第299話 とんでもない「再会」
突如春風達の前に現れた、断罪官の格好をした者達。
その正体は、ルール無視の「勇者召喚」が行われた日に、春風とリアナによってぶっ飛ばされたセイクリア王国の騎士達だった。
ただし、リアナはその連中を覚えていないようだったが。
ともあれ、まさかの再会にショックを受けた春風達の横で、ディックが口を開く。
「あ、アッシュ! アッシュなのか!?」
ディックの口から出たその名前に、春風は「え?」となって尋ねる。
「あの、『アッシュ』って、まさかルイーズさんの?」
春風のその問いに、ディックは目の前にいる断罪官の格好をした男、アッシュに視線を向けたまま答える。
「そうだ、彼女の弟だ」
その答えを聞いて、春風は視線をディックからアッシュへと移すと、
「ああ、そういえばちゃんと自己紹介してなかったな。そうだ、俺の名はアッシュ・フレーミング。幸村春風、貴様の所為で帝国に囚われの身になった、ルイーズ・フレーミングの弟だ!」
と、アッシュは自身のフルネームを名乗った。
(『囚われの身になった』、か……)
春風は表情を暗くしながら、心の中でそう呟くと、
「オイオイ、人聞きの悪りぃこと言ってんじゃねぇよ。お前の姉とそのお仲間さん達が捕まったのは、この俺が住む城の中で『暗殺』なんていう馬鹿な真似するからだろうが」
と、春風の隣に立つギルバートが、呆れた表情で事実を言った。
すると、その事実を聞いたアッシュはカッとなって、
「黙れ、ギルバート・アーチボルト・ウォーリス! 『悪魔』を擁護する、人類の裏切り者が!」
と、皇帝であるギルバートに向かってそう怒鳴った。
それを聞いたギルバートは、こめかみをピキッとさせると、
「……ほう、『裏切り者』とは、この俺に向かって随分とデカい口を叩くじゃねぇか」
と、いつになく低い声でそう返した。
だが、それでもアッシュは怯むことなく、
「事実だろうが! 神に対する敬意も持たないどころか、『固有職保持者』などという神の加護を持たない存在を囲おうなど、これが『裏切り』と呼ばずしてなんと呼ぶ! だが、この場に来たのなら丁度良い! そこにいる負け犬の断罪官どもが敗れた今、我々が貴様とそこにいる『悪魔』とその仲間達を滅ぼし、囚われた姉様達を救い出す!」
と、声高々にそう宣言した。それに呼応するかのように、アッシュの側にいる者達も一斉に叫んだ。
一方、そんな彼らとは対照的に、春風達はというと、
「『悪魔』って、俺のことですよねぇ?」
「だろうな。てか、俺、皇帝なんだけどなぁ」
「ギルバート陛下はいいです。わたくしなんて、あの方達の眼中に入ってないみたいですから」
と、少々ドン引きしていた。それは、仲間達も同様だった。因みに、ウォーレン達断罪官はというと、自分達を罵ってきたアッシュに怒りの視線を向けていた。そして、アッシュ達の祖国の王女であるイブリーヌはというと、アッシュ達の目の前にいるにも関わらず、思いっきりいないものとして扱われていた為、若干涙目になっていた。
その時、
「……1つ、聞かせてもらおうか」
と、ギャレットの肩を借りて立っているウォーレンが口を開いた。
アッシュはウォーレンを見て、
「? 何だ?」
と尋ねると、
「貴様達が着ているその鎧、何処で手に入れた?」
と、ウォーレンは険しい表情で尋ね返した。
尋ねられたアッシュはニヤリと表情を歪ませて、
「ああ、これか? 気に入らないが、お前達と共に行く前に、お前達の仲間に譲ってもらったのさ。といっても、ちょっと痛めつけてから、だけどな」
と、クスクスと笑いながら言った。そしてそれに続くように、他の者達も小さく笑い出した。
その瞬間、その言葉の意味を理解したウォーレンは、
「貴様……」
と、鋭い目でアッシュを睨みつけた。それは、ルークやギャレット達断罪官だけでなく、
(こいつら……!)
と、春風までも同様だった。というより、春風はウォーレン以上に怒りをあらわにしていた。
するとここで、ギルバートが口を開いた。
「なぁるほど、お前さん達の目的はよぉくわかった。で、その妙な兵器っぽいもんで、俺らを始末するつもりなのか?」
アッシュ達の側にある「異形の戦車」を指差しながらそう尋ねるギルバート。
そんなギルバートに対し、アッシュはスッと表情を変えて答える。
「ああ、そうだ。こいつは五神教会に保管されている古代の兵器でな、500年前の邪神との戦いで使われていたそうだ。もっとも、今その邪神が復活したという話を聞いてから、研究して使えるようにしている。本来は邪神に対して使う予定だそうだが、その前にちょっと試し撃ちさせてもらうぞ。当然、お前達でな」
(ええぇ、マジかよ……)
アッシュの話を聞いて、春風は更にドン引きすると、ギルバートが更に尋ねた。
「はーんそうかいそうかい。しっかし、さっきは随分とデケェの撃ってきたな。エネルギーとか兵器なんか?」
その問いに対して、アッシュは再び顔を歪ませて答える。
「ああ、それなら問題はないさ。丁度良い『エネルギー源』があるからな」
そう言うと、アッシュは仲間の1人である男性をその「異形の戦車」に近づけさせた。
その後、男性は「異形の戦車」の表面で何かを操作すると、突然、戦車の砲身の付け根あたりが、音を立てて盛り上がった。
その盛り上がった「何か」を見て、アッシュはボソリと言う。
「フフ。あの威力、流石は『勇者』といったところか」
「……え?」
それは、緑色をした液体が入った、大きなガラスの筒のようなもので、よく見ると、その中に誰か人が入っているのが見えた。
(ちょっと待って、あれって……)
春風はその人を見て、ポツリと呟く。
「……小日向、さん?」
それは、クラスメイトの1人だった。
謝罪)
大変申し訳ありません。実は、本作を他のサイトに投稿する際、改めて読んでみて、いくつかサブタイトルや文章を修正させてもらいました。
また、転生した英雄の1人である静流さんの職能ですが、最近改めて考えて、
「あ、こっちの方がユニークっぽくて良いかも!」
という結論に至り、まことに勝手ながら、職能を「聖重騎士」から「自由騎士」へと変更し、その際に職能の説明文も変更させてもらいました。
更に、前回の話に出てきた、「異形の戦車」の説明ですが、改めて読んでみた結果、ちょっと説明がおかしいかもと考えて、その辺りの文章を修正させてもらいました。
読者の皆様、勝手なことをしてしまい本当に申し訳ありませんでした。
今後もこのように投稿済みの話を色々と修正していきますが、何卒どうぞよろしくお願いします。




