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変化 1

「……それで、大丈夫だったのか?」


 その次の週。僕は友田さんに内田さんとの間にあったことを話した。


 友田さんは不安そうな顔で僕の話を聞いていた。


「まぁ……大丈夫ではなかったよね。正直、ヒヤヒヤしたし……」


「……内田はそんなに……嫌だったのか……」


 友田さんはしみじみとそう言った。その話をしながら、僕は内田さんが言っていたことを思い出す。


 友田さんも、内田さんと一緒に僕と大本が帰るところを見ていた……友田さんも、僕が大本と帰るのが嫌だったんだろうか。


「……あのさ、友田さん」


「ん? なんだ?」


「その……この前、ごめんね。なんか一緒に帰れなくて」


 まずは僕はこう言ってみた。すると、友田さんは少し困ったように僕から視線を反らす。


「……いや、別にいい。尾張が別の誰かと帰っていても……私は別に気にしない」


 明らかに嫌そうに見えるのだが、僕の気のせいだろうか。


「いや……でも、大本にはちゃんと言わないと。もう一緒に帰らない、って」


「……そういえば、大本からその後は電話あったのか?」


 そう言われて僕は思わず言葉に詰まってしまった。


 電話は……あった。そして、僕も仕方なく出てしまった。無論、どうしようもない用事で相変わらず大本は僕で遊んでいるだけだというのはわかったけど……


「……いや。なかったよ」


 ここで、電話があったとはちょっと言えなかった。友田さんは少し安心したような顔で僕を見ていた。なんだか、とても悪いことをしたように思えた。


「そうか……今日は金曜日じゃない。大本もいないだろう。一緒に帰れるな」


 嬉しそうにそう言う友田さん。そんな笑顔を向けられると僕は余計に悪いことをしている気分になる。


 僕は友田さんにそんな笑顔を向けられる資格はない……駄目な奴だ。


 ちょうどその時始業のチャイムが鳴った。


「じゃあ、また後でな、尾張」


 手を振りながら友田さんが自分の席に戻っていく。


 何も変わっていないように見えて何かが変わっている……鈍感な僕でもさすがに理解できる変化は、すでに起きているようだった。

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