第222話 3つの「魂」達
今回は、別視点から描かれた話になります。
その日、2人の男女が死んだ。
その男女は夫婦で、愛する「息子」と共に幸せな日々を送っていたのだが、とある「悪い奴ら」が引き起こした「事件」によって、2人は息子を残して死んだ。
気がつくと、2人は真っ暗な「闇」の中にいた。
よく見るとお互い体が無く、小さな光の粒の様なものになっていて、その瞬間、2人は死んで、今は「魂」の状態だと理解した。
(あぁ、これはもうどうにもならないな)
そう考えて、2人はこのまま黙って死を受け入れようと思ったが、
((『あの子』は今、どうしているだろうか?))
と、残してきた「息子」のことだけがどうしても気がかりだった。
ある時、2人はとある「魂」に出会った。
話をしてみると、その「魂」は若い女性の様で、死因は持病による病死で本人は精一杯生きたつもりだったのだが、男女の「魂」と同じように、ここへきて現世に残してきた「夫」のことがどうしても気になってしまったのだ。
そんな風に話をしていくうちに、「闇」の中で出会った3つの「魂」達は次第に仲良くなっていき、やがて、
「どうせそのうち消えてしまうのなら、その時が来るまで一緒にいよう」
と、それ以来共にいる様になった。
それからどれくらいの時が経ったかわからなくなったある時、
(ん? なんだろう、今の妙な感じは)
と、自分達がいる「闇」の雰囲気が変わったかのような感覚に囚われた。
3つの「魂」達は、「何だ何だ?」と頭上に「?」を浮かべていると、
「えー冥界に住む死者の魂の皆さんこんばんは、自分、幸村春風と申します」
と、何処からか少年のような「声」が聞こえた。
突然「闇」の中で聞こえた声に、女性の「魂」は、
「え、何!? 何なの!?」
と驚いていたが、男女の「魂」は、
「「あれ? この『声』の感じ、何処かで……」」
と、何故か既視感のようなものを感じていた。
そんな感じで、3つの「魂」達が異なる反応をしていると、少年のような「声」は、
「今、自分の故郷である『地球』と、今、自分がいる『エルード』という異世界が、大変な事態に陥ってます」
と、話を続けた。
それを聞いて、3つの「魂」が、
「「「え、マジで!?」」」
と驚くと、
「世界を救う、『英雄』になりたいですかぁ!?」
と、少年の様な「声」がそう叫んだ。
「「「な、なんじゃその質問はぁ!?」」」
と、3つの「魂」はそう突っ込みを入れたが、
「なりたいんだったら、今俺の目の前には、その為に必要な『肉体』がありますよぉ! しかも3体も! さぁ、早い者勝ちですよぉ! 『英雄』になりたいなら! 世界を救いたいなら……!」
「「「……(ご、ごくり)」」」
「俺の所に来ぉおい!」
少年の様な「声」がそう叫んだ瞬間、「魂」達の頭上に大きな「光」が現れた。
そしてそれと同時に、多くの「魂」が、その「光」に向かっていった。
それを見た3つの「魂」達も、お互い「うん」と頷き合って、
「「「行こう!」」」
と言って、その光に向かった。
その途中、様々な「妨害」によって、多くの「魂」が脱落していったが、3つの「魂」達は力を合わせてその妨害を跳ね除けた。
そして遂にその「光」に辿り着くと、3つの「魂」達はその「光」に包まれた。
気がつくと、3つの「魂」達は、大きな光の流れの中にいた。
不思議な感覚に囚われていた中、3つの「魂」達の前に、ある「映像」が映し出された。
それは、「闇」の中で自分達が聞いた、あの少年のような「声」の「記憶」だった。
「ああ、これは!?」
「『あの子』の、『あの子』の記憶なのね!?」
「ああ! 『あの人』だ! 『あの人』もいるわ!」
その「記憶」を見て、3つの「魂」達は歓喜し、それと同時に、
(そうか! そうだったんだ! 僕達を呼んだのは、君だったんだね!)
と理解した。
そして、全ての「記憶」を見終えた次の瞬間、3つの「魂」達は、眩い光に包まれた。
(う、うーん。ここは?)
次に気がつくと、見たこともない場所に立っていて、そこには多勢の人が自分達を見ていた。
そして、目の前には真紅の刃を持つ刀を地面に突き立てた「少女」がいた。
しかし、3つの……否、3人の「魂だった者」達は知っている。
目の前にいるこの「少女」こそ、自分達をこの場に召喚した「少年」である事を。
その時、「少女」の格好をした「少年」が倒れそうになった。
多勢の人達が驚く中、「魂だった者」達はすぐに「少年」のもとに駆け寄り、倒れそうになった彼を抱き止めた。
「……え?」
と、「少年」がそう声に出すと、3人の「魂だった者」の2人が、「少年」に向かって口を開く。
「ーーーー、ーー」
「っ!」
その言葉を聞いた瞬間、「少年」は一筋の涙を流した。
謝罪)
勝手ながら大変すみません。前話の主人公のセリフを一部修正しました。
そして謝罪とは別の事になりますが、次回は主人公の視点に戻ります。
次回は




