第86話 全てを聞き終えて・2
お待たせしました。1日遅れの投稿です。
「こ、これが、私達がここまで来た経緯、です」
そう話し終えると、ルーシーは顔を下に向けた。
話を聞き終えると、リアナは目をうるうるさせ、フレデリックは「なんてことだ」と言わんばかりに表情を曇らせた。
そして、春風はというと、
「そっか。君は、大切な友達を、守ろうとしたんだね?」
と、真面目な表情でルーシーに質問した。
その質問に、ルーシーは俯いたまま、黙って頷いた
その後、春風は少し考え込むと、
「あー、ちょっとすみません。今から皆さんに、いくつかすっごい嫌な質問をします」
と、アデル達に向かって、ちょっと軽そうなノリだが申し訳なさそうに言うと、
「君達は、固有職保持者のこと、どう思ってた? 人間? それとも、教会の人たちが言う様な悪魔?」
その質問に、ルーシーはビクッとなった。それは、側にいるリアナも一緒だ。
質問されたアデル、ケイト、クレイグは少しの間黙っていたが、やがてアデルが先に口を開いた。
「……正直言うと、『そんなのいるわけない』って、信じていなかった」
すると、それに続く様に、ケイトとクレイグも口を開いた。
「うん。あたしも、おとぎ話の中だけの存在って思ってた」
「……ああ、俺もだ」
3人はそう答えたが、フィオナだけはルーシーと同じ様に俯いたまま、何も言わなかった。そんな彼女を、アリシア、イアン、ニコラ、マークは心配そうに見つめていた。
春風は「そう」とだけ言うと、次の質問に移った。
「じゃあさ、ルーシーさんがその固有職保持者だってわかった時、どう思った? 驚いた? それとも、怖かった?」
「……いや、あの時は、驚いた。『本当にいたんだ』って思いが強くて、怖いって感じはしなかった」
「……そうだね。それは、あたしも同じだよ」
「……うん。俺も」
俯きながらも答えた3人を見て、春風が「じゃあ……」と次の質問に移ろうとすると、
「……にが」
「?」
「あなたは、何が言いたいんですか?」
と、それまで黙っていたフィオナが、震えた声で春風に質問してきた。
「……他にも聞きたい事があったんだけど、ま、いいか」
春風はそう言うと、軽そうなノリから一変して真剣な表情になり、
「はっきり聞くけど、君達はルーシーさんの事恨んでる?」
『!?』
その質問に、ルーシーだけじゃなくアデル達もビクッと肩を震わせた。
すると、リアナが大慌てで割り込んできた。
「ちょ、ちょっとハル! 今のどういう意味!?」
春風は真剣な表情を崩さずにリアナの方向いて答える。
「リアナ。アデル君達の村に断罪官が来たのは、ルーシーさんを始末する為だ。それはつまり、彼女の所為で、アデル君達は故郷と、家族を失った事になるんだよ。ただ、殺した断罪官達を恨もうにも、肝心の連中は、アリシアさんによって倒された。まぁ、結局は死んでなかったんだけどね。なら、その恨みの矛先は、ルーシーさんに向かっても不思議じゃないと思うんだけど」
「うっ! そ、それはそうかもしれないけど……」
リアナがそれ以上何も言えなくなったの見て、春風はアデル達に向き直ると、
「で、どうなの?」
と質問した。
「そ、それは……」
アデル達は震えるだけで、何も答えられなかった。それは、ケイトとクレイグも同様だった。
因みにルーシーはというと、答えを聞くのが怖いのかブルブルとふるえていた。
春風は「ハァ」と溜め息を吐くと、今度はフレデリックの方を向いて、
「あの、フレデリック総本部長さん、相談って言うか、提案したい事があるのですが」
「何でしょうか」
春風は真っ直ぐフレデリックを見て、意を決した様に言う。
「ルーシーさんの身柄、俺に預からせてほしんです」
「!?」
春風の突然の提案に、ルーシーはギョッとなった。
それと同時に、フレデリックと、幼いイアン、ニコラ、マークを除いた全員が『えぇ!?』となった。
謝罪
第68話後半部の文を少し修正しました。
それと、今回の話のサブタイトルですが、おかしいと感じたら申し訳ありません。
最後に、前回の話で書けなかった部分ですが、それについては今後の話の中で書いていく予定です。




