第288話 決戦、断罪官21 「戦鬼」と「師匠」と「英雄達」の戦い6
今日も少し短めの話になります。
((((あれ? 今、なんか字がおかしかったような?))))
と、頭上に「?」を浮かべる凛依冴達をよそに、水音は進化した「一本角」を構えた。
そんな水音を見て、目の前にいるルークは一瞬怯んだが、
「ぐ、だからどうだというのだ! そんなものを出したところで、私のこの『奥義』が、敗れるわけがない!」
と叫んで自身を奮い立たせた。
そして、先程言っていた「奥義」を放つ準備が出来たのか、
「いくぞぉ!」
と、再びルークがそう叫ぶと、両手でグッと剣を握って突撃した。
「ウオオオオオオオッ!」
握られた剣の刀身が、バチバチと白い稲妻のようなオーラを纏っている。
そのオーラによるものか、ルークが通った後の地面が、ところどころ雷にでも打たれたかのように抉れていた。
対する水音はというと、いつでも一本角を振り下ろすことが出来る構えをとると、その状態のままジッとその場にとどまっていた。
(水音、全然焦ってないみたいね)
と、凛依冴が心の中で呟いたように、水音の表情は何処か落ち着いていた。
だが、
(うう、緊張してきた。初めて使うからなぁ、コレ。成功、するかなぁ)
と、水音の心の中は不安でいっぱいだった。
しかし、それでもルークの勢いが止まらないことを理解して、
「……ええい、やってやるさ!」
と、水音は小さく叫んで自身を奮い立たせた。
そして、
「くらえぇっ!」
と、ルークが稲妻を纏った剣を振り上げると、
「神聖剣奥義、『聖光轟雷斬』!」
と、その「奥義」の名を叫び、水音に向かって振り下ろした。
それは、まさに落雷の如き一撃だった。
一方、水音は握っている一本角に力を込めると、
「受けろ、これが僕だけの『技』!」
と小さく言い放ち、奥義を放ったルークめがけて、一本角を振り下ろした。
白い落雷と鬼の角がぶつかる。
勝ったのは……鬼の角だった。
「なにぃ!?」
一本角はルークの奥義を切り裂き、そのままルークの剣を、そして、ルークまでも切り裂いた。
その後、水音は小さく叫んだ。
「一本角、『一鬼闘閃』!」
そう叫び終えると、一本角は元のガッツへと戻った。
「ガハァ!」
奥義を破られ、武器を失い、ダメージを受けたルーク。
しかし、それでも倒れまいと踏ん張っている。
そんな状態で、ルークは血を吐きながらも口を開く。
「は、反逆者、桜庭水音。お、お前に、1つ問いたい」
「……何ですか?」
「『神』に逆らってまで手に入れた『悪魔』の力で、お前は、何を成そうとしている?」
その問いを聞いて、水音は少しの間沈黙すると、ゆっくりと口を開く。
「……正直に言うと、僕にもわかりません。だけど……」
「?」
「こんな僕にも、『絶対に負けたくない』って思える人と、帰りを待ってくれる人達がいます。だから僕は、その人達に応える為に、この力を振るい、生きます」
ハッキリと答えた水音に、ルークは小さくニヤッと笑って、
「……そうか」
と言うと、バタンと地面に倒れた。
そんなルークに、冬夜と雪花が近づいて、
「セっちゃん」
「うん、任せて」
そう言うと、雪花はルークに向かって何かをかけた。
凛依冴はというと、
「水音」
「? 何ですか、師匠」
と、水音が尋ねると、凛依冴はソッと水音を抱き寄せて、
「見事だったわ」
と、褒めた。
それを聞いて水音は、
「……ありがとうございます」
と、小さく笑いながら言った。
するとそこへ、
『オーイ!』
と、遠くから鉄雄たちが駆け寄ってきた。
「みんな……」
「どうやら、全員無事のようね」
「なら、あとは……」
「ええ、春風だけね」
と、水音と凛依冴がそうやり取りしていると、
『!』
と、遠くの方で大きな「力」を感じた。それも2つも。
「……春風」
凛依冴が心配そうにそう呟く中、春風とウォーレンはというと、今まさにクライマックスを迎えようとしていた。
というわけで、これで水音達の戦いは終了です。
そして、次回からいよいよ主人公の戦いに入ります。




