第392話 リアナ編8 辿り着いたその場所は……
ジェロームに「ついて来なさい」と言われたリアナ達が向かった先。
そこは、フォルトーラ村の中にある、古びた一軒の小屋だった。
ただ、小屋といっても、17年前のギャレット達の襲撃によって所々崩れていて、以降は修理もされずにそのままなで、正確に言えば、「小屋だったもの」なのだが。
「あの、ジェロームさん。ここは、一体何なんですか?」
と、リアナが尋ねると、
「それを答える為にも、すまないが扉を開けてくれんかね?」
と、ジェロームに頼まれたので、リアナは「は、はい」と言われるがままに、小屋だったものの扉を開けた。
中を見てみると、そこも襲撃の所為か外観と同じくらい所々崩れていた。それを見たギャレットは、申し訳なさからなのか、何処か暗い表情をした。
すると、ジェロームが中に入って、
「ホレ、ここじゃよ」
と、床の一角を指差したので、リアナは「何だろう?」と思ってその部分をよく見ると、そこにはなにか取っ手のようなものがあるのに気がついた。
「そいつを掴んで、思いっきり持ち上げるのじゃ」
ジェロームにそう言われて、リアナは「わかりました」と言って、その取っ手を掴んで力いっぱい持ち上げると、
「あ、階段!」
そこにあったのは、地下へと続く長い階段だった。
「さぁ、目的の場所はこの先にあるぞ」
ジェロームはそう言うと、その地下への階段を下りていった。勿論、幽霊なので、浮かんだ状態でだ。
そしてジェロームの後に続くように、リアナ達もその長い階段を下りていった。
暫く階段を下りていくと、リアナ達は大きな扉の前に着いた。
「もしかして、この先ですか?」
と、リアナがジェロームに尋ねると、ジェロームはコクリと頷いて、
「そうじゃ。さぁ、開けてみるがよい」
と、リアナに扉を開けるよう促した。
そしてリアナがその扉を開けた瞬間、最初は真っ暗闇だったが、すぐに明るくなった。
扉を潜って中に入ると、そこはとても広い空間で、中央に何かが置かれているのが見えた。
「さぁリアナよ、あれに触れるのじゃ」
と、ジェロームがその中央に置かれた何かを指差しながらそう言うと、リアナはゆっくりとその何かに近づいた。
それはどうやら水晶玉のようで、リアナは恐る恐るその水晶玉に触れると、眩い光を放った。
その光の眩さに、その場にいる全員が目を閉じた時、リアナは自身の中から、何かが2つ抜けた感覚に襲われた。
(え、な、何?)
その後、光がおさまったのを感じて、リアナはゆっくりと目を開けると、
「……え、私が2人いる!?」
そこにいたのは、紛れもなくリアナ・フィアンマ本人で、しかも2人もいた。
更に驚くことに、その2人のリアナの姿だが、1人は[獣人化]にスキルを使って変身した、獣人状態のリアナで、もう1人は[妖精化]のスキルを使って変身した、妖精状態のリアナだった。
「え、ちょっと待って! あなた達、何者なの!?」
と、リアナが2人のリアナに向かってそう問い詰めると、
「いや『何者?』って酷いなぁ。私は、獣人としてのリアナ・フィアンマだよ」
「そして私は、妖精としてのリアナ・フィアンマよ」
と、目の前にいる2人のリアナは、ニコッと笑ってそう答えた。
その答えを聞いて、リアナは口をパクパクとさせていたが、すぐにジェロームの方を向いて、
「ちょっとジェロームさん! これは一体どういうことなの!?」
と、怒鳴るように尋ねた。
尋ねられたジェロームは小さく「フム……」と言うと、
「そう恐らくこれが、お主の言った『試練』なのじゃろう」
と、真剣な表情でそう言った。
そして、思いっきり目をカッと見開くと、リアナに向かって言い放つ。
「さぁ、リアナよ。その2人のお主と、思いっきり戦いあうのじゃあーっ!」
その叫びを聞いて、誰もがポカンとしていると、
「……え? えええええええっ!?」
と、リアナは目の前のリアナ達を見ながら、驚きの声をあげた。




