第476話 春風編37 「ロボット」に乗った日
遡ること数分前。
「皆でこんな所から脱出するんじゃ!」
と、丈治がそう言って移動を開始しようとした、まさにその時、
「あ、ちょっと待ってください!」
と、中学3年の春風が「待った」をかけた。
その言葉に丈治とサンディが「?」を浮かべていると、
「みんな、全員ちゃんといる!?」
と、中学3年の春風は子供達に向かってそう尋ねた。
その質問に対して、子供達は一斉に、
『いるよー!』
と答えると、
「オーケイ! じゃあ次の質問だ。みんな、自分達をさらった連中に何か酷いことされなかった!? 特に女の子達! 君達は大丈夫!?」
と、中学3年の春風は更にそう尋ねた。
その質問に対して、女の子達が、
『だいじょうーぶ!』
と答えると、
「ああ、それなら大丈夫。この子達まだここに来たばかりだから、私達がここで面倒を見ることになったの」
と、女の子達に続くサンディもそう答えた。
その答えを聞いて、中学3年の春風は「そうでしたか!」と言うと、
「はい、もう大丈夫です! さぁ、行きましょう!」
と、丈治に向かってそう言った。
「うむ。では、ついて来なさい」
そう言うと、丈治は中学3年の春風、サンディ、子供達を連れて移動を開始した。勿論、アジト内にある監視カメラの死角を通って、だ。
それから暫く歩いていると、中学3年の春風達は、とある場所に着いた。
真っ暗なその場所に不安になったのか、
「あの、小田川博士、ここは一体……?」
と、中学3年の春風が尋ねると、
「さぁ、これを見よ!」
と、丈治が壁についたスイッチをポチッと押した。
すると、全体がピカッと明るくなり、思わず「眩しい!」と目を閉じた中学3年の春風達だが、ゆっくりと目を開けると、
「え、これって……」
そこにあったのは、ちょっと無骨な見た目をした大きな銀色の人型の機械、
「……ロボット!?」
そう、ロボットだった。
それも、2体。
まさかのロボットの登場に大きく目を見開いて驚いた中学3年の春風に、丈治は説明する。
「こいつは人型戦術兵器『ジャーベリン』の試作1号と2号だ。元々この施設は、こいつを開発する為のものでな、その為にブレイン・ロードの連中は儂らをここへ連れて来たのだ。『世界平和の為に』と言ってな」
「ああ、そういえば小田川博士って、ロボット工学に精通してるんでしたよね?」
「そうじゃ。そしてこの試作1号と2号はテスト機として開発されたものでな、たいした武装は備わってないが、それを補えるくらいのパワーと頑丈さを誇っておる」
「そ、それは凄いですね……って、あの、もしかしてこれ……乗れますか?」
「勿論、これは内部に入って動かすタイプのものだ。というわけで、春風よ」
「?」
ーー乗るかい?
ーーイエースッ!
そして、現在。
「うおりゃあああああああっ!」
「どけどけどけぇえええええいっ!」
丈治と中学3年の春風は、そのジャーベリン試作1号と2号に乗ってアジト内を大暴れしていた。
因みに、丈治が1号、中学3年の春風は2号に乗っている。
「ガーッハッハッハ! 見よ春風よ! 敵がどんどん戦意を失くして逃げ回っておる!」
「アハハ! 本当だ!」
と、2人が楽しそうにそう話し合っていると、1台の大型車が近づいて、
「ちょっとジョー博士に春風ちゃん! あんまり暴れすぎると後が面倒になるわよ!」
と、その窓から顔を出したサンディがそう怒鳴った。因みにこの大型車にはサンディだけでなく子供達も乗っている。
サンディの言葉に丈治はハッとなって、
「おおっとそうだった。では春風よ、ここらで脱出といこうか!」
「はい、わかりました!」
と中学3年の春風とそう話し合うと……。
ーーパシュン! ヒュウウウウウ、ドォン!
「うわぁ!?」
と、足下の地面に何かが当たって爆発したので、中学3年の春風はその所為でバランスを崩して倒れそうになったが、
「フンヌゥ!」
と叫んでジャーベリンを操作したので、どうにか倒れずにすんだ。
「むむ、何やつだ!」
と、丈治がそう叫ぶと、黒い大きな影が目の前に現れた。
「え、ジャーベリン!?」
その正体は、漆黒のボディカラーのジャーベリンだが、丈治と中学3年の春風が乗っているジャーベリンとは違って、背中には大型のガトリングガンとミサイルポッド、両腕にはチェーンソーが取り付けられていて、他にも幾つかの火器がついているなど、かなり凶悪な見た目をしていた。
「お、小田川博士、あれってまさか!?」
と、中学3年の春風が尋ねると、
「うむ、間違いない、完成型のジャーベリンだ!」
と、丈治はそう答えた。
その後、2人はその黒いジャーベリンを警戒すると、
「随分と、暴れ回ったようだな」
と、黒いジャーベリンからそう声がした。
「「そ、その声は……!?」」
と、丈治と中学3年の春風が驚いていると、黒いジャーベリンの背中のハッチが開いて、そこから1人の人物が出てきた。
「あ、アンディ博士!」
「やはり貴様か! 安土流!」
そう、アンディこと流だった。




