第495話 春風編56 「ただいま」・2
お待たせしました、1日遅れの投稿です。
春風がフリードリヒと共に、クロエルとシロエルという2人の「エルード」と話し合っていた丁度その頃、残って「天使」となったモーゼスと、操り人形状態のクラスメイト4人と断罪官2人を相手にしていた凛依冴達はというと、
「ふぅ。参ったなぁ、ここまでの強さとは……」
と、凛依冴が言ったように、あまり良いとは言えない状況に立たされていた。
無理もないだろう。なにせ、相手は「天使」になったモーゼスの他に、操られている状態のクラスメイトと断罪官な上に、幾ら小夜子らが「もうやめろ!」と声をかけても全く反応しないどころか、ならばと思って少し重めの一撃を叩き込んで気絶させても、すぐにムクっと立ち上がってしまうので、それが凛依冴達を疲弊させていた。
そんな状況の中、
「ケケケ。もういっそぶっ殺しちゃう?」
と、凛依冴が握るヴァイオレットがそう尋ねると、
「そんなことしたら、きっとハニーが悲しむと思うわ」
と、凛依冴は首を横に振るいながらそう答えた。
その時、
ーーう……ぐぅ……あああああああっ!
と、春風とフリードリヒが通った通路の向こうからそんな叫び(?)が聞こえたので、
「っ! フーちゃん!?」
と、通路に向かって駆け出そうとしたが、
「駄目よユメちゃん!」
と、雪花が「待った」をかけた。
それに対して歩夢が、
「で、でも……」
と何か言おうとしたが、
「大丈夫。春風を、あなたの『大切な人』を信じなさい」
と、雪花に優しく諭されたので、歩夢はコクリと頷いた後、「ここは通さない」と言わんばかりに通路の前に立って、自身の武器である薙刀を構えた。
そんな歩夢を見て、
「ぬぅ、あくまでも幸村春風を守る気だな? いいだろう、行け、勇者達よ!」
と、モーゼスはクラスメイト達にそう命令した。
彼らはそれぞれの武器を構えて、一斉に歩夢に飛び掛かるが、
『させるかぁ!』
と、そこへ鉄雄達が割って入ってきて、クラスメイト達に応戦する。
激しさを増していく両者の戦い。そんな状況の中、自分達を攻撃するクラスメイト達を見て、
(く! どうして、どうしてこんなことに!?)
と、小夜子は悲しみに満ちた表情を浮かべた。それは、同じクラスメイトである歩夢や美羽、鉄雄や恵樹、星乃香も同様だった。
しかし、その所為で戦いの最中に僅かな隙が生まれてしまい、
「フム、道が出来たな」
と、それに気づいたモーゼスはニヤリと笑って翼を広げると、素早く通路へと移動した。
「しまった!」
と、それに気づいた凛依冴が、急いでモーゼスを追いかけようとしたが、クラスメイトの1人、遠山に阻まれてしまった。
「く、退きなさい!」
凛依冴はどうにかして遠山を退かそうとしたが、操られている遠山は一歩も退かずに、凛依冴を阻み続けた。
そして、
「さて、では悪魔退治といこうか」
と、モーゼスが通路に着いたその時、
「……って、ムッ!」
前方からモーゼスに向かって何かが飛んできた。
よく見ると、それは大きな風の塊のようで、それがモーゼスに向かってもの凄い速さで飛んできたので、モーゼスは眼前で両腕を交差させて防御に入った。
その結果、どうにか防御は間に合い、モーゼスの腕に風の塊が当たった。
だが、
「な、何だ、このパワーは!? グオオオオオッ!」
その風の塊はかなりの勢いで飛んできたようで、それを受けたモーゼスは腕を交差させたまま後ろへと吹っ飛ばされた。
『っ!?』
突然通路から吹っ飛ばされるように出てきたモーゼスに、それまで戦っていた者達は驚いて戦いの手を止めた。
一方、吹っ飛ばされたモーゼスはというと、
「く……い、一体、何が?」
と、交差していた腕を解いて通路の方に視線を向けると、通路の向こうから1人の少女が、宙に浮いた状態で出てきた。
見た目は歩夢らと同じ年頃くらいの、日本の「着物」を動きやすいように改造したみたいな衣服に身を包んだ長い真紅の髪を持つその少女に、
『う、美しい……』
と、誰もが見惚れている中、少女は通路に向かって口を開く。
「春風様、皆さんご無事ですよ」
と、少女がそう言った瞬間、
『……え?』
と、誰もがポカンとしていると、
「ありがとうございます、ジゼルさん」
と、通路の方からそう返事が聞こえた。
それを聞いて、
『……え? え?』
と、誰もが更にポカンとなっていると、通路からゆっくりと1人の少年が現れた。
邪魔にならない程度に装飾が施された、動きやすそうな空色のローブに身を包み、左腕に銀のガントレットを装着した、可憐な少女のような顔をしたその少年に向かって、
「フーちゃん!」
「ハニー!」
「春風!」
「ハ、ハル兄さん!」
と、少年を愛している者達は表情を明るくした。
そんな彼女達に向かって、
「ただいま、みんな」
と、少年は穏やかな笑みを浮かべながら言った。
すると、
「き……貴様……一体、何者だ?」
と、明らかにビビっていると言わんばかりの表情でそう尋ねてきたモーゼスに向かって、
「……決まってんだろ」
少年は、今度は不敵な笑みを浮かべながら答える。
「俺は幸村春風、『賢者』の固有職保持者だ!」
謝罪)
大変申し訳ありませんでした。この話の展開を考えていたら、結果1日遅れの投稿となってしまいました。
本当にすみません。




