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ユニーク賢者の異世界大冒険  作者: ハヤテ
間章6

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間話48 歩夢と春風の出会い


 海神歩夢が幸村……否、光国春風と出会ったのは、彼女が小学校に入学して間もない時のことだった。


 歩夢の実家は、「海神組」という所謂「ヤクザ」と呼ばれる「裏の社会」に属する組織の組長の一族で、その時の彼女自身は詳しくは知らなかったが、組織としてはかなりの大きな規模を持っているという。


 その為か、家は大きいが中は怖い人達が多勢いて、時々彼らが話す()()()内容の会話が聞こえていて、それは元々気の弱い幼い歩夢にとっては恐怖でしかなく、家の中でそういう会話が聞こえては、そそくさとその場を後にして、自室でぶるぶると震える日々を過ごすことが多かった。


 更に不幸なことに、幼稚園の時の送り迎えでは、いつも親と共にその怖い人達もついていくこともあり、その所為で大人だけでなく子供達も歩夢を避けるようになり、歩夢は卒園まで友達を作ることが出来ず、歳の離れた兄の剛希といる以外は、いつもひとりぼっちだったのだ。


 そして、それは小学校に上がってからも同じだったのだが、ある日、彼女の日常を大きく変える出来事が起こった。


 いつものように親や怖い人達の目を盗んで、気晴らしに1人で散歩していた時、目の前を1人の()()が通っていったのだ。


 男の子の服を着た女の子のような見た目をしたその子供は、「何か」を抱えた状態で周囲を気にしながら走っていて、それがたまたま歩夢の目に止まり、「何だろう?」と気になった歩夢は、その子供の後をつけることにした。


 暫く歩いていると、辿り着いた場所はどうやらスクラップ置き場のようで、その子供はそこで抱えていた「何か」を飛ばしていた。よく見ると、どうやらオモチャの飛行機のようなもので、1人でそれを楽しそうに飛ばすその子供を、歩夢は羨ましそうに見ていた。


 そして、歩夢が子供に話しかけようと近づくと、子供の方が歩夢の存在に気付いた。


 「あ、あの……」


 と、気付かれた歩夢が口を開こうとした時、子供は顔を真っ赤にして、


 「ご、ごめんなさい! 失礼しましたぁ!」


 と叫ぶと、猛ダッシュでその場から離れた。


 それを見た歩夢は、


 「ま、待って!」


 と、子供を追いかけようとしたその時、その場に子供が飛ばしていたオモチャの飛行機が落ちていたのに気がつき、それを抱えて再び走り出したが、子供の姿はもうなく、どうしようかと考えているうちに夕方となってしまい、困り果てた歩夢は飛行機を持ったまま、家に帰ることにした。


 その後、家に帰った歩夢は、剛希に今日あった出来事を話すと、


 「じゃあ、明日一緒にもう一度そこに行こう。きっとその子も、そのオモチャを探していると思うから」


 ということになり、歩夢はそれを聞いて、


 「……うん」


 と、剛希に従うことにした。


 そして翌日、歩夢は剛希と共にもう一度スクラップ置き場へと向かったが、途中、思わぬアクシデントにあってしまった。


 ガラの悪い剛希の同級生達に絡まれてしまったのだ。


 「妹に手を出すな!」


 と、剛希はその同級生達を次々とぶっ飛ばしたが、相手の数が多かった為、歩夢を守りながら戦うにはかなり不利な状況だった。


 そして、同級生の手が歩夢に及ぼうとした、まさにその時、


 「待て!」


 ーーズゴン!


 「ブフォ!?」


 誰かが同級生に重い一撃を与えたのだ。


 その正体は、歩夢が出会い、歩夢のもとを走り去ったあの子供だった。


 子供は歩夢を助けると、その勢いで剛希も助けた。


 そして2人の腕を掴むと、大急ぎで2人を引っ張るようにその場から走り出した。


 やがて同級生達が見えなくなったところまでつくと、


 「だ、大丈夫、ですか?」


 と、子供は2人に尋ねた。


 歩夢と剛希はそれに対して「うん、大丈夫」と頷くと、


 「あ、あの、これ……」


 と、歩夢は子供に拾った飛行機のオモチャを差し出した。


 「あ、持っててくれたんですか?」


 と、再び尋ねた子供に、


 「う、うん」


 と、歩夢が頷くと、


 「ありがとうございます」


 と、子供はニコリと笑ってお礼を言った。


 更に、


 「あと、そのぉ」


 と、言いにくそうにしている子供を見て、歩夢も剛希も頭上に「?」を浮かべると、


 「昨日は逃げ出したりして、ごめんなさい」


 と、子供は歩夢に向かって深々と頭を下げて謝罪した。

 

 歩夢はそれを聞くと、


 「わ、私の方こそ、ごめんなさい」


 と、歩夢も子供に向かって深々と頭を下げて謝罪した。


 その後、お互い顔を上げると、


 「あ、あの……」


 と、子供の方から口を開いたので、


 「な、何?」


 と、歩夢も恐る恐る口を開くと、


 「……よかったら、飛ばし方教えますので、一緒に飛ばしてみませんか?」


 と、子供が恥ずかしそうに顔を赤くしながらそう言ってきたので、歩夢と剛希はお互い顔を見合わせた後、


 「「うん!」」


 と、2人とも力強く頷いた。


 それを聞いて嬉しくなった子供は、早速飛ばし方を教えようとしたが、


 「あ、そうだ!」


 と、何かに気づいたかのように、歩夢と剛希を見て姿勢を正すと、


 「僕は、春風。光国春風、です」


 と、子供ーー春風は2人に向かってそう自己紹介した。


 歩夢と剛希はそれを聞くと、


 「歩夢です。海神、歩夢」


 「歩夢の兄の、海神剛希だ。よろしくな」


 と、2人も春風に向かってそう自己紹介した。


 長くなったが、これが、「ユメちゃん」こと歩夢と、「フーちゃん」こと春風の関係の始まりだった。


 

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