第441話 春風編2 懐かしの「我が家」
中立都市シャーサル。
そこは、春風が「ハンターのハル」として暮らしていた都市。
ループスの分身との戦いが終わってすぐにウォーリス帝国へと旅立ってから、一度も帰ってないその都市に、今、春風達は帰ってきた。
春風が更なる「強さ」を手に入れる為の「目的地」として。
(まさか、こんな形でここに戻ることになるなんて……)
と心の中でそう呟いた春風は現在、仲間達と共にシャーサルの中を歩いていた。
ただし、変装をして、だ。
何故そんなことをしているのか?
その理由はただ1つ。シャーサルを出てからの春風は、自身の正体が暴露されたうえに春風本人も色々とやらかしていて、それが世界中に知られてしまっているからだ。勿論、その中にはシャーサルも含まれている。
正直に言うと、春風はシャーサルに戻ることに抵抗感を抱いていたが、更なる「強さ」を手に入れる為に、覚悟を決めて戻ることを決意をしたのだ。
(変わってないな、ここ……)
と、心の中でそう呟いた春風は今、ウォーリス帝国で手に入れた変装用魔導具で、ヴァレリーのレギオン「紅蓮の猛牛」メンバーに変装している状態で、ヴァレリーや仲間達と共にとある場所へと向かっていた。当然、春風の仲間達も一緒に変装している。
といっても、凛依冴とジゼルだけは、春風から彼岸花を預かると、春風達と別れてハンクとクリフと共に「黄金の両手」の拠点へと向かっていた。
暫く歩いていると、春風達は目的の場所についた。
(久しぶりだな。この総本部に来たのは……)
そう。そこは、ハンターギルドの総本部だ。
春風達は懐かしさに耽った後、ヴァレリーと共に入り口まで進もうとすると、
「皆様、お待ちしておりました」
と、入り口でギルド職員の女性に声をかけられた。
「出迎えご苦労さん」
と、ヴァレリーがその女性職員に声をかけると、
「フレデリック総本部長から、皆様に伝言を預かっております」
と、女性職員はそう返した。
その言葉を聞いて、春風達が「?」と首を傾げると、
「『すぐに七色の綺羅星の拠点に来るように』」
と、女性職員は淡々とした口調でそう言った。
その後、春風達はその伝言に従って、すぐに自分達の拠点に向かった。当然、怪しまれないようにヴァレリーも一緒にだ。
そして街中を進んでいくと、目的の場所に着いた。
「帰ってきたんだなぁ……」
久しぶりの拠点を見てそう呟いた春風だが、
(うう。帰ってきたのはいいけど、中とか散らかってたらどうしよう)
と、玄関の扉の前でそう考えて不安になり、すぐに「いかんいかん」と首を横に振った後、扉に触れて、ゆっくりと開けた。
(……あれ? なんか、綺麗になってる?)
と、春風が心の中でそう呟いたように、久しぶりに帰った拠点の中は結構綺麗になっていた。
そのあまりの綺麗ぶりに春風は少しの間呆けていたが、再び「いかんいかん」と首を横に振り、中へと入った。
その後、仲間達と共に拠点内で変装を解いた春風は、
「……ただいま、俺達の家」
と、小さくそう呟いた。
すると、
「おっかえりぃ!」
と、明るい口調の男性の声に驚き、春風達はすぐさま武器を構えて戦闘態勢に入った。
だが、
「わぁー! 待て待て待て! 俺だよ俺!」
という声が聞こえて、春風は「何処の詐欺師だよ」と突っ込みた気持ちを抑えて、その声がした方向ーー食堂の方へと向くと、食堂に続く扉が開かれた。
その後、扉の向こうにいる人物を見て、
「あ、ラッセルさん!」
と、春風は驚きの声をあげた。
「よぉ、久しぶり」
と、食堂の椅子に座ったままの状態でそう返したのは、アデレードと同じ白金級ハンターであるラッセル・ジンクスだった。
まさかのラッセルの登場と再会に驚いた春風は、
「え、あの、どうしてここに?」
と、尋ねると、
「総本部長の指示でな、お前さんらがウォーリスに言ってから、ずっとここの管理をしていたのさ。ああ、お前さんらの自室は手ェつけてないから、安心しな」
と、ラッセルは明るい口調でそう返した。
その言葉を聞いて春風は、
「あぁ、そうだったんですか。それはありがとうございます」
と、頭を下げてお礼を言った。
その言葉に照れたのか、
「ハハ、いいってことよ」
と恥ずかしそうに言うと、
「さて、そんじゃあ……」
と、椅子から立ち上がって、
「ついてきな」
と、真面目な表情でそう言うと、『ん?』と頭上に「?」を浮かべた春風達を連れて、とある場所へと案内し始めた。




