第387話 リアナ編3 そこに現れたのは……
「リアナ!」
「ここにいたんだ!」
「もう! どうしちゃったのさ!?」
と、リアナを追いかけてきたヘリアテス達も、漸くその家に着いた。
そして、その家の中で膝をついて涙を流すリアナを見て、
「……リアナ、どうしたの?」
と、ヘリアテスは気になってリアナに近づいた。
「お母さん……」
ヘリアテスに気付いたリアナが、ゆっくりと振り向きながら言う。
「ここ、私が生まれた家だ」
「「「「え!?」」」」
「何!?」
突然のリアナの言葉に、ヘリアテス達は驚きを隠せずにいた。
「それ、本当なの!?」
と、詩織が尋ねると、リアナはこくりと頷きながら、
「うん、間違いないよ」
と答えた。
その言葉を聞いて、ヘリアテス達が何も言えないでいると、
「……ねぇ、ギャレットさん」
と、リアナが口を開いた。
「……何だ?」
「ギャレットさんは、私の本当のお母さんと戦ったんだよね?」
そう尋ねたリアナに、ギャレットは一瞬答えるのを躊躇ったが、すぐに首を横に振るうと、ゆっくりと口を開く。
「ああ、そうだ。俺は17年前のあの日、リアナ嬢ちゃんの親父さんとお袋さんと戦った。そして……2人共俺が殺した」
「え、本当のお父さんとも戦ったの?」
「……(こくり)」
と、ギャレットが無言で頷くと、リアナは更に質問する。
「本当のお父さんとお母さん、強かった?」
「ああ、2人共強かったぜ。特にお袋さんの方が、スゲェ強かったわ」
「そうなんだ……」
「お袋さん達だけじゃねぇ、この『村』の住人達は本当に強かった。ただでさえ獣人や妖精ってだけでも厄介だってのに、人間までもが連中の味方をしてただけじゃなく、その間に生まれた混血も相手だったんだ。前にも話したが、そいつらとの戦いで俺の方も隊員達が何人もやられてな、どうにか……あ、いや、すまねぇ」
と、これ以上は良くないと感じたのか、ギャレットは最後まで答えようとしたが、すぐに駄目だと感じて言葉を止めてリアナに謝罪した。
その答えを聞いてリアナは、
「あぁ、気にしないで、私も前に言ったけど、その時の私はまだ赤ちゃんだったし……」
と、大袈裟に手を振りながら言ったが、よく見ると涙はまだ溢れていたので、ヘリアテス達はどう言えばいいのかわからなくなっていた。特にギャレットは自分がしたことを思い出して複雑そうな表情になった。
「リアナ嬢ちゃん、俺は……」
と、ギャレットが何かを言おうとしたその時、
「「っ!」」
と、何かの気配を感じたのか、それに気づいたギャレットとアデレードは、すぐに家の外へと飛び出した。
「なっ!?」
「こ、これは!?」
外の様子を見て、2人が驚きの声をあげると、
「え、何? 2人共どうしたの?」
と、詩織が「何だ何だ?」と言わんばかりの表情で尋ねた。
「……おい、嬢ちゃん達。こりゃかなりやべぇぞ」
そう言ったギャレットの言葉が気になったのか、リアナは涙を拭ってゆっくりと立ち上がり、家の外に出た。ヘリアテス達もその後に続いた。
「どうしたの……って、えぇ!? 何これ!?」
外の様子を見て、そう驚きの声をあげたリアナ。
そしてそれに続くように、ヘリアテス達も家に外を見てギョッとなった。
そう、今家の周りには、数体の人の形をした、黒い影のようなもの達に取り囲まれていたのだ。
禍々しいオーラを纏ったその影のようなもの達は、ジィッとリアナ達を見つめると、腕(?)のようなものを動かして戦闘体勢に入った。
「ちょ、ちょっと、何なのコイツら!?」
「し、シオちゃん落ち着いて!」
突然の出来事に声を荒げる詩織。そんな彼女を、姉である彩織が宥めた。とはいっても彩織も困惑している様子だったが。
(コイツら、一体何なの!?)
そう思ったリアナは、すぐに影のようなもの達の1体に向かって[鑑定]のスキルを使った。
その結果、
「え、何これ!?」
と、驚くリアナを見て、
「ど、どうしたんだリアナ!?」
と、アデレードが驚いた表情のまま尋ねると、リアナはたらりと冷や汗を流しながら答える。
「コイツら……いや、この人達……『幽霊』だって」




