第422話 水音編18 全てを語り終えて
今回はいつもより短めの話です。
「ーーとまぁこれが、僕が凛依冴師匠の『弟子』になった経緯なんだけどぉ……」
と、「全て」を説明し終えた水音。
その説明を聞き終えた、セレスティアら周囲の人達はというと、
『……』
と、皆、口を開けてポカンとした表情になっていた。
そんな彼女達を見て、水音が「え、えっとぉ……」と困った顔をすると、
「……そんなに凄かったのか? 春風」
と、ハッとなったループスが尋ねてきたので、
「え? ええ、あの時の春風が放った『殺意』は、今でも覚えてます」
と、水音は戸惑いながらも、ループスの質問に対してそう答えた。
すると、
「……俺の時は、そんなもの感じなかったが」
と、今度は煌良が表情を暗くしながら言った。その瞬間、水音は帝城で起きた春風と煌良の戦いを思い出して、
「ああっと……じゃあ僕の方から春風に『お願い』しておこうか?」
と、煌良に向かってそう尋ねると、
「ああ。よろしく頼む」
と、煌良が暗い表情のままそう返した。
その時だ。
「あ、ああ、そういえばさ煌良! 煌良がここに来た『目的』、忘れてはいないよね!?」
と、この場の空気に耐えられなかったのか、学が声をあげて煌良に尋ねた。
その質問を聞いて、それまで暗い顔をしていた煌良は、
「は! そういえばそうだった!」
と、一瞬で表情を明るくして、
「すみませんがグレアムさん! この保護区に、『エルバート』という『強い人物』がいるという話を聞いたのですが、ご存知ありませんか!?」
と、グレアムに向かってそう尋ねた。
「エルバートですか? ええ、確かに彼はこの保護区で暮らしていますが……」
と、グレアムそう答えると、
「本当ですか!? 俺、その人と戦いたいのですが……」
と、煌良は目をキラキラと輝かせながら「お願いします!」と言わんばかりにグレアムに詰め寄った。
グレアムは煌良のあまりの剣幕にドン引きしたが、
「わ、わかりました。今日はもう遅いですので、明日、彼と話をしましょう」
と、煌良に向かってそう提案すると、
「ありがとうございます! 是非、お願いします!」
と、煌良は深々と頭を下げてお礼を言った。
そんな煌良の姿を見て、グレアムを除いた周囲の人達全員が、
『ハァ。やれやれ……』
と呆れ顔になった。
その後、グレアムは「コホン」と咳き込むと、
「さ、さぁ皆様、今日はもう遅いので、食事の用意をしますね!」
と、いそいそと夕食の用意をした。勿論、これには水音、煌良、学、麗生も手伝った。
それから水音達は、グレアムやミュリィらと共に楽しい食事をした。その際、水音、煌良、学、麗生による「この世界での生活』について語った。
そして、夕食が終わると、水音達はグレアムが用意した客室に行き、皆、それぞれ深い眠りについた。
ただ、水音はというと、
(……正直に言うと、全部話したわけじゃないんだけどなぁ)
と、まだ語ってない『自分自身』のことについて、「ハァ」と深い溜め息を吐くと、
「……ま、いっか」
と、考えることをやめた。




