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顕示 3

「まったく……何考えているんだ……」


 さすがの僕も少し怒ってしまっていた。というか……久しぶりに怒った。


 正直。内田さんがこういうことをするタイプとは思わなかった。といって、別に幻滅したとかそういうことではないのだけれど。


 でも……自分の全てを知ってもらいたい、って……まぁ、依存するって宣言してたし、それも当然……か?


「でも……流石になぁ」


 僕が一人で困っていると、屋上の扉が開いた。


「尾張! 待たせたな!」


 息を切らせて、友田さんがやってきた。僕は思わず先程まで内田さんの自撮りが送りつけられていた携帯をポケットに隠してしまった。


「あ……ああ。友田さん。課題、終わった?」


「終わったぞ。悪かったな。それで、内田は?」


 友田さんは周囲をキョロキョロと見回す。僕は苦笑いしながら首を横にふる。


「えっと……今日はお休みだって」


「何? じゃあ、今日は来ないのか?」


「うん。そうだね」


 すると、なぜか友田さんは少し嬉しそうな顔になった。


「そうか……じゃあ、今日は私と尾張の二人だけだな」


「え……まぁ、そうだな……」


 なぜか、友田さんは期待するような目つきで僕のことを見ている。なんだろう……何かを待っているというか、そんな目つきだった。


「え……どうしたの?」


 思わず僕がそう訊ねると、友田さんは少し恥ずかしそうな顔をしながら、僕を見る。


「あ……いや。その……前、内田にやっていたみたいに、その……私にもああいうことしないのかな、って……」


 ……どうやら、友田さんは、僕が内田さんにやってきたあの変態的なことを、今僕が友田さんにもするのではないかと考えていたらしい。


「……いや、しないよ?」


「え……そう……なのか……」


 明らかに残念そうに友田さんはそう言って少し悲しそうな目で僕を見る。


「あ……いや、その……友田さんとはそういうことをするのは、ちょっとな、って……」


「え? それって、私とはそういうことはしたくないってことか?」


「したくないって……いや、そういう意味じゃないんだけど……」


 段々としどろもどろになってきてしまった。


 どうしてこう……内田さんといい、友田さんといい、一体僕に何を求めているのだろうか……


「……はぁ。そうか。いや、いいんだ。尾張がそう言うのなら、私だって強要はしないさ」


「あ、あはは……ありがとう……」


 なぜか僕はお礼を言った。友田さんは首を横に振り、優しそうな顔で僕を見る。


「いいんだ。まぁ、そういうことなら……一緒に帰ろう」


「あ……うん」


 すると、今度は友田さんは上機嫌になって扉の方に向かっていく。機嫌がコロコロと変わって忙しい人だ。


 僕達は屋上を後にすると、そのまま昇降口を経て、校門の方へ向かっていく。


「そういえば、内田からは連絡があったわけか?」


 校門に向かう途中、友田さんが僕にそう訊ねてきた。


「え……あ、うん。携帯にね」


「そうか……アイツ、尾張にメールとかたくさん送りつけてないか?」


 心配そうな顔でそういう友田さん。どちらかというと、友田さんの方が、事あるごとにメールを送ってきている気がするが……


 しかし、それと同時に先程の自撮り画像のことを僕は思い出し、少し恥ずかしくなって口ごもってしまった。


「ん……? もしかして、送ってきているのか?」


「あ、いや……そういうのはないんだけど――」


 と、僕と友田さんが校門まで丁度やってきたその時だった。


「尾張君!」


 聞き覚えのある声が聞こえてくる。僕は声のした方に顔を向ける。


「え……?」


 僕は驚いてしまった。


 なぜかって……先程、学校を休んでいる旨を連絡してきた内田さんが、僕の目の前にいたからである。

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