変化 2
そして、放課後。
金曜日でもないので、僕と友田さんは今日は普通に一緒に帰ることにした。
久しぶりに何事もなく平穏な一日であることに、僕も思わずホッとしていたくらいだ。
「……なんか、随分久しぶりに感じるな」
校門まで向かう途中、友田さんが僕にそう言ってきた。
「え? 何が?」
「いや、こうして尾張と一緒に帰るの……」
「え……そうかな……そうでもない気もするけど……」
僕がそう云うとちょっと友田さんは不満そうだった。
「……尾張は、私と一緒でいいのか?」
不意に友田さんはそんなことを言ってきた。僕は意味がわからず返事ができなかった。
友田さんは不安そうな顔で僕を見ている。一緒でいいって……どういう意味なのだろうか。
「え……それって――」
「あれ? また友田ちゃんと一緒にいるの?」
と、唐突に聞き覚えのある声が聞こえてきた。俺は思わず声のした方に顔を向ける。
「へ……なんで……」
そこには……ニヤニヤと笑いながら僕を見る大本の姿があった。
「あははっ。驚いている~。まさかアタシがここに居るとは思わなかったでしょ?」
「え……っていうか、なんでいるの?」
「なんで、って、ここで待ってれば会えるかなぁって思ってたから。まぁ、会えるよね」
ニヤニヤしながらそういう大本。僕自身もなんでここで大本が待っているのか理解できず、思わず戸惑ってしまう。
「お、尾張……」
と、なぜか友田さんが俺の服の袖を引っ張ってくる。
「え……どうしたの?」
「……さっさと帰ろう」
しかし、それを大本は許してくれないようだった。俺と友田さんの前に立つと鋭い目つきで威圧してくる。
「あのさぁ、確かにアタシ、内田のことはイジメてるけど、別にアンタ達に何かしたわけじゃないよね? それなのに無視して帰ろうとするの、酷くない?」
「そ、それは……」
俺が言いよどんでいると、なんといきなり友田さんが走り出してしまった。
「え、ちょっと! 友田さん!?」
友田さんは俺が呼びかけても振り返ること無く、そのまま走っていってしまった。
「え……友田さん……」
「あーあ。見捨てられちゃった」
わざとらしくそういう大本。僕が睨みつけても大本はまるで動じない。
「じゃ、一緒に帰るしか無いね、変態クン」
嬉しそうにそういう大本。僕は何も言わずに歩き出した。その後を大本が勝手についてくる。
結局、いつもの大本のペースに巻き込まれてしまったのだった……




