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ユニーク賢者の異世界大冒険  作者: ハヤテ
第14章 更なる「力」を求めて

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第420話 水音編16 水音と春風2


 「ちょっと本気でいきますけど、気をつけないと……お前、死ぬよ?」


 「……へ?」


 目の前にいる春風が言った言葉の意味を、水音は理解出来なかった。


 「それでは……始め!」


 と、凛依冴がそう叫んだ次の瞬間、もの凄いスピードで春風が突進してきて、水音に攻撃を仕掛けてきた。


 攻撃手段は、貫手。


 狙いは、水音の()()


 「っ!?」


 それに気付いた時、水音はすぐに横に動いて、それを回避した。


 (な、何、今のは!?)


 突然のことに驚いた水音。しかし、春風は次の攻撃に移った。


 貫手の状態をそのままに、体を捻って回転。


 その勢いを利用した、手刀。


 狙いは、水音の首筋。


 「ヒィッ!」


 それがわかったのか、水音は急いでその場にしゃがみ込んで回避した。


 しかし、それでも春風の攻撃は止まなかった。


 避けられたとわかった瞬間、春風は水音の真上にジャンプした。それも、天井に届いてしまうくらいのジャンプだ。


 その後、天井の近くで、春風はうずくまるように全身を回転させた。


 (あ、あの回転……まさか!)


 その瞬間、水音は春風が何をしようとしてるのか理解してしまった。


 そう、春風の次の攻撃、それは、回転の勢いを利用した、()()()()だった。


 凄まじい勢いに踵落としが、水音に向かって振り下ろされようとしたその時、


 「う、うわぁあああああっ!」


 と、水音は床を這うように移動してそれを避けた。


 その瞬間、激しい振動と共に、ドォンという大きな音が、道場内に響き渡った。春風の踵落としを受けた床の一部が、まるで大きな岩でも落とされたかのように大きく破壊されていた。


 「あ……あぁ……」


 目の前で起きたあまりの出来事に、水音は立ち上がることが出来ず呆然とした。


 そんな状況の中、それまで黙って水音と春風の様子を見ていた妹の陽菜が、


 「や、やめて、もうやめてぇ!」


 と、水音のもとに駆け寄ろうとした。


 その時、


 「おっと、そうはさせないよ」


 と、既に壁際まで移動していた凛依冴が、懐から何かを取り出した。


 それは1枚の紙切れのようで、凛依冴はその紙切れを、まるでナイフを投げるかのようにシュッと陽菜の足下に飛ばした。


 すると、紙切れが青白い光を放ち、陽菜、優誓、清光、洋次郎、福世が、その光に包まれた。


 「こ、これは!?」


 驚いた優誓がその光に触れると、まるで強固な壁に触れたかのような感覚に囚われて、その瞬間、


 「まさか、『結界』か!?」


 と、優誓達は自分達が「閉じ込められた」と理解させられた。


 「と、父さん! 母さん! 陽菜! 爺ちゃん! 婆ちゃん!」


 驚く水音だったが、腰が抜けてしまったのか、未だに立ち上がることが出来ずにいた。


 すると、


 「何処を見ている?」


 という春風の声に反応して、ビクッとなった水音はすぐに春風の方を見た。


 顔つきこそ可憐な少女のようだが、その表情は最早『無』で、その両目には「あるもの」が感じられた。


 それは、「殺す」という明確な意志。


 余計な感情など一切ない、純粋な「殺意」だった。

 

 「あ、ああ……あああ……」


 水音は恐怖した。


 それまで「死んでもいい」と思ってたのに、目の前にいる少女のような顔つきの少年から明確な「殺意」を向けられて、今、水音の心の中は「死への恐怖」でいっぱいになった。


 (い、嫌だ……嫌だ!)


 恐怖に支配され水音に、春風は一歩一歩近づいた。


 「く、来るな……来るな来るな……」


 「み、水音! 逃げろ! 逃げるんだ!」


 「お兄ちゃん、逃げてぇ!」


 と、水音は首を横に振りながら後ろに下がり、優誓と陽菜が一生懸命「逃げろ」と叫んだが、それでも春風は止まらないどころか、近づく速度を少しずつ上げていった。


 「あ、ああ、あああああ……」


 そして、春風は水音のすぐ側に立つと、


 「死ね」


 と、強い「殺意」を込めた拳を、水音に向かって突き出した。


 すると、


 「嫌だぁあああああああ! 殺さないでぇえええええええっ!」


 と、水音が叫んだ次の瞬間、水音の全身から青い炎のようなオーラが噴出して、


 「っ!」


 それが春風を、思いっきり吹っ飛ばした。


 春風は咄嗟に両腕を交差させて防御体勢を取っていたが、それでも勢いを殺すことが出来ず、そのまま背後の壁に激突した。


 その後、体から出ていた青いオーラが弱まると、


 「……ハッ! だ、大丈夫、ですか!?」


 と、我に返った水音が、春風に向かってそう尋ねた。


 どう見ても「無事なわけがない」と、凛依冴を除いて誰もがそう思っていたが、


 「あー大丈夫大丈夫。でも、おー痛た。俺じゃなかったら普通に死んでるわこれ」


 と、春風は左腕をプラプラと振りながら、「無事ですよ」とアピールした。


 その後、水音は「よかった」と胸を撫で下ろすと、


 「もう『死にたい』とか『死んでもいい』なんて思わない?」


 と、今度は春風が真面目な表情で、水音に向かってそう尋ねた。


 その質問に水音が「え?」となると、


 「……あ」


 と、水音はそう声をもらすと、ゆっくりと優誓達の方へと向いた。


 そして、


 「と、父さん、母さん、陽菜、爺ちゃん、婆ちゃん……」


 水音は大粒の涙を流しながら、


 「ごめんなさい、ごめんなさいぃ……」


 と、優誓達に向かって謝罪した。


 何度も、何度も。

 


 


 


 

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