第405話 水音編1 帝都への帰還
今日はいつもより短めの話です。
時は、春風、リアナ、水音がそれぞれの目的地へと旅立った時まで遡る。
北の地を後にした水音一行は、目的地へ向かう為の準備として、一度ウォーリス帝国帝都に戻ることになった。
そして、特に問題もなく無事に帝都に着くと、
「よっしゃあ! それじゃあ次の目的地に向けて補給がすみ次第、すぐに出発だぁ!」
と、ギルバートが元気よくそう言うと、
「待ちなさい陛下」
と、エリノーラがギルバートの頭をガシッと掴んだ。
「な、なんだいエリー?」
ギルバートは滝のように汗を流しながら、恐る恐るエリノーラに尋ねると、
「あなた、まだしなくちゃいけない仕事がたくさんあるでしょ?」
と、エリノーラは満面の笑みでそう答えた。
その答えを聞いて、ギルバートは更に汗をダラダラと流しながら、
「い、いや、でも水音達だけじゃあやっぱり心配で……」
と言ったが、
「そんなのセレスちゃんだけで十分よ」
と、それを遮るかのように、エリノーラは満面の笑みのままバッサリと言った。気のせいか、エリノーラの全身から真っ黒なオーラが出ているのが見えたような気がしたが、水音達は気にしないことにした。
「で、でもよぉ……」
と、ギルバートはそれでも何か言おうとしたが、
「さぁ、行きますよ陛下。レイちゃんも手伝ってね」
「はい、母上」
と、エリノーラはレイモンドと共に帝城へと向かった。その際に、
「い、嫌だぁあああああ! 離してくれぇえええええ! 俺も一緒に行かせてくれぇえええええ!」
と、エリノーラに頭を掴まれた状態で、ズルズルと引きずられていったギルバートの悲鳴が聞こえたが、水音達はそれを無視することにした。
その後、残された水音達はというと、
「えっと、僕達はこれからどうすればいいでしょうか?」
と、このなんとも言えない雰囲気を変えようと水音が口を開くと、
「そうだな……」
と、セレスティアはどうしたものかと考えだした。
すると、
「セレスティア様、彼女に会いに行くのはどうでしょうか?」
と、それまで黙って側にいた、セレスティアの幼なじみである女性帝国騎士のリネットがそう提案してきた。
セレスティアはそれを聞くと、
「おお、そうだな! では久々に会いに行くとするか」
と、リネットのその提案を受け入れることにした。
そして、
「よし。では行くぞ、水音、リネット」
「「はい」」
と、その場を後にしようとしたその時、
「あー、すみませんがちょっとよろしいでしょうか?」
と、ここで煌良が「待った」をかけてきた。
「む、どうした?」
と、セレスティアが煌良に向かって尋ねると、
「その……『彼女』というのは、どちら様でしょうか?」
と、煌良は恐る恐る尋ね返した。
それを聞いたセレスティアは、
「ああ、そうか……」
と、小さく呟くと、
「簡単に言うと、私とリネットの『幼なじみ』にして……」
そう言いながらセレスティアは水音の側に立ち、
「水音のもう1人の女だ」
と、その肩にポンと手を置いた。それと同時に、水音は恥ずかしそうに、顔を赤くしてそっぽを向いた。
それを聞いた煌良達は、
『……はい?』
と、皆、一斉に首を傾げるのだった。
どうも、ハヤテです。
と言うわけで、今日から第14章「水音編」のスタートです。
今回サブタイトルで「水音編1」と表記したことについてですが、本編第7章のサブタイトルでも、「水音編1」と表記しましたが、あくまでも「第7章」内での水音編第1弾という意味で、新章である今回は「第14章」内での「水音編第1弾」という意味を込めて、そうサブタイトルに書きました。
とまぁそんなわけで、今日からは水音君を中心とした話がスタートとなります。
彼のこの話での活躍に、ご期待ください。




