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ユニーク賢者の異世界大冒険  作者: ハヤテ
第5章 対決、断罪官

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第76話 決着の時


 それは、ジゼルが魔導スマートフォン零号(以下零号)内に住み着いてから、少し経った頃のことだった。


 「まぁ。中々面白いものがいっぱいあるわぁ!」


 その頃のジゼルは、零号内にデータとして保存されていた、地球の「漫画」を読んでいた。神々によって改造されたからなのか、あるいは魔導具として生まれ変わったからなのか、書かれていた文字が読めるようになっていたので、普通に楽しむことが出来ていた。


 数多くの漫画があったが、その中でも特に気に入ったのが、「侍」が登場するタイプの漫画だった。 


 「うーん。この「居合い切り」ていう技、カッコいいんだけど、実戦でやるとなると難しいんじゃないかしら? ああ、そういえば、春風様が持っているあの剣も、なんだかこれと似たような形状のような気もするけど……」


 その後、ジゼルは少しの間考えたが、


 「まさかね。いくら春風様でも、流石にこれを実戦でやったりはしないでしょう」


 と、この時のジゼルは笑いながらそう考えていた。


 そして、現在。


 「いけません春風様ぁ!」


 零号内でそう叫ぶジゼルをよそに、春風は目の前で大技を放とうとしている断罪官のウォーレンに向かって、「居合い切り」の構えをとっていた。


 それを見て、ウォーレンは問うた。


 「ほう、その構え。貴様、まさか次の一撃で私を斬るつもりか?」


 春風は真っ直ぐウォーレンを見つめたまま、何も答えなかった。答えなかったが、その瞳は「そうだ」と言っていた。


 ウォーレンは一言「そうか」と言うと、


 「よかろう! この断罪官大隊長ウォーレン・アークライトと、我が剣「聖剣スパークル」を、斬れるものなら斬ってみろ!」


 そう叫ぶと、ウォーレンはさらに持っている長剣ーー聖剣スパークルに力を注いだ。その所為か、剣から発する光がさらに強くなっていた。


 その様子に、結界内のアリシア達は、


 「な、何だ? 何をしているんだ彼は?」


 「まさか、真っ向からあれに挑む気なのか?」


 「そ、そんなの、無茶だよぉ」


 と、目の前の光景を呆然と見ていた。


 さらに、ルークから手当てを受けた隊員達が呟く。


 「あいつ、終わったな」


 「ああ、大隊長の「あの大技」をくらって、生きてる奴なんていなかったよなぁ」


 それを聞いて、アリシアの頭の中で最悪のイメージが浮かび、


 「だ、駄目だ! 逃げろ! 逃げてくれぇ!」


 春風に向かって叫んでいた。


 だが、春風は前を向いたまま、一歩も動こうとしない。


 「頼むから……()()()()!」


 「オイ! ふざけんなよ! 俺達のことはいいから、逃げろぉ!」


 『おねにーちゃあん!』


 口調が変わっていたアリシアだけじゃなく、アデルや子供達も、春風に向かって叫んでいた。


 だがそれでも、春風は一向に動かない。


 少し離れた位置では、


 「うぅ、は、ハル?」


 痛みに耐えながら、リアナは必死で起き上がろうとしていたが、顔を上げるのがやっとだった。


 「お願いです春風様、お逃げください!」


 零号内では、今もジゼルが必死に春風に逃げろと言っていた。


 そんな春風の心の中では、


 (わかってますジゼルさん。俺がやろうとしていることが、どれだけ無茶なのかってことが。[抜刀術]や[心技体]で補正がかかってるっていっても、こうして実際にやってみると、結構怖いんですよ、ホントに。俺だって、成功するかわからなくて、すごく不安なんですから。だけど……)


 「『逃げない』って決めましたから。『絶対に勝つ』って、『勝って生き残る』って決めましたから!」


 春風がそう口に出して叫んだ次の瞬間、


 「行くぞぉ!」


 ウォーレンが両手でスパークルを握り、春風に向かって突進した。


 (ああ、来たな。うん、やっぱ怖えな)


 と、春風がそう感じた、まさにその時、


 ーー大丈夫です。貴方なら、きっと勝てます。


 不意にそう声が聞こえたと同時に、何やら温かいものに包まれていくような感じがした。


 春風はチラリとその声の主がいると思った方を見ると、そこにいたのは、


 (ああ、そうか。()()()()()()か)


 その後、春風はボソリと呟いた。


 「ありがとう」


 そして、視線を目の前に戻すと、既にウォーレンがすぐ近くまで迫っていた。


 ウォーレンはスパークルを大きく振り上げて、


 「神聖剣奥義、『聖光轟雷斬』!」


 と、技名を叫ぶと、眩い光を纏った刃を、春風に向かって振り下ろした。それは、まさに天から落ちる稲妻の様だった。


 だが、春風の目に、最早迷いはなかった。


 「ぶった斬れ、彼岸花ぁっ!」


 春風はそう叫んで、勢いよく彼岸花を抜いた。


 その時、春風の思いが通じたのか、抜き放たれた彼岸花の真っ赤な刀身は、さらに赤く染まっていた。


 眩い光を放つスパークルと、真紅に染まった彼岸花がぶつかる。


 その結果……。


 バキィン!


 「なっ!?」


 スパークルは、真っ二つに折れた。


 対して、彼岸花は、無傷だった。


 スパークルが折れた事で、一瞬呆然となったウォーレン。


 『だ、大隊長、前を!』


 隊員達の叫びにハッとなったウォーレンが前を向くと、


 (だ、誰だ?)


 そこには、真紅の刀身を持つ剣を振りかぶった、()()()()()()()()()()()()()()()()()()がいたのだが、すぐにそれは、春風に戻った。


 「俺の勝ちだぁあああああ!」


 その叫びと共に、春風は彼岸花を振り下ろし、ウォーレンを斬り裂いた。




 


 


 


 


 

 

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