第259話 後始末が終わって
お待たせしました。第10章最終話です。
その後、ラルフを除いた五神教会の信者達と騎士達は、未だに気絶したままのモーゼスを連れて、ジェイソン達アレス教会が用意した馬車に乗ると、そのまま自分達の祖国であるセイクリア王国へと帰った。その際、
『大変申し訳ありませんでした』
と、何処かしょげた様子で全員から謝罪されて、春風は少しだけ彼らを気の毒に思った。
そして現在、春風達は煌良、学、麗生、ラルフと共に帝城内の謁見の間にいる。
『……』
暫くの間、全員が沈黙していると、
「……春風殿」
と、ラルフが口を開いた。
「何でしょうか」
「何故、其方は私をここに残した?」
顔にこそ出してはいないが、何処か気まずい様子でそう尋ねたラルフに、春風も気まずそうな表情で答える。
「あー、力石君達との戦いの前にちょっと聞こえたんですが、ラルフさんは力石君達に『先生』って呼ばれてましたよね? それって、あなたが戦い方を教えたってことでよろしいですか?」
「……ああ、そうだ」
「で、言い方は酷いですけど……その戦いを教えた力石君達は、今日俺達に敗れたわけですよね?」
春風がそう言った瞬間、煌良、学、麗生は、
「「「うぐっ!」」」
と呻いて自分の胸を押さえた。
そんな彼らを他所に、春風は話を続ける。
「で、そんな状況の中でこのままあなたを帰してしまったら、あなたは他の騎士達やその他の人達から、『敗れた教え子をそのままにして自分だけオメオメと戻ってきた』なんてことを言われそうな気がしまして、そうなってしまったら俺的にちょっとなぁって思ってしまって……」
春風がそう言い終えた瞬間、煌良、学、麗生は再び、
「「「ぐふぅ!」」」
と呻いて胸を押さえた。
その一方で、ラルフはというと、
「……」
無言のまま白目をむいた。
その後、煌良達はラルフの方を向いて、
「「「ラルフ先生、すみませんでした!」」」
と、一斉に頭を下げて謝罪した。
それを聞いてハッと我に帰ったラルフは、
「……いや、気にするな。お前達は、よくやった。特に煌良、お前が最後に放った『紅蓮大流星』は見事なものだったぞ」
と、慰めと誉め言葉を送った。
それを聞いて「ありがとうございます!」と返事をした煌良達を見てちょっとだけホッとした春風は、ギルバートの方を向いて、
「えっと、陛下、勝手なをことをして、申し訳ありませんでした」
と、頭を下げて謝罪した。
ギルバートはそれを見て、
「あー、気にするな」
と返事をした。
すると、
「私からも良いだろうか」
と、ラルフが春風に話しかけてきた。
「何でしょうか?」
「私は、其方にどうしても聞きたいことがある」
「え、聞きたいことですか?」
それを聞いた瞬間、春風は頭の中で、
(あぁ、コレはきっとゼウス様達『地球の神々』のこととか、『世界消滅』についてのことかな)
と考えていた。
だが、ラルフの口から出たのは、
「イブリーヌ様に、唇をささげられたというのは真の話か?」
「う!?」
「!」
「そして、お互い肌を見せ合ったというのは真の話か?」
「んげ!」
まさかの、イブリーヌに関する質問だった。
「あー、えーっと……」
春風とイブリーヌはお互い顔を見合わせると、2人共顔を真っ赤にした。
それ見たラルフは、
「……」
と、何も言えない状態になると……そのままバタンと後に倒れた。
「「「ラルフ先生ぇ!」」」
「ら、ラルフさぁん!」
「ラルフ様ぁ!」
すぐにラルフの側に駆け寄った春風とイブリーヌ。
よく見ると、ラルフはまた白目をむいているだけじゃなく、今にも口から魂が出てきそうな状態にもなっていた。
(ど、ど、どうしよう!)
と、春風が混乱していると、
「「「ゆ〜き〜む〜ら〜(く〜ん〜)」」」
と、煌良、学、麗生に、肩をがっしりと掴まれた。
「あ、いや、そのぉ……」
春風が答えに迷っていると、
「「「どういう事だぁ! 全部! 包み隠さず! 説明しろぉ!」」」
と、一斉に怒鳴られて、
「は、はいぃ!」
と、春風は急いでラルフを正気に戻すと、自身と地球の神々との関係や、召喚が行われたあの日、何が起こったかなど、今日まで春風が関わってきた全てを話し始めた。
ただ、その際に、
(あ、もしかして、『嫌な再会』ってこれかなぁ?)
と、以前見た夢の中で、「エルード」と名乗った少女の言葉を思い出していた。
しかし、春風は知らなかった。
本当の「嫌な再会」の時が、すぐそこまで近づいているのを……。
というわけで、これで第10章は終了です。
この後は新章を予定していますが、もしかしたらまた新しい間章になるかもしれません。
しかし、どちらも面白い話を書いていきますので、今後ともよろしくお願いします。




