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お互いに 4

 マンションの中に入ると、そのままエレベータに。僕と内田さんは黙ったままでエレベータに乗り込んだ。


「緊張してます?」


 先に口を開いたのは内田さんだった。エレベータそのまま最上階まで上がっていっていた。


 緊張している……そう言われるとそうかもしれないが、意外とそこまで身体がこわばっていたりはしなかった。


「……いや、別に」


「そういう時は、嘘でも緊張しているって言ってほしいですね」


 内田さんがそう言うとともに、エレベータのドアが開いた。そのまま外に出る。


 最上階というだけあって、見晴らしの良い場所だった。学校の屋上よりも遠くが見える。


「見晴らし、いいでしょう? もっといい場所がありますよ」


 内田さんはそう言って歩き出した。僕もその後に続く。


 そして、内田さんは並ぶドアの一つの前で止まった。どうやら、そこが内田さんの家のようだった。


 鍵を取り出し、扉を開ける。内田さんが先に部屋の中に入っていった。


「少し待っていてください」


 言われるままに、僕は部屋のまで待つことにした。そして、今一度最上階から見える景色を見る。


 学校から見る景色よりも広い……なんだか、別の世界に来たかのようだ。


 内田さんが屋上が好きなのは、自分の家と同じような景色が見えるから、なのだろうか。


「……っていうか、そもそも、僕達は……」


「いいですよ。入ってください」


 考え事をしている最中に、内田さんが声をかけてきた。


「あ……お邪魔します」


 そして、ついに僕は内田さんの家の中に入ってしまった。玄関から廊下を通って、リビングへ……全体的に片付いていた。


 というか、生活感がなかった。誰もこの家に住んでいないかのような感じだ。


「綺麗でしょう? 母さんと私の二人しか住んでいないので」


「え……二人?」


 内田さんは小さく頷いた。あまり深くは聞かないほうがいいと思い、僕はそれ以上聞かないでおいた。


 それから、内田さんに勧められるままに、椅子に座らされてしまった。


「何か飲みます?」


「え……いや、別に……」


 人の家というのは落ち着かない。考えてみればどうして僕は言われるままについてきてしまったのか、なんてことを考えていた。


「さぁ、どうぞ」


 内田さんは僕の前にジュースを差し出してくれた。


「あ……ありがとう」


「何も入ってないので、安心して飲んでください」


 意味深な表情でそう言う内田さん。逆に不安になってくるが……僕はとりあえずそれに口をつけた。


「で、今日は聞きたいこともあったので、私の家に呼んだんですよね」


 そうして、内田さんはテーブルを挟んで向かいにある椅子に腰掛けた。


 僕は今一度ジュースを飲み込み、内田さんの方を見る。


「……依存するってこと以外に?」


「はい。確認しておきたいことがあったので」


「確認……それって?」


 僕がそう言うと、内田さんは目を瞑ってから少し間をおいて、僕の方を見る。


「尾張君。君、まだ死ぬ気、ありますか?」

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