第413話 水音編9 水音、暴走?
今回は、少し短めの話になります。
「うわぁあああああああっ!」
分身1号に噛まれたのがキッカケになったのか、水音の全身から青い「炎」のようなオーラが、もの凄い勢いで噴き出した。
「お、オイ、どうしたんだ水音!」
そんな状態の水音を見て、セレスティアはすぐに近づこうとしたが、オーラが強すぎるのか、中々近づくことが出来ずにいた。
そんな状況の中、
「ループス様、これってどういう状況なんですか!?」
と、学がループスに向かってそう尋ねると、ループスは水音から少し離れた位置で震える分身1号を見ながら説明した。
「あいつは性格は臆病だが、『偽神に対する恨みや怒りを表した存在』をテーマに、俺自身の『負』の感情とエネルギーを材料にして作った分身だ。そんなあいつに噛まれたんだ、何が起きても不思議じゃない」
「え、神様でも『負』の感情を持つことってあるんですか?」
「『神様』だって色々あるんだよ。って、それよりも……」
そう言って、ループスは視線を水音に向けた。
「水音の奴、なんてヤベェ『力』を秘めてんだ。このままだと……」
『このままだと?』
「噴き出た『力』に肉体が耐えきれず、消滅してしまう」
「そ、そんな!」
ループスの言葉にショックを受けたセレスティアは、
「だ、駄目だ水音! 落ち着けぇ!」
と、水音に向かって叫んだが、
「うわあああああっ! ぼ、僕は! 僕はぁあああああああっ!」
その叫びは、水音の耳には届かなかった。
「く、一体どうすれば!?」
と、セレスティアがそう言ってタラリと冷や汗を流すと、
「オイ、しっかりしろ!」
「そうですセレスティア様、ここは足踏みしている場合ではありません!」
と、アビゲイルとリネットが、セレスティアの肩に手を置きながら言った。
セレスティアは2人の言葉にハッとなったのか、
「な、ならば、一体どうすれば良い?」
と、落ち着かない様子で尋ねると、
「んなもん決まってんだろ?」
「ええ、いつもみたいに、強引に行けば良いんです」
と、2人は真っ直ぐセレスティアを見てそう答えたので、
「……そうだな。私が出来るのは、それしかないか」
と、小さく呟くと、
「2人とも、水音を助けるぞ! あいつは私達のものだ、絶対に失いたくない!」
と、覚悟を決めたかのような表情でそう言った。
その言葉を聞いた2人は、
「オウ!」
「ハイ!」
と、揃って返事をした。
そして、セレスティア、アビゲイル、リネットは水音の方へと向く。
(うむ、こうして冷静になってよく見ると、水音の奴、まるで……)
「行くぞ、2人とも!」
そう言うと、3人は水音に向かって駆け出した。といっても、水音から噴き出たオーラが強いのか、少しゆっくりになっていたが。
「セレスティア様!」
「リネットさん! アビゲイルさん!」
と、煌良と麗生が叫んだが、3人はそれに構わず、水音に向かって進んでいった。
そして、漸く水音のもとに着くと、3人は水音を取り囲み、
「「「水音!」」」
と、同時にガバッと水音に抱きついた。
『!?』
まさかの行動に驚く残されたループス達。しかしそれに構わず、
「水音、もう大丈夫よ!」
「そうだぜ! ここにはあたしらがいるんだ!」
と、水音に向かって声をかけるリネットとアビゲイル。
そして、最後に、
「ああ、そうだ。ここには私達がいる。お前はもう、1人じゃない。だから……もう泣くな」
と、セレスティアは穏やかな口調でそう言った。
次の瞬間、
「っ!」
水音の中で、何かが反応した。




