第439話 水音編35 「天使」vs「悪魔」、決着
白いオーラを放出させた怒りの形相のルイーズと、青いオーラを放出させた水音、フェイト、イチ。
彼らのそんな様子を、セレスティア達と神獣達は見守っていた。
「ハァアアアアアアアッ!」
ルイーズは持っていた剣に白いオーラを纏わせる。
すると、剣は次第に形を変えて、やがてルイーズの背丈をも軽く超える巨大な剣となった。
対する水音達はというと、
「ううぅ……」
「だ、大丈夫、水音くん?」
と、イチが心配そうに声をかけたように、水音は青いオーラを両手に集めているが、どうにも安定しないようで、かなり手こずっていた。
「や、やっぱり初めてだからかなぁ。上手くまとめることが出来ないや」
と、額からあせを流しながらそう言った水音に、フェイトが声をかける。
「それなら、アレを使ったらどうだ?」
「「アレ?」」
「ここに来る前に、アビゲイル殿が用意してくれた……」
「! そうか!」
そう言うと、水音は腰の鞘から愛用の剣であるガッツを引き抜き、それを右手に持った。更に、
「そして、こいつらもだ!」
と言うと、腰のベルトにつけた革製のポーチから、短剣、短めの槍、片手用の戦鎚、鞭、小型の盾を取り出した。
そう、アビゲイルが水音の為に用意した「ガッツシリーズ」だ。
その後、水音は左手で短剣ーー魔剛短剣ガッツを持ち、フェイトの意識が宿ったロボット上半身は片手戦鎚ーー魔剛戦鎚ガッツと鞭ーー魔剛鞭ガッツを、イチの意識が宿ったロボット上半身は短めの槍ーー魔剛短槍ガッツと小型盾ーー魔剛小盾ガッツを持った。
そして、水音達はそれぞれの手に持ったガッツシリーズに青いオーラを纏わせると、
「よし、いい感じになってきたぞ」
「それで、この後これをどうする気だ?」
「決まってる! 更に1つにするんだ!」
「よ、よーし……」
と、そうやりとりすると、水音達は青いオーラを纏わせたガッツシリーズを空に向かって掲げて、それぞれ意識を集中しだした。
次の瞬間、それぞれのガッツに纏わせた青いオーラが1つになり、一振りの巨大な「刀」が出来上がった。
「す、凄いの出来ちゃった……」
「水音君、こいつに名前はあるかい?」
と、フェイトが水音にそう尋ねると、
「あるよ。名付けて、鬼力剣・一本角、『超・武ッ汰斬り形態』だ!」
と、水音は自信満々に答えた。
それを聞いたルイーズは、
「な、なぁんだその妙な名前はぁあああああああっ!?」
と、激昂した状態で白い巨大剣を振り上げ、それを水音達に向かって勢いよく振り下ろした。
「わぁ、来たぁ!」
「ど、どうする気だ水音君!?」
「決まってるだろ……このまま一気に振り下ろすんだぁっ!」
「それ大丈夫なの!?」
「わからないからこそ、やるんだ! 今こそ、僕達の力と心ーー勇気を合わせるんだぁ!」
「ああ、合わせよう!」
「う、うん、僕もわかった!」
「「「せーの!」」」
そうやり取りした後、水音達は目の前の白い巨大剣を振り下ろしたルイーズ目掛けて、
「「「いっけぇえええええええっ!」」」
と、巨大な青い「刀」を振り下ろした。
白い巨大剣と青い巨大刀、2つの刃がぶつかる。
その瞬間……。
ーーバキィンッ!
「な、そ、そんな!」
水音達の青い巨大刀が、ルイーズの白い巨大剣を真っ二つに折り、ルイーズを飲み込んだ。
「……っ」
あまりの大きな一撃に、ルイーズは悲鳴をあげる間もなく吹っ飛ばされ、地面に何度もバウンドした。
そして、
「うぅ……ご、ごめんね、アッシュ……お姉ちゃん、負けちゃった……よ……」
と言うと、そのままルイーズは動かなくなった。
一方、水音達はというと、
「た、倒したのかなぁ?」
「どうやら、そうみたいだね」
「……」
と、肩で息をしながらそう言い合った。
ところが、
「あ!」
と、水音が驚きの声をあげた。
残っていた数体の神獣達が動かなくなったルイーズに襲いかかったのだ。
「ま、まずい!」
と、水音達が前に出ようとした、まさにその時、
「水音、俺を投げろ!」
と、ループスがそう言ってきたので、水音はそれに従ってループスをガシッと掴むと、
「うおおおおおおおっ!」
と、神獣達に向かって思いっきりぶん投げた。
その後、投げられたループスは、
「ゴッド肉球ぅうううううううっ!」
と、ペシペシと神獣達に、自身の肉球によるビンタをお見舞いした。
すると、神獣達はピタッとその場に立ち止まった。
その後、ループスはくるりとルイーズの前に着地し、
「こいつに手を出すな」
と、ギロリと神獣達を睨みながらそう言った。
すると、神獣達は皆、
『す、すみませんでしたぁ!』
と言わんばかりにその場に寝転がり、ループスにお腹を見せた。
(あ、今度こそ終わったみたいだ……)
と、水音はループスと神獣達を見てそう思うと、
「え、ちょっと!」
「水音君!」
水音はふらついてその場に倒れそうになった。
その時、
「水音!」
「っ!」
倒れそうになった瞬間、セレスティアに抱きとめられた。
「あ、セレスティアさま……」
と、水音がそう声を漏らそうとすると、
「むぐ!?」
と、水音はセレスティアにキスされた。それも唇に、ディープなやつを、だ。
その後、セレスティアのキスが終わると、
「馬鹿者が、私の許可なく勝手に死ぬな!」
と、セレスティアは水音をそう叱った。
叱られた水音は一瞬キョトンとなったが、
「……申し訳……ありません」
と、すぐにシュンとなって謝罪した。
その様子を見て、遅れてきたリネットとアビゲイルも、「まったくだ!」と水音を叱りつつ、その唇にキスをした。
それを見て、その場にいる者達全員が何とも言えない表情をしていると、
「あ、見て!」
と、その中の1人がとある方向を指差したので、水音達は「ん?」と、一斉にその方向を見ると、
「あ、夜明けだ」
と、夜空に上がる太陽の光を見て、水音は小さくそう呟いた。
そして、その夜明けに見惚れた後、
(春風達の方は、今頃どうしてるかな?)
と、水音は今度は心の中でそう呟いた。
さて、水音がそんなことを考えている一方、春風の方はというと、
「まさか、ここにきてあなたを相手にすることになるなんて……」
「……(ニヤリ)」
今まさに、「試練」の時を迎えていた。
どうも、ハヤテです。
というわけで、長くなってしまいましたが、以上で第14章「水音編」は終了です。
今回は「勇気」をテーマに書きました(表現出来てなかったらすみません)。
次回からはいよいよ主人公、春風君の試練になります。
果たして彼にどんな試練が待ち受けているのか、ご期待ください。




