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ユニーク賢者の異世界大冒険  作者: ハヤテ
第11章 断罪官の逆襲

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第279話 決戦、断罪官12 アリシア、「過去」との戦い2


 断罪官は、大隊長であるウォーレンの下に、3つの小隊が存在している。


 ギャレットを隊長とする第1小隊。


 ダリアを隊長とする第2小隊。


 そして、かつてアリシアが所属していた、ユリウス・ケーニッヒを隊長とする第3小隊だ。


 ユリウスには両親はなく、幼い頃から時にはその女性のような美しい顔を利用し、時には女性のような口調を用いて、言葉巧みに男女問わず取り入り、その身を売って生計を立てていた。


 15歳になって、ユリウスは「聖戦士」の職能を授かると、五神教会にスカウトされた。そこで、優れた戦闘の才能を見出されると、その後彼は断罪官への配属が決まり、そこでも優れた能力を発揮すると、瞬く間に第3小隊の隊長になったのだ。


 しかし、それまでしてきた行為の所為か、成長しても女性のような口調で話すことが多く、はじめは気を付けていたのだが、次第に面倒になってしまい、以降はそのままになっていったのだ。


 そして第3小隊の隊長になってからしばらく経ったある日、新たな隊員としてアリシアが配属された。彼女もユリウスと同じ、「聖戦士」の職能保持者だ。


 最初は「フーン」と興味を示さなかったユリウスだが、一目彼女を見た瞬間……。


 ーートクン。


 「え?」


 と自身の心臓が鳴った。


 (え? な、何、何なの!?)


 突然のことに戸惑うユリウスだったが、すぐに「いかんいかん」と我に返って、その後はアリシアを迎えて、彼女と共に任務にあたった。


 しかし、共に過ごしていくうちにだんだんと心臓の音が高まるの感じたユリウスは、一先ず他の隊員達に相談した。


 すると、返ってきたのは、


 『小隊長、それは()です!』


 という隊員達の答えだった。


 (こ、恋!? この私が、あの娘に恋をしてるっていうの!?)


 当然それまで以上に戸惑うユリウス。しかし、どんな任務でも懸命にこなすアリシアを見ていくうちに、次第にその答えを受け入れていた。


 だが、


 (だ、駄目! 駄目よ、ユリウス!)


 と、ユリウスはここで自身に「待った」をかけた。


 いくら断罪官としてそれなりの地位についてるとはいえ、その前は生きる為に自分の体を売っていた人間だ。当然、その身は既に汚れ切っているといっても過言ではない。


 そんな自分が、人並みに誰かを心から好きになるなど、決して許されるわけがないという考えが、ユリウスを先に進ませないようにしていたのだ。


 (そうだ。今更私に、『恋』をする資格なんて、あるわけがない)


 そう考えたユリウスは、以降はアリシアへの「想い」を心の奥底に封印することにした。


 そして、運命の「あの日」。


 異端者ルーシー・トワイライトを討伐する任務を受けて、ユリウス達はアリシアの故郷の村を訪れた。


 勿論、アリシアも討伐に参加させる……筈だったのだが、


 「アリシア、ごめんね」


 「え……うっ!」


 なんと、ユリウスはアリシアを気絶させて、村から離れた場所に置き去りにしたのだ。


 「私の恨んでくれて構わないわ。でも、故郷の人間を殺すところなんて、あなたに見せたくはないの」


 と、気を失ったアリシアにそう謝罪すると、そのまま残りの隊員達と共に、討伐を行った。


 隊員達と共に、1人、また1人と村人を殺すユリウス。


 しかし、


 (く、辛い。いつもの任務の筈なのに、こんなに辛いなんて!)


 それをしていくうちに、アリシアへの「想い」が壊れていくのを感じていた。


 そして、1人に少女を手にかけようとした、まさにその時、


 「やめろぉおおおおおおおっ!」


 「何!?」


 村に現れたアリシアに攻撃された。


 (あ、これ、流石にやばいわね)


 一撃で致命傷を負ったユリウスはその場に倒れた。


 その後、薄れゆく意識の中、次々とアリシアによって倒される隊員達を見て、


 (ああ、そう。これが、私への『罰』なのね)


 そう考えたユリウスは、何処か納得した表情になると、


 (……ごめんね、アリシア。そして今更だけど、()()()()()()


 と、一筋の涙を流して、意識を失った。


 「……え?」


 気がつくと、ユリウスはベッドの上にいた。


 そこは、断罪官本部の医務室で、よく見ると、隊員達も同じようにベッドの上にいた。


 (ど、どうして私達、生きているの!?)


 戸惑うユリウスに、担当の医者が答える。


 「いやぁ、皆さん運が良かったですよ、死んだと思ったらまだその一歩手前だったんですから。断罪官の装備が、皆さんを生き永らえさせたんですよ」


 そう説明する医者とその仲間達の表情は、喜びに満ち溢れていた。


 だがその夜、誰もいない場所で、ユリウスは1人叫んだ。


 「何故だ神よ! 何故私を……()を、俺を死なせてくれなかったんだぁ!」


 本来なら、ユリウス達はあのままアリシアに殺された筈だった。


 隊員達はわからないが、少なくともユリウスは「それで良い」と思っていた。


 何故なら、愛する女性であるアリシアに殺されるのなら、それも良いなと考えていたからだ。


 しかし今、自分達が生きている事に、ユリウスは嘆き悲しんだ。悲しんで、自分達が崇める「神」を呪うようなことを口走った。


 それから時が経って、アリシアが春風と共にウォーリス帝国にいるという話を聞いたユリウスは、


 「自分達も、異端者幸村春風の討伐に参加させてほしい」


 と、ウォーレンに頼み込み、その討伐に加わった。


 そして現在、


 「ユリウス小隊長、お覚悟!」


 「かかって来なさい、アリシアぁ!」


 戦場で再会したアリシアとユリウスの戦いが始まった。


 全ては、愛するアリシアに、()()()()()()()()()に。


 


 


 

 というわけで、今回は敵側の人間であるユリウスさんの話でした。


 悲しすぎる覚悟を秘めたユリウスと、それを知らないアリシア。


 果たして、そんな2人の戦いはどんな結末を迎えるのか?


 今後の話に、ご期待ください。

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