間話55 水音と「家族」2
お待たせしました、1日遅れの投稿です。
(え……今、お兄ちゃん、何て……?)
画面の向こうにいる水音のセリフを、陽菜は一瞬理解出来ずにいたが、
(3年前の……『あの日』の!)
理解した瞬間、3年前の「あの日」の記憶が、陽菜の頭の中でフラッシュバックした。
そう、自分の中にある「鬼の闘気」を暴走させて、母・清光を傷つけてしまった、「あの日」の記憶を。
それと同時に、兄である水音に、「自分が母を傷つけた」と思い込ませてしまった、あの悲しい記憶を。
「あ……あぁ……!」
それを思い出したショックからなのか、陽菜は持っていたスマホを落としてしまったが、
「おっと!」
と、すかさず父・優誓がキャッチした。
「陽菜、大丈夫!?」
と、清光が尋ねるが、
「う……あ……」
陽菜はまるで、怯えているかのような表情でガタガタと体を震わせて、とても答えられる状態じゃなかった。
そんな彼女に向かって、水音は「陽菜……」と話しかけようとすると、
「あーすまないが、ちょっといいか?」
と、それを遮るかのようにセレスティアが割り込んできたので、
「む、貴方は?」
と、洋次郎がセレスティアに向かって尋ねた。
「失礼、私はウォーリス帝国第1皇女の、セレスティア・ジェニー・ウォーリスだ。以後、お見知り置きを」
と、セレスティアが洋次郎に向かってそう自己紹介すると、
「おお、これは失礼しました、帝国の姫様。儂は……いえ、私は桜庭家現当主の、桜庭洋次郎と申します。娘の清光から、孫の水音が大変お世話になっていると聞きました」
と、洋次郎はぺこりと頭を下げた。
それを見てセレスティアは「フフ」と笑うと、
「ああ、今ではすっかり水音は私達のものになった」
「「「ちょっ!」」」
笑顔でそう言ったセレスティアに、水音、リネット、アビゲイルは3人同時に顔を赤くし、優誓、清光、洋次郎、福世は全身真っ白になり、陽菜はピクッと体震えが止まった。
すると、
「まぁ、その話は一旦置いといて」
と、セレスティアは急に真面目な表情になると、
「さて、桜庭陽菜」
と、陽菜声をかけた。
「……はい、何でしょうか?」
と、陽菜がゆっくりと口を開くと、
「お前は、3年前に自分が何をしたのか、覚えているな?」
と、セレスティアは声を低くしてそう尋ねた。
その質問に対して、水音は「あの、セレスティア様……」と割り込もうとしたが、それより早く、
「それは……私が母を傷つけた時のこと、ですよね?」
と、陽菜も声を低くしてそう答えた。
陽菜のその態度を見て、
「ほう、覚えているというのなら話は早い」
と、セレスティアはそう呟くと、
「何故水音に真実を言わなかった? 水音から聞いたが、その出来事の後、水音はずっと『自分が母を傷つけた』と思い込んで、苦しい思いをしたんだぞ。それも、生きるのを諦めるくらいにな」
と、更に低い声で再びそう尋ねた。表情は冷静さを装っているが、それと同時に強い「怒り」が感じられた。
セレスティアの質問に対して、陽菜は「それは……」と言おうとしたが、それよりも先に、
「まさか、そのまま何も言わずに墓まで持っていくつもりだったのか?」
と、再びセレスティアにそう尋ねられて、
「違う!」
と、陽菜が怒りの声をあげた。
次の瞬間、陽菜の全身から黒が混じった青いオーラが吹き出した。
それを見て、セレスティアを除く周囲の人達がギョッと驚く中、
「言いたかった! 『お母さんを傷つけたのはお兄ちゃんじゃなくて私だ』って言いたかった! 本当はすぐにでも言いたかった! なのにお爺ちゃんが、『水音には何も言うな』って、『それがお前の罰だ』って……!」
と、涙を流しながら、怒りのままにそう叫んだ陽菜の言葉に、
「え、何それ? どういうこと?」
と、水音が口を開いた。
すると、
「落ち着くのだ陽菜」
と、洋次郎が陽菜の肩にポンと手を置きながらそう話しかけてきたので、陽菜は「怒り」に満ちた目でギロリと洋次郎を睨んだが、
「……うん」
と、すぐにどうにか怒りと青黒いオーラを抑えた。
それを見た後、洋次郎はセレスティアと水音に向かって口を開く。
「そうじゃ。3年前、清光が傷つけられたあの後、私は当主として、陽菜だけでなく妻の福世と、清光や優誓さんに『水音には何も言うな』と命じました」
水音はそのセリフを聞いて、
「そんな! ど、どうしてそんな命令を!?」
と問い詰めると、
「それが、陽菜だけでなく、お前への『罰』にもなるからだ」
と、洋次郎はそう答えて、その理由を説明し始めた。
謝罪)
大変申し訳ありませんでした。この話の流を考えていたら、その日のうちに終わらせることが出来ずに、結局1日遅れの投稿となってしまいました。
本当にすみません。




