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ユニーク賢者の異世界大冒険  作者: ハヤテ
第5章 対決、断罪官

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第64話 泥棒現る?

 お待たせしました。1日遅れと同時に、今年最後の投稿です。


 (ね、眠い……)


 結局、一晩中眠れなかった春風は、眠そうな表情のまま自室を出て食堂に向かった。


 (今のこんな俺の姿を見て、きっと今頃アマテラス様達は大笑いしてるだろうなぁ)


 大きく盛大に溜め息を吐きながらそんな事を考えていると、食堂から何やら騒がしい声が聞こえた。


 (ん? 何だ?)


 中に入ってみると、厨房の方に人集りが出来ていたので、「何だろう?」と近づくと、


 「あ、ハル君!」


 と、オーナーの娘のシェリルが、春風に気づいて駆け寄ってきた。


 「おはようございます、シェリルさん。あの、これ一体何があったんですか?」


 挨拶をしながら春風がそう尋ねると、シェリルは慌てた様子で、


 「泥棒よ! 泥棒に入られたの!」


 と答えた。


 「泥棒?」


 どういう事だと思った春風は、人混みを掻き分けて厨房の中を見ると、


 「うわっ! 何だこれ!?」


 それは、まさに酷い有様だった。鍋やフライ返しなどの調理器具が全て床に散らばっていて、パンだけでなく肉や野菜まで殆どが持ち去られていた。


 「一体、何でこんな事に……」


 あまりの惨状に呆然とする春風に、シェリルが話しかける。


 「それに、盗まれたのはパンとかだけじゃないの」


 「え、どういう事ですか?」


 春風が力無く尋ねると、シェリルの後ろから料理人のディランがヌッと現れて、


 「……料理まで、盗まれた」


 「うぉっ! お、おはようございますディランさん! すっごく元気なさそうですけど……って、『料理まで』って?」


 ディランは悲しみに満ちた表情で答える。


 「……特製モーニングスープ」


 「なっ!?」


 「……鍋、丸ごと」


 「何だってぇえええええええっ!?」


 春風はディランの言葉に激しくショックを受けると、その場に膝から崩れ落ちた。


 宿屋「白い風見鶏」の料理人、ディラン・バークリーの「特製モーニングスープ」。


 それは、この白い風見鶏の食堂が誇る人気のモーニングメニューである。


 一口食べればどんな疲れや暗い気持ちも一発で吹き飛ばし、たちまち元気にしてしまうという。


 春風自身もハンターとしての仕事を始めたばかりの時は、このスープに大変お世話になっており、今ではすっかり大好物になっていた。


 しかし今回、そのスープが()()()盗まれたというのだから、そのショックは計り知れないものになっていた。


 「そ、そんな。あのスープを飲んで、元気をチャージしようって思ってたのに……」


 小声でそう呟く春風。その表情は、もはや絶望に染まっていた。


 「ハ、ハル君……」


 シェリルはそんな春風を心配そうに見つめている。


 「……許さない」


 それから少し時が経つと、春風はゆっくりと立ち上がりながら、ディランに向かって口を開いた。


 「ディランさん」


 「……何だ?」


 「ギルドに依頼をしてください。俺、引き受けますので」


 春風のその言葉に不穏な空気を感じたのか、シェリルが恐る恐る春風に尋ねる。


 「ハル君、な、何をする気なの?」


 「決まっているでしょう」


 春風はニヤリ口を吊り上げて答える。


 「人様の食べ物盗む様な()()()()()()()()()()の泥棒さんを、とっ捕まえて生きたまま『地獄』に落としてやるんですよぉ!」


 「ヒ、ヒィイっ!」


 そう答えた春風に、思わず悲鳴を上げたシェリル。それはそうだろう、答えた春風の顔は笑っていたが、その瞳には犯人対する尋常でない「憎しみ」と、「狂気」が宿っていたのだから。


 食い物の恨み。それは、時に人を「修羅」にしてしまう恐ろしいものである。


 そして今、可憐な少女を思わせる顔立ちを持つ春風(本人は嫌がっている)は、まさにその「修羅」になろうとしていた。


 そんな状態の春風を見たシェリルは、後にこう語る。


 「あれは間違いなく、『()()()()()()()()()()()()だった」


 と……。

 


 


 


 


 

 これで、今年の投稿は終了です。来年もどんどん投稿していきますので、これからもよろしくお願いします。

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