第33話 新たな「お願い」
大変遅くなりました。
それから暫くして、春風は落ち着いたリアナと共にログハウスの中に戻った。
中ではヘリアテスとジゼル、そして精霊王達が待っていた。
心配そうに見つめるヘリアテス達に、リアナは笑顔で、
「大丈夫、心配しないで」
と言った。
その後、ヘリアテスは春風に、
「すみませんが、もう一度アマテラス様を呼んで欲しいのですが……」
と頼もうとしたその時、突然ポケットに入れていた零号が鳴り出したので、春風はすぐにポケットに手を突っ込んでそれを取り出した。
画面を見ると、そこにはアマテラス以外の「とある存在」の名前が記されていたので、春風は零号を通話モードにして、
「はい、もしもし」
と、話しかけると、男性のものと思われる声で、
「おう、春風、ゼウスだ!」
と、陽気な返事が来た。
そう、零号の向こうから聞こえたのは、アマテラスと同じ「地球の神」であるゼウスだった。
「えっと、どうしたんですかゼウス様?」
と、春風が尋ねると、ゼウスは変わらず陽気な口調で、
「おう。今、話し合いが終わったんで、アマテラスに代わってそっちに行くわ」
と、軽い感じで言ってきたので、
「わ、わかりました」
と、春風はゼウスにそう返事した。
ゼウスとの通話が終わると、春風はアマテラスの時と同じ様に零号をかざした。すると、またアマテラスの時と同じ様に、画面が光り、魔法陣が描かれて、そこからボタンを全開にしたワイシャツとジーンズ姿のワイルドなお兄さん、ゼウスが出て来た。
「よう、春風! 数時間ぶりだな!」
「はい、数時間ぶりですゼウス様」
現れて早々陽気に挨拶するゼウスに、春風は丁寧な口調で返した。しかし、出て来たのがゼウスだけというのが気になった春風は、
「あの、アマテラス様はどうしたんですか?」
と質問すると、ゼウスは一言、
「休ませた」
とだけ答えた。春風は少し気になったが、あまり突っ込んではいけない気がしたので、
「はぁ、そうですか」
と、強引に納得する事にした。
「それよりも、だ」
ゼウスはヘリアテスの方を向くと、側に近づいて、
「久しぶりだなぁ、へリア嬢ちゃん。アマテラスの言った通り、ホントに縮んでんな」
と言って、ヘリアテスの頭をポンポンと軽く叩いた。
「ちょ、ちょっとやめてくださいゼウス様!」
と恥ずかしそうにするヘリアテスを見て、ゼウスは「ハハハ」と笑った。
「さて、感動の再会はこれくらいにして……春風」
「! はい」
急に真面目な表情になったゼウスを前に、春風はドキンと緊張しだした。そんな春風に、ゼウスは表情を崩さずに話し出す。
「今日聞いた情報をもとに他の神達と話し合った結果、地球……いや、地球とエルードの2つの世界を救うには、侵略者どもとその親玉連中をやっつけて、奪われたへリア嬢ちゃん達の力を取り戻さなきゃいけねぇという結論に至った」
「……」
「てなわけだ春風。俺らの『お願い』を叶えた後で申し訳ねぇが、新しい『お願い』だ」
ゼウスの言葉に、ログハウスの中にいる者達全員が、ごくりと固唾を飲んだ。
すると、真面目な表情をしていたゼウスは、左右の手のひらを合わせて、困った笑みを浮かべながら申し訳なさそうに言った。
「嬢ちゃん達、助けてくんね?」
『か、軽ぅ!』
ゼウスの軽い感じの「お願い」に、春風はにこりと笑って、
「わかりました」
と、即答した。
春風とゼウスによる、あまりにもノリの軽いやり取りに、リアナ、ヘリアテス、ジゼル、精霊王達は
『は、早ァ! ていうかそんなノリで良いんかい!?』
と、悲鳴をあげながら突っ込みを入れた。
その後、ゼウスはヘリアテスに向き直り、
「とまぁ、そんなわけで、だ。謝罪とか感謝の言葉は無事に全部が終わって世界が救われてから聞いてやるから、それまでその気持ちは取っといてくれや」
と、軽いノリを崩さずに言うと、ヘリアテスは、
「っ! はい、わかりました」
と、申し訳なさそうに返事した。
ゼウスはそれを聞くと、
「よっしゃ!」
と小声で言った後、
「それじゃあ全員、今後の予定について話し合おうじゃあねぇか!」
と元気良く言ってその場を仕切り始めた。
春風達はそんなゼウスを見て、
『はい!』
と、全員、力強くコクリと頷いた。
前作では、神様からの新しいお願いと今後の予定については一本の話になっていましたが、改訂版である今作は「お願い」と「予定」の2つに分けることにしました。
というわけで、次回は今後の予定についての話になります。




