第330話 ループスのもとへ
春風が美羽と語り合っていた丁度その頃、セイクリアの陣地から数人の「人影」が、何処かへ向かおうとしていた。
「人影」達の視線の先には、「邪神」ことループスがいるという廃墟と化した都市があった。
「人影」達はお互い顔を見合わせてコクリと頷き合うと、誰にも悟られないようにその廃都市へと向かった。
翌日。
「おい、春風。お前、大丈夫か?」
ギルバートにそう尋ねられて、春風は「アハハ」と苦笑いしながら、
「大丈夫です。ちょっと緊張しちゃって、あまり眠れなかったもので……」
と答えたのだが、周囲の人達は、
(うん。絶対嘘だ)
と思っていた。
何故なら、春風は隠しているつもりなのだが、周りから見て春風の顔色は、どう見ても何処か疲れている様子だった。それも、肉体的にではなく精神的にだ。
そしてそれを裏付けるかのように、リアナや歩夢ら春風に想いを寄せる女子・女性陣は申し訳なさそうな顔をしていた。といっても、1名そうではなさそうなのだが。
実は、美羽からの「愛の告白(?)」の後、春風はリアナ達とちょっとした修羅場になり、いっぱい話し合った末、美羽も春風のハーレム(?)に加わることになったのだ。
ただ、アデレードは今のところ未定のようだが。
そんな春風達の様子に、ギルバートは「突っ込みを入れたい」と思ったが、「今はその時ではない」と考え、
「そうかい。で、準備は良いのか?」
と、真面目な表情で春風に尋ねた。
春風はその質問に、
「はい、準備は出来てます」
と答えると、ギルバートは「フゥ」とひと息入れて、
「んじゃ、朝飯食いに行きますかねぇ」
と、くるりと後ろを振り向いて、スタスタと歩き出した。
それを見た後、春風は腰の彼岸花に手を当てて、
(……ちょっと、不安はあるけどね)
と、心の中でそう呟くと、すぐにギルバートの後を追いかけた。
その後、仲間達と朝食を済ませた春風は、少し休んだ後、全員でループスがいる廃都市へと向かった。
廃都市の前では、ウィルフレッドやセイクリアの騎士数名の他に、小夜子とクラスメイト達、そしてシャーサルから来た「紅蓮の猛牛」と「黄金の両手」のメンバーを含めたハンター達が集まっていた。
彼らと合流した春風達が、それぞれに軽く挨拶を済ませると、
「おい、向こうから誰か来るぞ!」
と、ハンターの1人がそう言ったように、廃都市の方から2つの「人影」が、春風達に向かって歩いてきた。
よく見ると、その「人影」は2人とも白いマントを羽織ってて、顔には「異形の獣」を思わせる不気味な仮面をつけていた。
そして、その仮面の人物達が近づくにつれて、周囲の人達はそれぞれの武器を構えた。
そんな状況の中、やがて仮面の人物達が春風の前に立つと、
「「お待ちしてました、異世界の神の使徒、春風様」」
と、2人同時に春風に挨拶をした。どうやら2人共、声は若い女性のようだった、
「……俺のこと、知ってるんですか?」
と、春風が恐る恐る尋ねると、
「「はい、存じております。私達はループス様より、あなたを案内する役目を担ってます」」
と、仮面の人物達は2人同時に答えた。
その言葉に、周囲の人達はゴクリと固唾を飲んだが、春風だけは冷静な表情を崩さず、
「そうでしたか」
と言った。
その後、2人仮面の人物達は、
「「それでは、早速あなたをループス様のもとへ案内いたします」」
と言うと、くるりと回って廃都市の方を向いて歩き始めた。
それを見た春風は、
「良し、行こう!」
と、仲間達に向かってそう言うと、
『オウッ!』
と、皆一斉にそう返した。
因みに、春風と共に行くのは、ウィルフレッド、イブリーヌ、ギルバート、は勿論、「紅蓮の猛牛」リーダーのヴァレリーと、メンバーであるアデレード、「黄金の両手」リーダーのハンク、顔を隠してはいるが断罪官大隊長のウォーレン、リアナ達「七色の綺羅星」メンバーに、ループスと同じ「神」であるヘリアテス、最後に小夜子とクラスメイトら「勇者」達だ。
そして、春風達は仮面の人物達の後を追うように、廃都市の中へと入っていった。
謝罪)
大変申し訳ありません。まことに勝手ながら、前回の話の最後の方を少し修正しました。




