間話24 資料室にて
お待たせしました、本日2本目の投稿にして、間話24弾です。
それは、春風が仲間達に魔術を教え始めて間もない時のことだった。
(おお、こりゃ凄いな!)
心の中でそう感じた春風が今いるのは、ウォーリス帝国帝城内にある「資料室」で、そこには数多くの様々な本が、きちんと本棚に収められていた。
(この資料の量、シャーサルのギルド総本部とは比べものにならないぞ)
実は春風はハンターになって間もない頃、身につけられる知識を得ようと、シャーサルにあるハンターギルド総本部内にある資料室で勉強していた時があった。その際に、
「ウォーリス帝国の帝城の中にある資料室は、ここの倍以上ある」
という話を聞いたことがあり、春風自身、
(そんなに凄いなら、いつか見てみたいな)
と思っていた。
そして現在、まさかの形でウォーリス帝国に行く事になり、水音との決闘(?)が終わって少し落ち着いた頃、
(あ、そういえばここの資料室行ってみたいなって思ってたわ!)
と思い出したので、皇帝ギルバートにお願いして、資料室を見せてもらう事になったのだ。
ただ、その時ギルバートが、
「クックック、これで春風が確実に帝国のものになっていくぜ」
という不気味というか物騒なセリフが聞こえたような気がしたが、深く考えないようにしようとスルーする事にした。
ともあれ、念願だった資料室を見ることが出来て、春風は目をキラキラ輝かせていた。
「ここの資料は閲覧する事は出来ますが、外への持ち出しは厳禁ですので、お気をつけてください」
資料室の管理人にそう言われて、春風は
「はい、わかりました」
と返事をすると、
「さぁて、早速拝見しますか」
と、いろんな資料を片っ端から読み始めた。
数時間後、
(フー、これだけ規模がでかいと入ってる資料の質も量も凄いな)
数多くの資料を読み漁った春風だが、それでもまだ読んでない資料を前にそう感心した。
「んじゃ、次は、と……」
そう呟いた春風が次に手にしたのは、「スキル」に関する資料だった。
(うーん、ギルド総本部にあるものより結構詳しく載ってるなぁ)
資料を読んでそう感心した春風。だが、
「……あれ?」
ふとそう小さく呟くと、春風は資料を閉じて管理人のもとに向かった。
「あの、すみません」
「はい、何でしょうか?」
春風に声をかけられた管理人がそう尋ねると、
「『裏スキル』に関する資料ってありませんか?」
と、春風はそう聞き返した。
「裏スキルですか? うーん、私も長いことここの管理を任されていますが、そういったものがあるという話は聞いたことがありませんね」
管理人がそう答えると、
「そうですか、わかりました」
と、春風はそう言って、また別の資料を読み始めた。
そんな2人の会話を、少し離れた位置で聞いてた者がいた。
(ハル兄さん、今、『裏スキル』って言った?)
ルーシーだった。
実は数時間前、資料室に向かう春風を偶然見かけたルーシーは、気付かれないようにこっそりとその後をつけていたのだ。そして資料を読み漁る春風を見て、いつの間にか自分も資料を読んでいた時に、先程の春風と管理人の話を耳にしたのだった。
(もしかして、ハル兄さんも、『裏スキル』を持っているのかな?)
ルーシーは1人そう考えていると、資料室を出る春風の姿を見かけた。
(た、確かめなくっちゃ!)
そう考えたルーシーは、読んでいた資料を元の棚に戻すと、管理人に見つからないように、そっと春風を追う形で資料室を出た。
そして、
「ハ、ハル兄さん!」
「ん?」
廊下でルーシーに声をかけられて、春風はルーシーの方を向いた。
「何、ルーシー?」
「あ、あの、今日、何か、予定ありますか?」
「予定? ああ、この後みんなで魔術の訓練をやるけど、どうしたの?」
春風は首を傾げてルーシーにそう尋ねると、
「あ、あの、今日、訓練終わったら、私の部屋に来てください、話が、ありますので」
と、ルーシーは春風に向かってそう答えた。
と、いうわけで、今回は第192話の「春風君がルーシーさんの部屋に招かれたきっかけとなった話」をテーマに書きました。




