第59話 ジゼル・ブルーム
お待たせしました。1日遅れの投稿です。
元・固有職保持者、ジゼル・ブルーム。彼女は幼い頃から、不思議な「力」を持っていた。
それは、今より少し先の「未来」……いや、正確には「未来で起こる出来事」を知る事が出来るのだ。それは、彼女の固有職能「予言者」の能力によるものだが、幼い彼女はそれを知らなかった。
何故、彼女がそんな「力」を持っていたのかは、彼女本人は勿論、今となっては誰にもわからなかったが、その「力」を持っていたがが故に、いつも両親から言われていた。
「決して人前で『力』を使ってはいけない。『黒い鎧を着た人達』が来るから」
そう聞かされてきたジゼルは、元々素直な良い子だったので、両親の言いつけをしっかり守っていた。
ところが12歳のある日、仲の良い友達を助ける為に、その「力」を使ってしまう。その結果、友達を助ける事が出来たが、それが、ジゼルの「不幸」の始まりだった。
「力」を使ってから数日後、両親のいう通り「黒い鎧を着た人」ーー断罪官が現れて、住んでいた村が彼らによって滅ぼされたのだ。
村人達は、次々と彼らに殺された。その中には、助けた友達もいた。
何とか両親と共に逃げ出す事が出来たジゼルだが、彼女の不幸はそこで終わらなかった。
執拗に追ってくる断罪官に父親が殺され、母親も逃げる途中で流行病に倒れ、必死の看病も虚しくこの世を去ってしまった。
独りぼっちになったジゼルは絶望したが、母親から言われた「生きて」という言葉に勇気づけられ、それ以後は断罪官に見つからないようにあちこちを移動しながら、時には死にそうになりながらも必死になって生きてきた。
それから数年後、世界中を旅しながら成長したジゼルは、立ち寄った小さな村で1人の男性と恋に落ち、彼と付き合う事になる。当然、自身が固有職保持者である事を隠して、だ。
やがて、2人は結婚して「夫婦」になり、子供も授かって「家族」になった。
さらに数年後、その子供は成長して愛する人と結ばれ、その人との間に子供ーージゼルにとっては孫ーーが出来て、ジゼルは幸せな日々を送っていたが、ある「出来事」をきっかけに、その幸せは崩れ去る事になった。
ある日、ジゼルが暮らす村に一組の夫婦が来て、そのまま村で暮らす事になった。その時のジゼルは、その夫婦についてとくに気になっている事はなかった。
しかし、それから暫く経ったある夜、村にそいつらがやって来た。
そう、断罪官だ。
彼らの狙いは、村にやって来た夫婦だった。その夫婦の正体が、五神教会に背く「異端者」だとわかり、ジゼルはすぐに家族に逃げるように言った。
だが時既に遅く、断罪官達は異端者の夫婦を殺害した後、村人達の抹殺も始めたのだ。
しかもさらに運悪く、断罪官達の中にはジゼルの故郷の村を滅ぼし、父親を殺した者がいて、向こうもジゼルの事を覚えていたのだ。
ジゼルは故郷と人達と父親の仇を取る為、そして今の家族の守る為に断罪官達に立ち向かったが、抵抗も虚しく、ジゼルは目の前で家族を全員殺害されてしまう。
悲しむジゼルは断罪官達に問うた。
「そんなに人殺しが楽しいのか?」
すると、断罪官の1人が答える。
「楽しい楽しくないは関係ない。異端者とそれに関わる者全てを抹殺する。それが、『神』のご意志だ」
その言葉を聞いた瞬間、ジゼルの中で、何かが壊れる音がした。
ジゼルは狂った様に笑った後、固有職能「予言者」の、最後の力を使った。
これまでジゼルは、生き抜く為に「予言者」の力を使ってきた。その中には、当然「悪い未来」もあったのだが、行動する事でその「悪い未来」を変える事が出来ていた。
だが、今回ジゼルが使った最後の力は、「どんな事をしても絶対に変えられない未来」を知る為の力だった。
そして、その力でとある「未来」を知ったジゼルは、断罪官達に向かって、
「この『偽りの歴史』に塗れた世界『エルード』で許されざる『過ち』が犯されし時、3人の『悪魔』、現れん。1人は『真の神々』に育てられし『白き悪魔』。1人は『偽りの神々』に逆らいし『青き悪魔』。そして最後は、『異界の神々』と契りを結びし『赤き悪魔』。やがて3人の『悪魔』が集い、並び立つ時、『偽りの神々』が死ぬ未来が決定される。その後、『悪魔』によって全ての『偽りの神々』が滅ぼされ、残されし人々は新たな未来へと歩み始める!」
と、声高々にその「未来」を口にした。
その後、怒り狂った断罪官の1人によって、ジゼルは殺害された。
享年67歳の事だった。
「予言」の部分を修正しました。それに合わせて、「第30話」に出てきた「予言」も修正しました。勝手な事をして申し訳ありません。




