第367話 敵の「目的」と、勝てない「理由」
今の春風達では、偽物の神達に勝てない。
エルードが発したその言葉にショックを受けたのか、
「ちょっとぉ、私達じゃアイツらに勝てないってどういう意味ぃ!?」
と、怒ったリアナがエルードに掴み掛かろうとしたが、
「リアナ、落ち着いて」
と、冷静な表情の春風に止められて、リアナは「むぐぐ……」と唸りながらそれに従った。
春風はそれを見た後、すぐにエルードに向き直って、
「……詳しい理由を、聞いてもいいかな?」
と尋ねた。
尋ねられたエルードは、真剣な表情で春風達を見て口を開く。
「『エルード』って世界が生まれて、『私』という存在が形成されてから、ずっとこの世界のことを見てきてわ。アイツらに侵略された後も、ずっとね」
そのセリフを聞いて、ループスとヘリアテスは申し訳なさそうに、
「すまなかった。俺達が不甲斐ないばかりに……」
「本当に、ごめんなさい」
と、深々と頭を下げて謝罪したが、
「大丈夫。こうして会うことが出来て、とても嬉しいから」
と、エルードはニコリと笑って2柱を許すと、再び説明に戻った。
「で、それからこの世界のあり様はすっかり変わってしまったけど、何も悪いことばかりじゃないよ。侵略者達の中には、自分達の行いを恥じて、この世界の、元々の住人である獣人と妖精達を助けた者もいたから」
「そうなの?」
「うん。春風君達は知らないだろうけど、その助けた者の末裔っていうのが、ウォーリス帝国の皇族達なの」
『うっそぉ!?』
「本当だよ。そもそもウォーリス帝国っていうのは、偽物の神達に反発して、彼らのもとを飛び出した人間達が、獣人と妖精達を助ける為に作られた国だったの。で、その国を作った者の血を最も濃く受け継いでいるのが、ギルバート皇帝ってわけ」
『衝撃の事実ぅ!』
(後でギルバート陛下に確かめないといけないな、これ)
「おっと、話が逸れちゃったね。まぁ、そんなこんなで、侵略者達がこの世界に居座ってからずっと、私は私で連中のことを調べてたの。といっても、見つからないように、こっそりとね。で、全部ってわけじゃないけど、今の段階でわかったことが……」
ーーゴクリ。
「彼らの狙いは、世界と世界を隔てる『次元の壁』の破壊だったの」
「何だと!?」
「そんな!」
エルードの言葉に、ループスとヘリアテスがショックを受けた。そして、それは春風も同様だった。
「『次元の壁』って、『異世界召喚のルール』に深く関わっているっていう、あの『次元の壁』だよね?」
と、春風がエルードに尋ねると、
「うん。『神々が作った次元の壁を壊して、宇宙をあるべき姿に戻す』って、連中はそう言ってたわ。その為に、連中は様々な他の世界を侵略して、その世界の生命エネルギーを奪うだけじゃなく、その世界を管理する神々を殺して、その力を奪っていたの」
「え、ちょっと待って、ここ以外にも侵略された世界があるの!?」
リアナがそう尋ねると、エルードはコクリと頷いて、
「ええ、そうよ。彼らによって侵略された世界は、徐々に生命エネルギーを吸い尽くされて、やがて消滅していったわ」
と答えると、
「そんな……」
と、水音は膝から崩れ落ちそうになったが、どうにか踏ん張った。
しかし、そんな水音を前にしても、エルードは更に話を続ける。
「で、ここからが大事なことなんだけど、偽物の神々の連中はこの世界に来る前に、他の世界の神々を殺して力を奪ったって言ったよね?」
『……(コクリ)』
「それだけでもやばいけど、その数はゆうに数百……いや、もしかしたら数千を超えるかもしれないの」
「わかるの?」
「まぁ、見つからないようにこっそりと調べたものだから、正確な数はわからないけど、でもそれくらいの数の力を奪っていることは確かだわ」
「……もしかして、それが俺達が勝てない理由に繋がるのかな?」
春風にそう尋ねられて、エルードはゆっくりコクリと頷くと、
「ええ。つまり春風君達は、相手の数こそ5柱だけど、実際には『数千の神々』を相手にするのと同じってことになるの」
と答えた。
その答えを聞いて、春風達はタラリと冷や汗を流した。
謝罪)
大変申し訳ありません。前回の話ですが、まことに勝手ながら一部修正させてもらいました。
本当にすみません。




