なのは明白。ことに手にする得物が槍だけに、このリーチというポイントは剣よりも如実にその差が現れてしまう傾向は致し方なし。不利を自覚する絵美としては動き回って渚の側面に回り込みながら隙を窺うしか取り得る手段がない。正面からぶつかっていては到底勝ち目などないと本人が一番よくわかっている。
「試合開始ぃぃ」
合図の声が響くと、絵美は渚から見て右方向に回り込もうと足を運んでいく。もちろんそうはさせじと渚は絵美に向かって盛んに槍先を突き出しては、横に回り込めないように動きを牽制する。時折絵美が大きく踏み込んで自らの間合いに入り込もうと企てるものの、その辺は渚もお見通し。何とか渚のガードを抉じ開けて接近しようと試みる絵美に対して、間合いに入る一瞬を狙ってカウンターの攻撃を繰り返す渚。完全にアウトスタンディングの立ち位置を確保して絵美の踏み込みだけに注意を払っている。
アウトボクシングのような攻防が続いて互いに決め手がないままに、試合時間だけが15分以上経過した。この頃になると渚の目には絵美の動きが目に見えて落ちていく様子がハッキリと捉えられている。中央でどっしり構えている自身に対して、倍以上動き回って何とかして潜り込もうとする絵美。その疲労度に差があるのがここにきて明らかとなってきた。
絵美の側からすると、わずかでも気を抜けば渚が長いリーチを生かして攻撃を仕掛けてくるので、ずっと張り詰めっ放しの状態。いくら普段から鍛えていようとも、試合が長引くほど精神的な疲労が顕著になってくる。
そして終了時間直前に絵美の最後の攻撃が繰り出される。だがすでに足の運びが開始時とは雲泥の差。その分だけ渚に向かって突き付ける槍の速度が鈍い。
カキン
ここだとばかりに渚は絵美の槍の穂先を払うと、この試合で初めて自ら大きく踏み込んでは胴体目掛けて思いっきり槍を突き込む。その穂先は腹部を覆うプロテクターに食い込んでおり、絵美の足は完全に停止した。その隙を見て足を払って絵美を横倒しにすると、最後は眼前に槍の穂先を突き付ける。
「そこまで、勝者、片野渚」
審判の判定が下されて長い試合の勝敗が決する。負けを認めて芝生の上に大の字になっている絵美と、槍の穂先を突き付けながら彼女の見下ろす渚。だが次の瞬間、渚が崩れ落ちるように膝をつく。肩で息をしてゼイゼイい喘いでいる姿はとても勝利者には程遠い。
1分少々が経過して絵美がようやく起き上がる。同時に渚も槍を杖の代わりにして何とか立ち上がる。
「絵美、大丈夫だった?」
「ちょっとアザになっているかもしれないけど、大したことはなさそう。それよりも渚は急にどうしたの?」
「いや、試合が終わったら立っているのも限界だった。絵美の攻撃に対応するのは魂を削られていくようなヤバさだったよ」
「そうなの… 渚をそこまで追い込めたんだから負けても悔いはないかな。次は私が勝てるようにしっかり練習するから」
「私にとってもいい経験だった。ありがとう」
「どういたしまして。私の分まで勝ち進んでよ。優勝以外許さないからね」
「最善は尽くす」
どうやら余裕で絵美の攻撃を捌いていたように映る渚も、蓋を開けてみれば常に紙一重の攻防を強いられていたよう。同じパーティーの槍士だけに手の内は知り尽くしている者同士。それゆえ勝敗はその時の気紛れでどちらに転ぶかわからなかった。
立ち上がった絵美が渚の勝利を心から祝福して握手を求める姿にスタンドから大歓声が沸き起こる。
こうして第3試合が終了して、ここまで勝ち残ったのはブルーホライズンの三人のみ。残る第4試合でベスト4最後の席が決まる。そして対戦カードは頼朝 VS 茂樹というこれまた注目のカード。スタンドで観戦している生徒たちもどちらが勝つのか口々に予想を始める。
「浜川にはEクラスにひと泡吹かせてもらいたいけどな」
「藤原頼朝って今まで大した実績はないだろうから、案外浜川が勝つんじゃないのか」
「バカ、それを言ったら浜川だって、去年の校内トーナメント1回戦負けだろうが」
「そういえばそうだったな~」
スタンドに固まっているのは、その話の内容からしてAクラスの生徒らしい。彼らは昨年の衝撃の開幕戦を思い出していた。茂樹が明日香ちゃんに手もなく捻られた例の一戦だ。思えはあそこからEクラスの快進撃が始まったといってもいいだろう。
生徒たちは頼朝の実績不足を指摘している。確かに彼は昨年の模擬戦週間では2回戦で敗退した程度の成績しか残していない。だがその後奮起して桜の指導を受け始めてからはあっという間にレベルが上昇している。その後に授業の中で行われた模擬戦では負け知らずの存在というれっきとした事実をスタンドの生徒たちは知る由もない。
そして試合の開始時間となってフィールドに注目の二人が入場してくる。
「藤原君と公式に手合わせするのは初めてだね」
「言われてみればそうだったかもしれないな。まあ相手が生徒会長だからといって手加減はしないぞ」
「もちろんそんな必要はないよ。今の僕がEクラスのトップレベルを相手にどこまで通用するの確かめてみたいからね」
意外と接点がなさそうなこの二人。だが初めて降り立った異世界の街エクバダナにおいて奴隷として働かされていた人族救出のために共に魔族と戦った間柄。その後もアライン砦に攻め寄せた魔族軍を迎え撃つのに貢献したりと、ある意味では戦友と呼んでも差し支えない感がある。
脳筋にして熱血漢の頼朝と、多くの経験を経て一皮剝けて冷静で落ち着き払った勇者という対照的な二人だが、異世界で共に過ごした時間の分だけ互いを認め合う… そんな面白い一面を持ち合せているよう。
「試合開始ぃぃ」
合図があっていよいよ第4試合が幕を開ける。中型剣をどっしりと両手で構える頼朝と、同じく中型剣をお手本にしたいくらいの見事な姿勢で構える茂樹が開始戦で睨み合う。
頼朝の剣は攻が9割に守が1割。攻撃は最大の防御を地でいくような戦法を得意とする。その体格を生かして遠い間合いからの踏み込みの鋭さがあるかと思えば、接近して体力にモノを言わせながら押し捲っていくのも得意とあって中々隙がない強さを誇る。
対して茂樹はマリウスから手取り足取り学んだ勇者の剣の遣い手。その剣技は華麗にして流麗。流れる水のごとくに無駄のない動きで相手を仕留める。
パワー派の頼朝に対して技巧派の茂樹といっておけば大体正解かもしれない。
最初に踏み込んだのは頼朝。先手必勝とばかりに茂樹に直線的に向かっていく。もちろん茂樹も予想の範囲内で、頼朝のパワーに対抗すべく両足を踏ん張って受け止めにかかる。だが頼朝が振り下ろした剣の勢いは茂樹の想定をはるかに超えている。
「なんだと」
茂樹の体は頼朝の剣の勢いを吸収できずにそのまま後方へ吹き飛ばされていく。何とか転倒だけは避けたものの、たたらを踏んで体制が崩れた茂樹。もちろん頼朝はそんな隙を見逃さない。追撃とばかりに茂樹に襲い掛かる。
だがここからが茂樹の見せ場であった。頼朝の狙いを一瞬で見抜くとその姿がユラリと陽炎のようにボヤけていく。
「なんだと、どこに行った?」
頼朝は茂樹の姿を一瞬見失っている。陽炎のように揺らいだ… 実はそのように見えただけで、茂樹はスキル〔神足〕を発揮して左方向に逃れただけ。だが同時に頼朝の視界から一瞬でも姿を消したアドバンテージは茂樹にとって大きい。そのまま頼朝の右籠手を狙って横合いから剣を振り下ろす。
ビシッ
予期せぬ方向からの攻撃を受けた頼朝は、躱すことが叶わずにまともに茂樹の剣を右籠手に食らっている。手首の骨にヒビが入るような威力の一撃で、普通の生徒であったらこの時点で勝敗が決しているだろう。
「ガハハハ、今のはちょっと痛かったぜ」
だが頼朝は平然としている。さすがにジンジン痺れている右手は諦めて左手一本で剣を構えているが、その表情からはさしたるダメージを受けた影響は微塵も感じさせない。実は頼朝に限らず、桜に鍛えられた男子たちは信じられないほど打たれ強かった。毎日あれだけ桜の拳を食らったり空高く放り投げられたりしていれば打たれ強くなるのも当然だろう。しかも頼朝自身片手が使えなくなる事態を想定して、常日頃から腕一本で剣を振るう鍛錬も行っている。左手一本で剣をブンブン振りながらファイティングポーズをとる。
「試合続行」
審判の教員も頼朝のヤル気を認めたよう。たとえ片手が使い物にならなくとも、その両眼に宿る闘志はまったく失われていない。
「普通なら悶絶する痛みのはずなんだけど」
「ガハハハ、この程度の痛みなんぞボスの訓練中だったら日常のほのぼのとした出来事だからな~。片手だからといって遠慮なく来てくれて構わないぜ」
「一体どういう鍛え方をしているんだ?」
茂樹が呆れるのも無理はなかろう。多少の痛みなどに音を上げずに敵に立ち向かうのも強者としての資質のひとつ… このように桜に叩き込まれているおかげだ。頼朝たちのような脳筋集団には、桜の指導法はあまりにも相性が良すぎ。
このような経過を経て再び両者が相まみえる。頼朝の片手剣はまったく衰え知らずで豪快に振り下ろされて、その剛剣を茂樹が辛うじて受ける展開が続く。このような攻防が10分以上経過すると、明らかに茂樹にはスタミナ切れの兆候が表れてくる。
「どうした? こっちはあと1時間でも2時間でも戦えるぜ」
「体力だけではなくてスタミナも怪物級なのか。さすがにここまでとは思っていなかったよ」
頼朝の現在のレベルは113に対して茂樹は94。これだけのレベル差があるにも拘らず、むしろ茂樹はよくぞここまで戦い続けたと褒めるべきかもしれない。しかも勇者というのは相棒の聖剣を手にした際にその真価を発揮できる存在。今手にしているのはごく一般的な鉄製の剣とあっては、持てる力のすべてを発揮するのは叶わない状況。
「ドォリャァァ」
「グッ」
頼朝が思いっきり振り下ろした剣を右方向に避けて、その剣の動きを封じようと茂樹の剣が上から押さえつけにかかる。さしもの剛力頼朝でも片手では上から押さえつけてくる茂樹の剣を跳ね返せずに、その場で一瞬の膠着状態に。だが次の瞬間、頼朝の顔からニヤリとした笑みがこぼれる。
「食らってみやがれぇぇ」
「うわぁぁぁぁ」
なんと頼朝はヒビが入って使い物にならないはずの右手で茂樹目掛けて渾身のラリアット。一般人の皆さんは絶対にマネをしないでください。特殊な訓練を受けています… こんなテロップを入れなければ放送できないような人知を超えた脳筋ならではの荒業が繰り出された。まさか右手での攻撃など想定外にも程がある茂樹はまともにラリアットを食らって芝生に倒れ込んでいる。
「勝者、藤原頼朝」
審判の裁定が下るが、会場は水を打ったような静けさ。あれだけ白熱した剣技の応酬の幕切れがまさかのプロレス技… それも怪我をしたはずの右手から繰り出されているし、一体どうなっているんだという疑問しか浮かばないのは当然の成り行き。
茂樹は脳震盪を起こしてそのまま療養棟送りとなる。勝ちを収めた頼朝も右手の怪我の治療のため療養棟へ。
カレンによって治癒の光を照射された茂樹が目を開くと、そこには椅子に腰掛ける頼朝の姿が。
「おう、気が付いたな。脳震盪だったみたいだが、大丈夫か?」
「ああ、おかげさまで。カレンさん、ありがとうございます」
「どういたしまして。それよりも記憶ははっきりしていますか?」
「ええ、ちゃんと最後の瞬間まで覚えていますよ。まさかあの態勢から怪我したはずの右手のラリアットが飛んでくるとは思いませんでした」
「ガハハハ、ミノタウロス相手に素手で応戦して鍛えたからな~。ただ威力が大きすぎて、ヒビが入ったところからポッキリ折れちまったぜ。まあ、右手一本犠牲にして勇者を仕留めたんだから、これは名誉の負傷だよな」
「頼朝君もあんまり無茶をしないでください」
「はい、サーセンでした」
カレンに叱られて子供のように小さくなる頼朝。その姿についつい茂樹は笑いが込み上げる。
「アッハッハッハ、頼朝君もカレンさんの前では形無しだね」
「逆らったら二度と治療してもらえなくなる… です」
敬語など使い慣れていない頼朝の口から、取って付けてような変な言葉が飛び出ている。桜の前では「イエッサー」どほとんど事足りているので、頼朝が敬語を用いる機会は美鈴とカレンの前と限られていそう。これほどまでにカレンに対して敬意を抱くのは、これまで何度も怪我を治してもらった感謝の気持ちゆえか、それともカレンがいるからこそ頼朝としても少々の無茶な振る舞いに出られるかのどちらかだろう。
こうして2年生もベスト4が決定して、明日には〔美晴 VS 真美〕〔渚 VS 頼朝〕の2試合が組まれることとなるのであった。
◇◇◇◇◇
この日の試合は午後3時には終了しており、ほとんどの生徒が自室へと戻っている。中には来週から始まるチーム戦に向けて訓練場で汗を流す生徒の姿のチラホラ。そんな中ブルーホライズンのメンバーも一旦女子寮に戻っている。
「真美さん、夕食の時間までちょっと散歩をしてくるから」
「いってらっしゃい」
女子寮では美晴と真美が同室。考えなしに突っ込んでいきがちの美晴のストッパーを期待されての部屋割りに相違ない。とはいえこの日の真美は元原のセクハラ攻撃によって精神的に削られており、深く考えずに美晴を送り出していた。後で思い返すと「そういえば美晴は模擬戦週間が始まってからこうしてちょくちょく部屋を空けていたな」と気付くのだが、この時点では真美には美晴が何を仕出かしているのか見当すらついてはいなかった。
散歩と称して寮を出た美晴だが、服装は演習着にプロテクターを装着したままで、どこからどう見ても普通の散歩には思えない。とはいえ本人は上手く真美を誤魔化したつもりのようで、意気揚々と校外へ出ていく。そしてその行き先は当然ながら大山ダンジョンであった。
「お願いします」
「はい、入場してください」
カウンターでの手続きをあっという間に終えると、美晴はひとりでダンジョンの入り口をくぐっていく。
だがちょっと待ってもらいたい。確か魔法学院の規定によると、生徒はパーティーを組まないとダンジョンには入れないはず。だが美晴の登録カードを確認した係員はあっさりと入場を認めている。「これは一体どういうことだろうか?」と疑問が湧いてくるのは当然の話。
話は夏休みの帰省が終わって生徒たちが学院に戻ってきた直後に遡る。ブルーホライズンや頼朝たちは予備役自衛官に任官しているので、ひと月に一度伊勢原駐屯地での訓練が義務付けられている。現在はパワードスーツに搭乗しての戦闘訓練が主なメニュー。
1ターンの訓練が終了してパワードスーツから降りてきた美晴に整備クルーが声を掛ける。彼らは銀河連邦の輸送船でパワードスーツのメンテナンス訓練を受けている専門家たち。
「山尾一等陸士、機体の調子に問題はありませんか?」
「動きはスムーズだし、特に問題はないみたいだよね~。それよりも聞きたいことがあるんだけど」
「なんでしょうか?」
「ほら、学院生って単独でダンジョンに入れないでしょう。もしかして自衛隊員だったら、ひとりで入れるのかなと思って」
「司令官の許可を得れば、単独での入場が可能だと思いますよ」
「それ、本当?」
「ええ、この駐屯地の精鋭たちも、時には訓練のために単独でダンジョンに入るケースがありますから」
美晴の表情がキラキラ輝いている。司令官の許可さえ得られれば単独でダンジョン入場が可能となる。こうなると脳筋の行動は早い。その足で司令部に向かうと申請方法を教えてもらって、すぐに手続きを終える。司令部としても美晴のレベルを鑑みると許可を出すのは当然であった。
こうして単独でダンジョンに入る立場を得た美晴がジッとしているはずもなく、暇があればこうしてひとりでダンジョンに向かうのが日課となっている。
「よし、今日もあいつを相手に腕を磨こうか」
美晴が向かうのは31階層。言わずと知れた階層ボスとの一発勝負エリアで、登場してくるのは例のデュラハン。剣を手にする魔物の中ではこのダンジョン最強のアンデッドであろう。
ちなみにブルーホライズンが現在攻略を終えている最深部は35階層。もちろんパーティーで攻略を進めているのであって、間違っても単独で足を踏み込もうなどとは誰も考えないはず。だがこの脳筋娘だけは違う。「六人で攻略出来たらひとりでも大丈夫なはず」というわけのわからない自信を胸にデュラハンに挑んでいった。
当然ながら初回は尋常ではない程の苦戦を強いられたのは言うまでもない。一歩間違うと確実に命が危うくなる死地を何度も目の当たりにしながらも、美晴は一歩も引かずにデュラハンに向かっていった。気合いと闘志を前面に押し出してデュラハンの攻撃を返して、ついにはその弱点の頭部に短剣を突き刺してギリギリで倒し切る。
その結果、美晴のレベルが上昇した。いつもなら人数分で分かち合う経験値を独り占めできるのだから、こうしてレベルが上昇するのももっともだろう。
こんな感じで暇があればデュラハンの元に通って腕を磨きつつレベルを上げた結果、現在の美晴はレベル130まで到達している。他のパーティーメンバーよりも8段階も高い数値… これこそが美晴が「絶好調」と公言してやまない根本的な理由であった。こんな具合に単独でダンジョン深部に挑もうとするのは、桜やジジイに相通じるものがあるとしか言いようがない。美晴には想像を超えた歴史的な脳筋の系譜がその体を巡る血の中を流れているのであろう。
そして本日も楽しげな表情で階層ボスの部屋に入っていく。背負っているリュックに仕込んであるマジックバッグからあらかじめ装備を取り出しており、準備は万端なよう。
迎え撃つデュラハンも馬上から美晴の姿を睨み付けすでに戦闘態勢。そしてそのまま騎馬で突っ込んでくるデュラハンを美晴はガッシリと盾で受け止める。その表情には余裕すら漂って、まるで戦いそのものを楽しむかのよう。
疲れを知らないアンデッド相手に、これまたまったく疲れなど知らない脳筋が盾を翳しながら挑んでいく。最初は苦戦したものの、レベルが上がった現在は振り下ろされる剣を簡単に捌ける。というよりも美晴にとってデュラハンは都合のいい練習パートナー扱い。頭さえ潰さなければすっと戦っていられるので、盾で受け止める角度を変えたり、時には短剣で撃ち合ったりと、様々なケースを想定しながら試していける。
こうしてたっぷり1時間以上デュラハンとの打ち合いをして満足した美晴は、最後の仕上げに頭部に攻撃を集中して難なくトドメを刺す。本日もまたレベルがひとつ上昇して、宝箱から出てきたブレスレットをマジックバッグに仕舞ってから、悠然と転移魔法陣に乗って地上に戻っていくのだった。
いよいよ個人戦トーナメントは大詰めに向かって優勝者が決まりそう。そんな中でこのところ出番が少ない桜がジッとしているはずもなく何やら動きを開始して…… この続きは出来上がり次第投稿します。どうぞお楽しみに!
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