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ユニーク賢者の異世界大冒険  作者: ハヤテ
間章6

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422/609

間話38 事情を知って……

 前回は短めだったので、今回は少し長めの話です。


 その後、春風は画面の向こうにいる水音と歩夢の両親達に、文字通り「全ての事情」を説明した。


 ただ、ことがことなだけに、場所を宴会場からウォーリス帝国のキャンプ地にある大きなテントの中へと移し、他の人達には出来るだけ話が漏れないようにしてからだが。


 『……』


 「全ての事情」を知って、両親達が険しい表情をする中、最初に口を開いたのは、


 「……そういうことかよ」


 歩夢の父である大造だった。


 大造はその後再び黙り込むと、それまで座っていた椅子から立ち上がって、


 「日真理、組の連中を呼べ! 今からエルードとやらに殴り込みじゃあ!」


 と、隣にいる日真理に向かってそう叫んだ。


 「お、お父さん!?」


 「親分さん!?」


 と、歩夢と春風が驚きの声をあげると、


 「あいよ、あんた!」


 と、日真理が懐からスマートフォンを取り出したので、


 「お、お母さん!」


 「ね、姐さん! 落ち着いてください!」


 と、歩夢と春風は大慌てで日真理を止めた。


 すると、そこへ、


 「お2人さん、ちょっと待ってくださいな」


 と、水音の母である清光が椅子から立ち上がって、落ち着いた口調で大造と日真理に「待った」をかけた。


 「止めんじゃねぇ、桜庭の奥さん!」


 「そうさ! 待てってあんた、フーの説明を聞いて何も感じなかったのかい!?」


 と、大造達が清光に向かってそう怒鳴ると、


 「感じないわけ、ないでしょう」


 と、清光は穏やかな笑みを浮かべてそう答えた。


 だがよく見ると、その目は全く笑っていなかった。


 というか、清光の全身から水音のものと同じ青いオーラが漏れていた。


 春風と水音はそんな清光を見て、


 (ああ、清光さんめっちゃ怒ってらっしゃる)


 (母さん、もの凄く怒ってる)


 と、滝のように汗を流しながら戦慄した。 


 すると、


 「皆さん、落ち着いてください」


 と、水音の父である優誓が落ち着いた口調で清光と大造達に話しかけた。


 それを聞いて3人は「ム!」となったが、すぐに深呼吸して気持ちを落ち着かせると、再び椅子に座った。


 それを見た後、優誓はウィルフレッドに視線を移して、


 「ウィルフレッド陛下……で、よろしいでしょうか?」


 と、話しかけた。


 突然話しかけられたウィルフレッドは、

 

 「あ、ああ。何だろうか?」

 

 と、ちょっとおかしくなった口調で返事すると、優誓は真剣な表情になって、


 「事情は理解しましたが、やはり我々はあなた方と、あなた方が崇める『神々』を許すことは出来ません。この世界とそちらの世界を危機に晒したこともそうですが、それ以上に大切な息子である水音や、その友達である春風君、そしてクラスの皆様を巻き込んだのですから」


 と、ウィルフレッドに向かってそう言った。そんな優誓の隣では、清光が「あなた……」と目をうるうるとさせていた。そしてその隣では大造と日真理がうんうんと頷いていた。


 そのセリフを聞いてウィルフレッドは、


 「……そうだな。其方達がそう思うのは当然だ」


 と言うと、


 「本当に、申し訳なかった」


 と、優誓達に向かって深々と頭を下げて謝罪した。


 すると、優誓は「フゥ」と一息入れて、


 「ですがまぁ、春風君はそんなあなた方に『償い』の道を示したわけですよね?」


 と、ウィルフレッドに向かって尋ねたので、ウィルフレッドは少し戸惑いながらも、


 「あ、ああ。そうだな」


 と答えた。


 それを聞いた優誓は穏やかな表情になって、


 「でしたら、私は春風君のその決断を信じますので、どうかウィルフレッド陛下はそのままその道を進んでください」


 と言ったので、


 「ああ、承知した」


 と、ウィルフレッドはそう返事した。


 その後、優誓は今度は水音と春風に視線を移して、


 「さて、水音。そして、春風君」


 と話しかけた。

 

 「な、何? 父さん」


 「何ですか? 優誓さん」


 「2人とも、大変な『運命』に巻き込まれてしまったな」


 「「……」」


 「特に春風君」


 「はい」


 「君は、随分と大きなものを背負ってしまったんだな」


 「……自分で決めたことですから、後悔はしてません」


 と、春風はまっすぐ優誓を見てそう言うと、


 「……そうか」


 と、優誓は小さくそう言った。


 すると、


 「あー、あたしからもちょっといいかい?」


 と、ここで日真理が口を開いた。


 周囲の人達が「ん?」と頭上に「?」を浮かべると、


 「……歩夢」


 と、日真理が歩夢に話しかけた。


 「何? お母さん」


 と、歩夢が返事すると、


 「漸く、()()出来たんだね?」


 と、日真理はチラリと春風を見ながら尋ねた。


 それを聞いて、歩夢は表情を明るくすると、春風の腕に抱き付いて、


 「うん!」


 と、満面の笑みを浮かべてそう答えた。


 因みに、抱き付かれた春風も、


 「……はい。再会出来ました」


 と、顔を赤くした。


 日真理はそれ聞いて、


 「そうかい」


 と言うと、今度は春風を見て話しかける。


 「なぁ、フー」


 「何ですか?」


 「あんた、うちの娘のこと好きかい?」


 いきなりそんなことを尋ねた日真理に、周囲の人達は「ブフォ!」と吹き出したが、春風はそれに構わず、


 「はい、好きです」


 と、はっきり答えた。


 それを聞いた日真理は、


 「それは、『愛してる』って意味かい?」


 と、更に質問した。


 当然、周囲は再び「ブフォッ!」と吹き出す中、


 「はい!」

 

 と、春風は再びはっきりそう答えた。


 すると、


 「そうかい。んじゃ、最後に大事な質問だ」


 と、日真理はそれまで以上に真剣な表情になった。それを聞いて、春風と歩夢だけでなく、周囲の人達もゴクリと固唾を飲んだ。


 そして、日真理は質問した。


 「あんた、()()()()()()()()()?」


 次の瞬間、


 『ブオッフォオッ!?』


 と、春風と歩夢を除いた周囲の人達が、一斉に激しく吹き出した。

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