第373話 死体から作られた刀
お待たせしました、本日2本目の投稿です。
彼岸花は死体を材料にして作られた刀。
ヘファイストスから告げられたその事実を、周囲の人達は理解出来なかったのか、皆唖然としていた。
そんな中、
「ヘファイストス様、それはどういう冗談なのですか?」
と、春風がヘファイストスに尋ねると、
「悪いが事実だ。正確に言うとな、こいつはこの世界で言うなら、強い魔力を持った人間の死体を、これまた強い魔力を持った金属と一緒にドロドロに溶かして混ぜ合わせて、それを更に鍛治師自身の魔力を込めたハンマーで何度も叩いて鍛え上げたものだ」
と、ヘファイストスは淡々と、彼岸花がどのようにして作られたかを説明した。
「それが、今仰った『外法』なのですか?」
「ああ。だがこの方法はその中の1つに過ぎねぇ。もっと酷いのは、生きた人間をそのまま金属と共に溶かして……」
と、ヘファイストスが説明しようとしたその時、クラスメイトの何人かがテントの外へと飛び出した。その際、口を押さえているのが見えたので、きっと外に吐きに行ったんだろうと誰もがそう思った。
しかし、そんな状況の中でも、
「しかし、春風よ。お前さん知ってた割には、こいつがどんな風に作られたかまでは知らなかったんだな?」
と、ヘファイストスが平然とした態度でそう尋ねてきたので、春風も平然とした態度で答える。
「ええ。彼岸花を抜いた時に俺が見たのは、女性の鍛治師がその刀を打っていたところからでした」
「ホウ、女性の鍛治師とな」
「はい。ただ余程のことがあったのか、その刀を打っていた時、その人は血の涙を流していました」
「え、マジで!?」
「マジです。その後、その女性の鍛治師は出来上がったその刀で、数多くの魔物を斬りまくった後、命を失い、肉体は刀へと吸収されていったのです。そして、その後も多くの使い手達が、その刀を振るったのですが、全員女性の鍛治師のように……」
そう説明し終えた春風を見て、ヘファイストスが小さく「そうか」と呟くと、
「ほぉらぁ! やっぱりその剣は使っちゃ駄目なんだってぇ!」
「そうだよ! ていうか師匠、なんてものを春風に持たせてんですかぁ!」
と、リアナと水音は春風の肩をガシッと掴んでそう怒鳴った。特に水音はその際に、凛依冴をギロリと睨みながらそう怒鳴ったので、凛依冴は「あぅ……」と呻いて、シュンと小さくなった。
しかし春風はというと、リアナと水音に怒鳴られても、
「う、うーん、でもぉ……」
と、彼岸花をチラリと見ながら、なんともはっきりしない返事をした。
その時、
(……ん? なんだ?)
と、手に持っている彼岸花から「何か」を感じたヘファイストスは、
「まさか……」
と小さく呟くと、左腕にオーラのようなものを纏わせて、その状態のまま彼岸花の刀身に触れた。
すると、真紅の刀身に黒い穴のようなものが発生し、オーラを纏った左腕はその穴の中へと吸い込まれた。
「ちょ、ヘファイストス様!?」
と、驚く春風と仲間達をよそに、ヘファイストスは特に気にしてない様子で、
「うーんと、このあたりか?」
と、小さく呟きながら、ゴソゴソと穴に吸い込まれた左手を動かした。
それから少しすると、
「お、みっけ!」
と、ヘファイストスは何かを見つけたかのような表情になった後、
「そりゃあ!」
と、左腕を勢いよく穴から引き抜いた。
次の瞬間、
「イヤァアアアアアアアッ!」
と、黒い穴の中から、ヘファイストスの左手に掴まれた1人の少女が出て来たのだ。
『な、なんか出て来たぁっ!』
と、突然現れた真っ赤な着物姿をした長い赤髪の少女に、周囲の人達が驚いた中、ただ1人春風はというと、
「……あ」
と、その少女を知っているのか、そう小さく声を漏らした。
「あ、あの……」
長い赤髪の少女は周囲を見回しながらブルブルと震えていると、ヘファイストスが話しかけてきた。
「お前さん、この刀の『精霊』だな?」
と、少女にそう尋ねたヘファイストスの言葉に、春風を除いた誰もが、
『……え?』
と、頭上に大きな「?」を浮かべた。




