第36話 異変
お待たせしました。本編新章のスタートです。
セイクリア王国が異世界から「勇者」を召喚してから数日後。今、世界では、ある「異変」が起こっていた。
世界中の魔術師達が、魔術を使うことが出来なくなってしまったのだ。
最初は、小さなものだった。
攻撃系の魔術を発動させると、何故か威力が弱くなってたり、強化や弱体化系の魔術を発動させると、その効果時間が短くなっていたのだ。
その時は、単純にその魔術師の実力不足か、もっと単純に言えば、「使用する魔力が足りない」という話で解決した。
しかし、時が経つにつれて、思う様に魔術を発動出来なくなった魔術師の数が、ドンドン増えていった。
魔術を発動させる為の術式が起動出来ないだけじゃなく、酷い時には術式が発動前に壊れるなんて事が、世界各地で起こっていた。
そして、全ての魔術師達に恐怖を植え付ける事になる、決定的な「事件」が起こった。
それは、とある魔物との戦闘の最中だった。
1人の「魔術師」が「魔術」を発動しようとした時、
「使わせない」
と言う声が聞こえて、その後、その魔術が暴発し、発動させた「魔術師」が負傷するという事態に陥ったのだ。
幸いその魔術師は助かったが、それ以来魔術を使う事に恐怖を感じてしまったのだ。
やがて、その話を聞いた他の魔術師達は次第に、
「もしかしたら、いつか自分もああなってしまうのでは?」
と、考える様になっていった。
この事態を知った、セイクリア国王ウィルフレッドと、五神教会教主モーゼスは、
『このままでは良くない』
と考え、すぐに騎士や神官達に調査を命じた。
しかし、どれだけ調べても異変の原因はわからず、唯々人々の不安を大きくしていくだけだった。
そうこうしていくうちに、いつしか人々は、
「これも甦った『邪神』の仕業では?」
と思う様になり、セイクリア王国に召喚された「勇者」達に、さらに期待を募らせていった。
だが、彼らは知らない。
確かに、その「異変」には「邪神」も少し関わっていたが、「異変」の最大の原因となったのは、1人のちょっとユニークな「少年」だという事を……。
そして今、その世界から隔絶されたとある場所で、その「少年」が旅立とうとしていた。
「それでは皆さん、お世話になりました」
「少年」が世話になった者達にそう言うと、
「道中、お気をつけて」
と、その代表者である幼い少女が、深々と頭を下げながら言った。
その後、「少年」の背後に、白い大きな扉が現れた。「少年」は扉のノブを掴むと、ガチャリと音を立てて扉を開けると、少女達の方を振り返って、
「行ってきます!」
と、元気良く言うと、扉の向こうへと消えた。
今回は改訂前である前作の第2部プロローグにあたる話なので、いつもより少し短くなってしまいました。
少ないと感じてしまったら、申し訳ありません。




