第462話 春風編23 「幸村春風」と「再会」2
大造と日真理夫婦との、まさかの「再会」の後、小学生時代の春風は2人を自室に案内した。因みにその間、涼司には店の方に残ってもらっている。
その後、自室の中央にある小さなテーブルを挟んで、小学生時代の春風は、2人にディモーニア王国で起きた出来事から、涼司に引き取られるまでの「事情」を説明した。
「……と、いうわけなんです」
と、小学生時代の春風がそう言って説明を終えると、
「……そういうことかよ」
と、大造はボソリとそう呟いて、手で自身の顔を覆った。隣の日真理も、春風の説明にギリっと歯軋りをした。
小学生時代の春風はそんな2人の様子を見て、
「あ、あの、親分さん……」
と、恐る恐る話しかけると、
「よし、日真理すぐに家に帰るぞ! 組員集めて情報収集! それが終わり次第、『ブレイン・ロード』をぶっ潰す!」
と言って、大造はガバッと立ち上がった。
その言葉を聞いて、
「え、ちょっと待って親分さ……」
と、小学生時代の春風が大造に「待った」をかけようとしたが、
「あいよ、あんた!」
と、日真理もノリノリでガバッと立ち上がったので、
「姐さん! 姐さんも待って!」
と、小学生時代の春風は必死になって日真理にも「待った」をかけた。
しかし、
「オイオイ、止めんじゃねぇよフー」
「そうだ、あんたから両親を奪った連中を、私らは絶対に許さねぇ」
と、大造も日真理も、全身から怒りのオーラが出ていて、本気でブレイン・ロードを潰す気満々になっていた。
小学生時代の春風はそんな2人を見て一瞬怯んだが、すぐに持ち直して、
「親分さん、姐さん、どうか落ち着いてください!」
と、2人に向かって土下座した。
突然のことに驚いた2人は、
「え!? オイ、フー!」
「何してんだいフー!? 頭を上げな!」
と、大慌てで春風に向かってそう言ったが、
「お願いします、どうか、どうか思いとどまってください!」
と、小学生時代の春風は土下座を崩さなかった。
その姿を見て、大造は我に返ったのか、
「……なぁフー、お前さん悔しくねぇのか? 奴らの所為でお前さんは両親を失っただけじゃなく、お前さん自身も死んだことになっちまったんだぞ?」
と、冷静な口調でそう尋ねてきた。
その質問に、春風は左右の拳をグッと握って、
「そんなの悔しいに決まってるじゃないですか。俺は今でも、奴らがやったことを許す気なんてありません」
と、まだ土下座の姿勢のままそう答えた。
それを聞いて、
「だったら……!」
と、日真理が口を開いたが、
「ですが、だからといって親分さん達に危険を犯させるわけにはいきません」
と、それを遮って、春風は話を続けた。
「なんでだ?」
と、大造が再び尋ねると、春風は顔を上げて、
「親分さん達には、ユメちゃんや剛兄さん、そして組員さん達っていう大切な『家族』がいるじゃないですか。もし親分さんに何か起きたら、きっと『家族』の皆さんは悲しむでしょう。お父さんとお母さんが死んだ時、俺は凄く悲しかった。その悲しみを他の人に味わってほしくないんです」
と、真っ直ぐ大造を見てそう答えた。
大造はそんな小学生時代の春風を見て何も言えなくなったが、代わりに日真理が口を開いた。
「……そうだね、あんたの言う通りだ」
と、ぼそりとそう呟くと、
「わかったよ、フー。フーがそれでいいってんなら、この話はおしまいだ」
と、真っ直ぐ春風を見てそう言った。
それを聞いて、小学生時代の春風は、
「ありがとうござ……」
と、お礼を言いかけたが、
「じゃあ、代わりに1つ言わせてくれ」
今度は日真理が遮ってきた。
「な、何でしょうか?」
と、小学生時代の春風が警戒心を強めると、
「よっと……」
と、日真理は優しく春風を抱きしめて、
「おかえり、春風。よく無事で帰ってきたね」
と、春風をきちんと本名で呼びながら、優しい口調でそう言った。
春風はその言葉を聞いた後、
「……ただいま、姐さん。ただいま」
と、一筋の涙を流しながらそう返した。




