間話25 リアナとアデレード
お待たせしました、間話25弾です。
それは、春風が自分の過去について恵樹に問い詰められていた時と同じ時間帯でのことだった。
春風とアデレードの一騎討ちがあったその日の夜、リアナはエルードの本当の神にして育ての親であるヘリアテスと、自室でくつろいでいた。
何故、彼女達が一緒にいるのか?
それは、春風と水音の決闘が終わったその日、
「どうせ今回の事で敵さん方にはもう居場所がバレたんだ。だったらいっそこのまま、ここで一緒に暮らしたらどうだ?」
と言うギルバートの提案を受けて、以後そのまま帝城で暮らすことになったのだ。
美味しそうにお茶を飲みながら1人と1柱が楽しい親子の会話をしていると、トントンと部屋の扉をノックする音が聞こえた。
「はーい、どちら様ですか?」
と、リアナが扉を開けると、
「やぁ、リアナ。久しぶり」
そこには、シンプルな寝巻き姿のアデレードがいた。
リアナはその姿を見て、
「……」
無言でバタンと扉を閉めた。
「リ、リアナ、どうしたの!?」
突然の事に驚いたヘリアテスが、リアナに向かってそう尋ねると、
「待って! いきなり閉めるなんて酷いじゃないか!」
そう言って、扉を閉められた事にショックを受けたアデレードは、すぐに自分で扉を開けて部屋の中に入ると、
「……何しに来たの?」
そこには、明らかにアデレードに対して嫌悪感を剥き出しにした表情のリアナがいた。
「いやぁ、帝国に来て久しぶりに君を見たから、ゆっくり話をしたいなぁと思って……」
と、アデレードが満面の笑みで答えようとすると、
「話す事は無いから帰って」
と、リアナはそう返してアデレードを部屋から追い出そうとした。
すると、それまで訳がわからず呆然としていたヘリアテスが、
「わーリアナ待って! 私は是非彼女とお話ししたいんだけどなぁ!」
と、大慌てでリアナを止めた。
「む、お母さん……」
ヘリアテスに止められたリアナが何か言おうとすると、アデレードは再び満面の笑みを浮かべて、
「おお! あなたがリアナのお母様ですね!? はじめまして、私はアデレード・マリッサ・グレイシア。あなたの娘であるリアナさんと同じハンターにして、グレイシア王国の王女でもあります、以後よろしくお願いします」
と、ヘリアテスに向かって挨拶をした。
「まぁ、これはご丁寧に。私は、リアナの母のヘリアテスと申します。あの、よろしければ、あなたと娘の関係を聞かせてほしいのですが……」
「ちょっと、お母さ……」
「ええ、良いですとも! 是非、私とリアナの出会いから順を追ってお話ししましょう!」
「ちょ、ちょっとぉ!」
リアナは止めようとしたが、ヘリアテスから「お願い」とおねだりされてしまったので、渋々アデレードに話をさせる事にした。
その後、アデレードはヘリアテスに、リアナとどのように出会い、どのような時を過ごしたかを、力強く話した。
それから暫くして、
「……はぁ、そのようなことがあったんですか」
「ええ、白金級になった今は、仕事が忙しくてあまりリアナと話をしてませんが、彼女への『想い』は、未だに衰えてませんよ」
一通り話し終えたアデレードは、話の最後にそう付け加えると、
「……誤解を招くようなこと言わないで」
と言って、リアナはそっぽを向いた。
「フフ、良かったねリアナ、良いお友達が出来たじゃないの」
ヘリアテスは笑ってそう言うと、
「……単なる同業者だし。階級は彼女の方が上だし」
と、リアナはふて腐りながらそう答えた。
ヘリアテスはそんな様子のリアナを見て、「あらあら……」とおっとりした表情で呟くと、アデレードの方を向いて、
「ところで話は変わりますが、アデレード……さんで良いでしょうか?」
「ああ、私のことはアーデと読んでください。で、どうかしましたか?」
「その……今日、アーデさんは、春風さんと戦いましたよね? アーデさんから見て、春風さんのことをどう思っていますか?」
「そうですね、まぁ、あんな形で幕を下ろしてしまいましたが……とても強かったですよ、彼」
「そうですか」
「ええ。ただ、彼自身は、自分の強さに自信が持ててないみたいなんです。私的にはそんなことは無いと思っているのですが」
「なるほど、そうでしたか。あの、ちょっと質問を変えますが……」
「? はい、何でしょうか?」
「春風さんのこと、戦い以外ではどう思っていますか?」
「!? お母さん!?」
「戦い以外……ですか? そうですね……」
「ちょっとアデレード! 駄目だからね! ハルは私のなんだからね!」
「……え?」
「私だけじゃない、ユメや、ルーシーにイブリーヌ様、それに、ハルの師匠の、凛依冴さんもいるんだからね!」
息を切らしながら叫ぶリアナを見て、アデレードはキョトンとなると、
「もしかして、全員女性かい?」
と呆けた様子で尋ねた。
「そうだよ!」
リアナは怒鳴りながらもそう答えると、
「へぇ、そうなんだ……なら私にもチャンスがあるかな?」
と、アデレードはボソリとそう呟いた。
ーープチン。
その言葉を聞いた瞬間、リアナの中で、何かが切れた。
そして、
「出てけぇ!」
そう言って、リアナはアデレードを部屋の外へ放り投げた後、バタンと扉を閉めた。
「うーむ、怒らせてしまったか」
アデレードは「やれやれ」と自分の頭を掻くと、
「ふむ、『師匠の凛依冴』、か」
と小さく呟いて、その後、自分の部屋に戻った。
翌日、
「……今、何て言ったの?」
凛依冴がアデレードにそう尋ねると、
「ですから、私をあなたの弟子にしてください!」
アデレードは凛依冴に向かって、頭を下げてそう答えた。
今回は、本編第203話と204話に起きたもう一つの「イベント」と、アデレード姫が凛依冴師匠の弟子になる決意をしたきっかけの話をテーマに書きました。
ヒロインのリアナとアデレード姫の詳しい関係につきましては、今後の話で書いていく予定です。
読んでみてわかりにくいと感じたら、出来たら感想をお願いします。




